フィナステリドとは、AGAの治療で使われる内服薬の一つです。
AGAの治療薬としては特にメジャーなもので、予防ができる安価なお薬として知られています。
AGAの治療をするなら、誰もが通るお薬ではありますが「治療をするからにはお薬の詳細を知っておきたい」と考えている人は多いかと思います。
そこで本記事では、フィナステリドとはどのようなお薬なのか詳しく解説していきます。
ぜひ最後までご覧いただき、フィナステリドがご自身に適したお薬なのか、ご自身がどのようにAGA治療をするべきかの参考にしてください。

フィナステリドとは

それではさっそくフィナステリドとはどんなお薬なのか、詳しく解説していきます。
AGAの治療を始める前にしっかりと理解しておきましょう。
AGAの内服治療薬
フィナステリドを一言でいえば、AGAの内服治療薬です。
1日1回服用することで、AGAの原因であるホルモンが生成されるのを阻害し、薄毛を予防できます。
AGAの治療薬としては基本になるもので、多くの人に服用されています。
製品名でもあり成分名でもある
フィナステリドは製品名でもあり、成分名でもあります。
フィナステリドという成分があり、そのフィナステリドを含む製品は数多くあります。特に「プロペシア」が代表的なものです
そして、フィナステリドという名称は、プロペシアのジェネリックにも製品名としてつけられています。
フィナステリドは製品名として呼ばれることもあれば、AGAを予防する成分として呼ばれることもあるので、混乱しないようにしましょう。
複雑で分かりにくいですが「フィナステリド=プロペシア」「フィナステリド=AGAを予防する成分」という2点だけ理解しておけばOKです。
フィナステリドの費用はおおむね月3,000~4,000円
フィナステリドの費用は、月に3,000~4,000円程度です。
AGAの治療薬としては特に安い部類に入り、クリニックによっては月2,000円前後で購入できることもあります。
低価格でAGAの治療薬を購入したい場合は、フィナステリドが第一の候補になるでしょう。
フィナステリドの効果

続いて、フィナステリドの効果についても詳しく見ていきましょう。
ご自身が望んている効果なのか確認したうえで服用してください。
AGAは男性ホルモンが原因で発症する
まず前提として、AGAが発症して薄毛になる仕組みをおさらいしておきましょう。
- 男性ホルモンのテストステロンが「5αリダクターゼ」という酵素の働きを受ける
- テストステロンが「DHT」に変化する
- DHTが細胞分裂を阻害する
- ヘアサイクルが乱れて毛が抜け落ちやすくなる
- 薄毛が進行する
AGAが発症して薄毛になる流れは上記のとおりで、端的にいえばDHTが発生することで、頭皮に悪影響を与えるというのが大きな原因です。
結果として、ヘアサイクルの乱れが発生し、毛が成長する前に抜け落ちるようになり、薄毛が進行していきます。
フィナステリドは男性ホルモンと結びつく酵素を阻害する
フィナステリドは、男性ホルモンであるテストステロンと結びつく酵素「5αリダクターゼ」の働きを阻害する効果があります。
そのため、AGAの原因になる「DHT」が発生しにくくなり、薄毛の進行を止めることに繋がります。
なお、5αリダクターゼにはⅠ型とⅡ型の2種類があり、フィナステリドはⅡ型の5αリダクターゼを阻害します。
半年ほど服用することで効果が実感できる
フィナステリドは半年ほど服用を続けることで効果が実感できるようになっていきます。
人によってヘアサイクルは異なるため、効果を感じられるようになるまでにかかる期間は異なります。
即効性のあるお薬ではないので、少し服用しただけで「効果がない」と勘違いすることないようにしましょう。
最初は半年間は服用を続けて効果が出るまで待ちましょう。それでも効果が感じられない場合は一度医師に相談してみてください。
発毛を促進するのではなく維持をするのがメインの効果
フィナステリドは発毛を促進するのではなく、維持をするのがメインの効果になります。
前述のように、フィナステリドの効果というのは「5αリダクターゼ」の働きを抑えて、原因である「DHT」の発生を防ぐというものです。
フィナステリド自体に発毛効果があるわけではないので、新たに毛を増やしたい場合は別のお薬も併用する必要があります。
フィナステリドの主な副作用

フィナステリドには副作用も存在します。
副作用を理解しないまま服用をすると、思わぬ障害によって後悔しかねません。
主な副作用を紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。
アレルギー反応
フィナステリドを服用すると、かゆみや蕁麻疹などのアレルギー反応を起こすことがあります。
とはいえ、これはフィナステリドに限った話ではなく、どんな医薬品でも起こり得ることです。
過去に医薬品の使用でアレルギー反応が出たことがある人は、医師に相談したうえで服用しましょう。
乳房障害
フィナステリドは乳房障害が副作用として報告されています。具体的には乳房圧痛や乳房肥大などです。
これらの副作用が発生する明確な原因は判明していませんが、フィナステリドでテストステロンの変換を阻害することで、女性ホルモンの比率が多くなるためといわれています。
発生頻度は高くないものの、不安な場合は医師に相談して別の治療方法を検討しましょう。
性機能障害
性機能障害も副作用として報告されており、EDや性欲減退などの症状が発生することがあります。
フィナステリドによるテストステロンの変換の阻害が、男性ホルモンバランスが崩れることにつながるためといわれています。
発生頻度は1~3%ほどで高くはないものの、妊活をしている人にとっては大きな影響が出ることもあるので、使用するべきかは慎重に考えましょう。
フィナステリドとほかのAGA治療薬の違い

ここからはフィナステリドとほかのAGA治療薬との違いを解説します。
フィナステリドだけでなくほかのAGA治療薬についても理解し、どのお薬を使うべきなのかチェックしていきましょう。
フィナステリドとフィンペシアの違い
フィナステリドは製品名でもあり成分名でもありますが、フィンペシアはフィナステリドの成分を含む医薬品名です。
フィンペシアは日本では承認されておらず個人輸入でしか購入できません。
フィンペシアの効果は、基本的には抜け毛の予防でフィナステリドと大きな変化はありません。
そのため、わざわざ個人輸入をしてまでフィンペシアを購入する必要性はありません。
フィナステリドとプロペシアの違い
プロペシアは基本的にフィナステリドと同じものと考えて良いです。
プロペシアにはフィナステリドが含まれており、基本的には「プロペシア=フィナステリド」という扱いとなっています。
厳密にはプロペシアのジェネリックが、製品名「フィナステリド」です。とはいえ、プロペシアに含まれている成分も「フィナステリド」で、少々複雑です。
基本的に内容は同じで、特に難しく考える必要はないので「プロペシア=フィナステリド」という認識で問題ありません。
フィナステリドとデュタステリド(ザガーロ)の違い
フィナステリド | デュタステリド(ザガーロ) | |
---|---|---|
効果 | 抜け毛の予防 | より効果的な抜け毛の予防 |
費用 | 月3,000円前後 | 月4,000円前後 |
フィナステリドとデュタステリドは、どちらも抜け毛の予防をするお薬ですが、デュタステリドのほうが効果が高いといわれています。
デュタステリドはAGAの根本的な原因を阻害する力がより高いためです。
その分、デュタステリドのほうが多少費用も高くなっています。
どちらも抜け毛の予防には効果的ですが、予算に余裕があるなら、デュタステリドを選ぶのも一つの手です。
フィナステリドとミノキシジルの違い
フィナステリド | ミノキシジル | |
---|---|---|
効果 | 抜け毛の予防 | 発毛の促進 |
費用 | 月3,000円前後 | 月5,000円前後 |
フィナステリドとミノキシジルの明確な違いは、予防をするか発毛をするかです。
フィナステリドは今ある毛が抜けないようにするための守りのお薬で、ミノキシジルは新しく毛を生やす攻めのお薬といわれています。
そのため「毛を減らしたくないならフィナステリド」「毛を増やしたいならミノキシジル」と考えましょう。
本格的にAGAの治療をする場合は、フィナステリドとミノキシジルを併用して使います。つまり、フィナステリドで毛を守りつつ、ミノキシジルで毛を増やします。
フィナステリドを服用するうえで注意するべきこと

最後にフィナステリドを服用するうえで、注意しておきたいことをまとめました。
内容を確認し、不安要素なくフィナステリドでAGAの治療を進めましょう。
個人輸入は控える
フィナステリドはクリニックで購入しましょう。
個人輸入にて購入することも可能ですが、医師の診察なしでの購入となるので危険です。また、個人輸入だと粗悪品を購入してしまうこともあります。
クリニックであれば正規品を購入できますし、副作用が発生したときは相談ができて安心です。
女性は服用できない
フィナステリドは女性では服用できません。
AGAというのは男性の脱毛症で女性は発症しません。女性の薄毛であるFAGAはAGAとは原因が異なるので、フィナステリドを服用しても効果はありません。
女性の薄毛にはそれに対応したお薬を処方してもらいましょう。
初期脱毛が発生する可能性がある
確率としては高くないものの、フィナステリドを服用すると初期脱毛が発生することがあります。
これはヘアサイクルが正常化する過程で発生するもので、休止期にある毛が成長期に入るために一定期間抜け毛が多くなってしまいます。
フィナステリドを服用して「抜け毛が増えた」と感じる場合は、初期脱毛によるものと考えましょう。
新しく髪を増やすのは難しい
フィナステリドは毛が抜けないようにするための予防のお薬で、新しく毛を生やす効果はありません。
そのため、現在すでに薄毛になっていて、髪を増やして薄毛を改善したいと考えているなら、フィナステリドだけでは治療できません。
髪を増やす発毛効果があるお薬はミノキシジルです。
フィナステリドを処方しているクリニックの多くは、ミノキシジルも処方してもらえるので、医師に相談してみましょう。
まとめ
- フィナステリドとはAGAの内服治療薬で安さが魅力
- 発毛効果はなく抜け毛を予防する守りのお薬
- 個人輸入の利用は避けてクリニックにて処方してもらう
フィナステリドはAGAの内服治療薬です。内服薬の中でも特に安く、AGAの治療をするには欠かせないお薬でもあります。
そんなフィナステリドは、AGAは男性ホルモンと酵素が結びつくことで、脱毛の原因のホルモンであるDHTが生成されます。フィナステリドはこの酵素を阻害する効果があります。
そのため、これから発生する抜け毛を防ぎやすくなります。言い換えると、新しく毛を早く効果はないということでもあるので、発毛をしたい場合は別のお薬も併用する必要があります。
個人輸入でも購入できますが、粗悪品を購入してしまう可能性もあるため、必ずクリニックにて処方してもらいましょう。
【参考文献】
男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版
臨床発毛医学の現状と展望 2018
毛と毛包の解剖・毛髪異常