ミノキシジルとは、AGAの治療にて使われる成分の一つです。内服薬としても外用薬としても使われることがあります。
新しい毛を増やすことができる数少ない発毛成分であるため、AGAの治療をするならミノキシジルについては正しく理解しておきたいところです。
そこで本記事では、ミノキシジルとはどのようなお薬なのか詳しく解説していきます。
ご自身のAGAの治療でミノキシジルが必要なのか、ぜひ本記事を参考にしていただければと思います。

ミノキシジルとは

さっそくミノキシジルとはどのようなお薬なのか、解説していきます。
ご自身のAGA治療にミノキシジルは必要なのか、チェックしてみましょう。
本来は高血圧の治療に使われるお薬
ミノキシジルは、本来は高血圧の治療薬として開発されたものです。
血管を広げて血を流れやすくすることで、血圧を低下させる効果があります。
特に内服薬は全身に作用するため、血圧が大きく低下しやすいです。
血圧に関係する疾患を患っている場合は、使用するべきなのか医師としっかりと相談しましょう。
多毛症の副作用があることからAGAの治療にも使われる
そんな高血圧の治療薬として開発されたミノキシジルが、なぜAGAの治療に使われているのかというと、ミノキシジルの内服薬には多毛症の副作用があったためです。
この多毛症の副作用を逆手に、AGAの治療に使うことで、薄毛の改善ができます。
ただし、ミノキシジルの内服薬は、全身に作用するため、髪の毛だけでなく体毛も濃くなってしまいます。
内服薬のミノキシジルは、全身に作用しコントロールが難しいということは理解しておきましょう。
内服薬だけでなく外用薬もある
ミノキシジルは内服薬だけでなく、外用薬もあります。
外用薬は患部に散布することで局所的な効果をもたらします。
全身に作用しないので、血圧は低下しにくいですし、全身に毛が生えてくる心配も少ないです。
「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」でも、ミノキシジルの外用の効果は認められているので、可能な限りミノキシジルは外用薬を使用しましょう。
ミノキシジルの効果

続いて、ミノキシジルの効果について詳しく解説していきます。
AGAの治療薬はそれぞれ効果が異なるため、ミノキシジルがご自身のAGA治療に適切なのかチェックしてみましょう。
毛母細胞の働きを活性化させる
ミノキシジルは毛母細胞の働きを活性化させます。毛母細胞は毛髪の成長を支えている細胞です。
つまり、ミノキシジルの服用をすると発毛を促進してくれます。
ほかのAGA治療薬としては、フィナステリドやデュタステリドなどが知られていますが、これらの効果は予防で、守りのお薬と言われています。
対してミノキシジルは予防ではなく発毛ができ、新たな毛を生やしてくれる攻めのお薬です。
そのため「薄毛を改善したい」「毛を増やして濃くしたい」と考えているならミノキシジルによる治療は必須です。
3ヶ月目以降から新しく毛が生えてくる
ミノキシジルは使い始めてからすぐに毛が生えてくるのではなく、おおむね3ヶ月目以降から徐々に毛が増えていきます。
これはミノキシジルを服用してから、ヘアサイクルが正常化され、毛が増えてくるまでに時間がかかるためです。
場合によっては効果が感じられるまでに半年以上かかるケースもあるので、最初は根気よく使い続ける必要があります。
AGA治療は、効果がでないからといって早期に諦めてしまう人は少なくありません。最初から効果が出るまでには時間がかかるということを理解し、諦めず治療を続けましょう。
より効果を高めるためには食事にも気を使う必要がある
AGAは、片寄った食生活も原因の一つです。
そのため、ミノキシジルの効果を最大限出したい場合は、片寄った食事を避けて、頭皮に悪影響を与えないようにしましょう。
栄養バランスを考えて食事の管理をするのは難しいので、最初は「同じものばかりを食べない」ことを意識しましょう。
たとえ外食続きでも、和洋中とジャンルを変えて食事をしたり、主菜の食材を肉と魚で交互にしたりすることでも、多少栄養バランスを改善できます。
円形脱毛症にも効果的
ミノキシジルは円形脱毛症にも効果的です。
ほかのAGA治療薬は円形脱毛症には効果がありませんが、ミノキシジルは毛母細胞の働きを活性化させる効果があるので、円形脱毛症の箇所に散布することで新たに毛を生やせます。
円形脱毛症で悩んでいる人も、ぜひミノキシジルの使用を検討してみてください。
ミノキシジルの主な副作用

発毛効果があり、AGAの治療には特に活躍するミノキシジルですが、副作用もいくつかあります。
主な副作用を解説していきますので、ご自身が使用しても問題ないのかチェックしておきましょう。
頭皮のかゆみや赤み
ミノキシジルの外用薬を使うと、頭皮のかゆみや赤みが発生することがあります。
外用薬というのはミノキシジルに限らず、肌に合わないとかゆみや赤みが発生します。そのため、これはミノキシジルの成分というよりも、外用薬によって散布した影響によるものが大きいです。
頭皮にかゆみが発生して、掻きむしってしまうと頭皮環境が逆に悪くなってしまいます。
もし使用して、あまりにもかゆくて我慢できない場合は、医師に相談して別の手段を検討してみましょう。
体重の増加
ミノキシジルの内服薬を使うと体重増加の副作用が出ることがあります。
ミノキシジルの内服薬は全身の動脈を拡張させる効果がありますが、静脈に対しては作用しません。
そのため、末端に血液が貯まりやすくなり、むくみが発生し、結果として体重が増えてしまいます。
すべての人が体重が増加するというわけではありません。あくまで体重が増加するリスクが多少増える程度に考えましょう。
多毛症
ミノキシジルの内服薬は多毛症の副作用があります。
内服薬では、この多毛症の副作用を逆手にとって、AGAの治療をしているのですが、髪の毛が増えたとしても、同時に全身の毛も増えてしまう可能性があります。
今まで生えていなかった胸毛が生えたり、医療脱毛した箇所から再度毛が生えてきたりする可能性もあるので、内服薬の使用は慎重に考えましょう。
ミノキシジルはどこでも買える?購入場所と個人輸入に関して

続いて、ミノキシジルの購入場所、正しい購入方法について解説していきます。
ミノキシジルの購入方法を誤ると、思わぬトラブルに発展することもあるので、しっかりと確認しておきましょう。
ドラッグストアで市販されている
ミノキシジルの外用薬はドラッグストアにて市販されています。
ミノキシジルの外用薬は、厳密にいうと「ミノキシジル配合の頭皮に散布する商品」のことです。
具体名を挙げると「リアップ」「ミノアップ」「リグロEX」などです。
市販のものでも効果はあるので、気軽に試したい場合はドラッグストアにて購入を検討してみましょう。
個人輸入も可能だがリスクが高い
ミノキシジルは個人輸入にて購入することも可能です。しかし、個人輸入は粗悪品が紛れていることもあります。
粗悪品だと使用しても効果がないこともありますし、医師や薬剤師から診察によって体調の変化を確認してもらうことができなくなるため危険です。
たとえ副作用が発生しても、医師に相談できないのも不安要素の一つです。
そのため、個人輸入での購入は避けましょう。
クリニックで処方されるものが最適
ミノキシジルでAGAの治療をするなら、クリニックで処方されるものがおすすめです。
クリニックで処方してもらえば、同時に診察を受けられて、ご自身に合っているのか、使用して問題ないか診てもらえます。
また、副作用が発生したときも医師に相談できます。
さらにクリニックなら、ミノキシジルにプラスして、AGAの予防をするフィナステリドやデュタステリドなどのお薬を組み合わせて処方し、より高い効果を出すことも可能です。
そのため、可能な限りはクリニックにてミノキシジルを処方してもらいましょう。
ミノキシジルとほかのAGA治療薬の違い

ここからはミノキシジルとほかのAGA治療薬との違いを解説していきます。
それぞれのAGA治療薬について正しく理解し、どのお薬を使うべきなのか参考にしてください。
ミノキシジルとフィナステリド(プロペシア)の違い
ミノキシジル | フィナステリド(プロペシア) | |
---|---|---|
効果 | 発毛の促進 | 抜け毛の予防 |
費用 | 月5,000円前後 | 月3,000円前後 |
ミノキシジルとフィナステリドは、効果が違う点が最も大きな差です。
ミノキシジルは発毛の促進、つまり毛を生やす効果がありますが、フィナステリドにはありません。
対してフィナステリドは、抜け毛を予防する効果があります。
「新しく毛を増やしたいならミノキシジル」「これ以上抜け毛を増やしたくないならフィナステリド」を選びましょう。
ミノキシジルとデュタステリド(ザガーロ)の違い
ミノキシジル | デュタステリド(ザガーロ) | |
---|---|---|
効果 | 発毛の促進 | より効果的な抜け毛の予防 |
費用 | 月5,000円前後 | 月4,000円前後 |
デュタステリド(ザガーロ)は、前述のフィナステリドよりも少し効果の高い予防するお薬と考えましょう。
そのため、毛を増やしたい場合はミノキシジルを選ぶ点に違いはありません。
ミノキシジルとアロビックスの違い
ミノキシジル | アロビックス | |
---|---|---|
効果 | 発毛の促進 | 発毛の促進 ミノキシジルよりも効果は控えめ |
費用 | 月5,000円前後 | 月4,000円前後 |
ミノキシジルもアロビックスも発毛促進の効果がありますが、アロビックスはミノキシジルよりも効果は控えめです。
その代わり、費用はアロビックスのほうが安い傾向にあります。
とはいえ、効果が控えめということもあり、アロビックスを扱っているクリニックは多くはありません。
現状、発毛促進はミノキシジルがメジャーなので、迷ったらミノキシジルを選びましょう。
ミノキシジルとロゲイン・リゲインの違い
ロゲインやリゲインは、ミノキシジルが含まれている外用薬の商品名のことです。
クリニックにて処方してもらうミノキシジル外用薬としては特に有名で「ミノキシジル外用」と記載がある場合は、ロゲインやリゲインが処方されるケースが多いです。
ミノキシジルはあくまで成分名ということは理解しておきましょう。
ミノキシジルを服用するうえで注意するべきこと

最後にミノキシジルを服用するうえで注意するべきことを紹介します。
使用してから後悔することのないように、しっかりとチェックしておきましょう。
最初は初期脱毛によって髪が抜ける
ミノキシジルにてAGA治療をすると、最初は初期脱毛によって毛が抜けることがあります。
これはヘアサイクルが正常化する過程で発生するものです。1~2ヶ月ほど続き、その後はヘアサイクルが正常化されて、毛が生えてくるようになります。
「ミノキシジルを使っているのに抜け毛が増えた」「逆効果が出ている」と勘違いすることのないようにしましょう。
初期脱毛が発生する確率は2割程度なので、過度に心配する必要はありません。
内服薬はあくまで副作用で毛が増えている
ミノキシジルの内服薬による発毛効果は、あくまで副作用として発生しています。
実際「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」では、ミノキシジルの内服薬は「毛症を起こす副作用があることを根拠に処方されている」と記載されています。
また、内服薬では利益と危険性が十分に検証されていないこともあって推奨されていません。
そのため、ミノキシジルの内服薬を使うかどうかは慎重に考えましょう。
効果がない人もいる
ミノキシジルは発毛の促進が認められているものの、効果がない人がいるのも事実です。
そのため、場合によってはミノキシジルに使ったお金が無駄になってしまうことも。
クリニックでは返金保証を設けていることもあるので、不安な場合は返金保証があるクリニックにてミノキシジルを処方してもらいましょう。
返金保証を頼りにAGA治療をする際は、返金の条件もしっかりと確認しておいてください。
まとめ
- ミノキシジルとは新しく毛を生やせる発毛成分
- 薄毛が気になるなら欠かせない治療薬
- 個人輸入は利用せずクリニックにて購入する
ミノキシジルはAGAの治療ができる発毛成分の一つです。
毛母細胞の働きを活性化させてくれるので、すでに毛が抜けて薄毛になっている人でも、ミノキシジルなら新たな毛を生やせます。
薄毛が気になっているなら、ぜひとも使いたい治療薬です。
個人輸入でも購入は可能ですが、粗悪品が混ざっていることもあるので、必ずクリニックにて処方してもらいましょう。
【参考文献】
男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版
臨床発毛医学の現状と展望 2018
毛と毛包の解剖・毛髪異常