鏡を見るたびに生え際や頭頂部が気になり、「AGAの進行速度はどのくらいなのか」と不安になっている方も多いのではないでしょうか。
AGAは進行性の脱毛症ですが、その速度には大きな個人差があります。
一般的には年単位でゆっくりと進行しますが、遺伝的要因やホルモンの影響、生活習慣などによって進行速度は変わります。
早期に適切な治療を始めることで進行を遅らせられる可能性が高いという点が重要です。
本記事では、AGAの進行速度の目安、個人差が生まれる要因、そして進行を遅らせるための具体的な対策を医学的根拠に基づいて解説します。
ご自身の状況に合った治療法を見つける参考にしてください。
- AGAの進行速度は年単位でゆっくりだが個人差が大きい
- 遺伝・ホルモン・生活習慣が進行速度に影響する
- 早期治療で進行を約90%抑制できる可能性がある
- 結論:AGAの進行速度には個人差がありますが、早期に医師に相談して適切な治療を始めることで、進行を大きく遅らせることができます。

2005年設立の株式会社ゼロメディカルで、医療・介護・福祉領域における経営支援や医療情報メディア運営、WEBマーケティングを統括。医療機関や関連施設の課題解決を支えるとともに、Kenkotto/Diamell/デンタルマイクロスコープClinic などの自社メディアを通じて、正確で分かりやすい情報を届ける体制づくりに取り組んでいる。
本記事では、医療機関の経営支援と医療メディア運営で培った知見にもとづき、情報の客観性・表記の妥当性・最新性を確認しています(※個別の診断・治療方針の判断は医師が行います)。
AGAの進行速度には個人差がある|一般的な目安
AGAの進行速度を理解するために、まずは基本的なメカニズムと一般的な目安を確認しましょう。進行の仕方は人によって異なりますが、共通する特徴もあります。
AGAは進行性の脱毛症
AGAは一度始まると自然に止まることはなく、放置すればゆっくりと進行し続けるのが特徴です。
AGA(男性型脱毛症)は、男性ホルモンの一種であるDHT(ジヒドロテストステロン)が毛包に作用することで発症する進行性の脱毛症です。
DHTは、テストステロンが5α還元酵素という酵素によって変換されることで生成されます。このDHTが毛乳頭細胞の受容体に結合すると、毛髪の成長期が短縮され、毛包がミニチュア化(小型化)していきます。
その結果、太く長い毛髪が育たなくなり、細く短い軟毛が増えていくことで薄毛が進行します。
※効果には個人差があります。詳しくは医師にご相談ください。
進行速度は年単位でゆっくり進む
AGAは数年かけて少しずつ毛髪が細く短くなり、頭皮が透けて見えるようになっていくのが一般的です。
AGAの進行速度は、一般的には年単位でゆっくりと進みます。急激に数ヶ月で薄毛が進行するというよりも、数年かけて少しずつ毛髪が細く短くなり、頭皮が透けて見えるようになっていくケースが多いです。
例えば、初期段階(ハミルトン・ノーウッド分類のⅠ型〜Ⅱ型)から中期段階(Ⅲ型〜Ⅳ型)に進むまでに3〜5年程度かかることが一般的です。ただし、これはあくまで目安であり、遺伝的要因やホルモンバランス、生活習慣によって進行速度は大きく変わります。
進行がゆっくりであるため、初期段階では気づきにくく、「最近薄くなってきた」と感じたときには既に数年が経過していることも少なくありません。そのため、早期発見と早期治療が重要になります。
20代と40代で進行速度が異なる
20代で発症した場合は比較的進行が早く、40代以降は比較的ゆっくりになる傾向があります。
AGAの進行速度は年齢によっても異なります。20代で発症した場合、男性ホルモンの活動が活発なため、比較的進行が早い傾向にあります。特に遺伝的要因が強い場合、20代後半から30代前半にかけて急速に進行するケースもあります。
一方、40代以降で発症した場合は、ホルモンの活動がやや落ち着いてくるため、進行速度は比較的ゆっくりになる傾向があります。ただし、40代でも遺伝的素因が強い場合や、生活習慣の乱れがある場合は進行が早まることがあります。
また、日本人男性の場合、20代で約10%、30代で約20%、40代で約30%、50代以降で約40%以上がAGAを発症するとされています。年齢が上がるにつれて発症率は高くなりますが、進行速度自体は個人差が大きいのが実情です。
AGAの進行パターンは7つ|ハミルトン・ノーウッド分類
AGAの進行パターンを客観的に評価するために、国際的に広く使われているのが「ハミルトン・ノーウッド分類」です。この分類を理解することで、ご自身の進行度を把握しやすくなります。
Ⅰ型〜Ⅶ型までの進行段階
AGAの進行度はⅠ型からⅦ型までの7段階で分類されるのが一般的です。
ハミルトン・ノーウッド分類は、AGAの進行度をⅠ型からⅦ型までの7段階に分類したものです。1951年にハミルトン医師が提唱し、1975年にノーウッド医師が改訂したことで現在の形になりました。
Ⅰ型(初期)
生え際がわずかに後退し始めた状態。多くの場合、本人も気づかない程度の変化です。
Ⅱ型(軽度)
生え際の後退が明確になり、額の両サイド(こめかみ部分)がM字型に薄くなり始めます。
Ⅲ型(中期)
生え際の後退がさらに進み、M字がはっきりします。頭頂部にも薄毛の兆候が現れ始めることがあります。
Ⅳ型(中期〜進行期)
前頭部と頭頂部の薄毛が進行し、両者の間に毛髪が残っている状態です。
Ⅴ型(進行期)
前頭部と頭頂部の薄毛がさらに広がり、間に残っていた毛髪も細くなってきます。
Ⅵ型(かなり進行)
前頭部と頭頂部の薄毛が一体化し、側頭部と後頭部にのみ毛髪が残ります。
Ⅶ型(最終段階)
側頭部と後頭部の毛髪も減少し、毛髪が残っているのはごくわずかな範囲のみになります。
この分類は医師が治療方針を決める際の重要な指標となります。
日本人に多い進行パターン
日本人ではM字型とO字型が多く、同時進行することも珍しくないのが特徴です。
日本人のAGAには、欧米人とは異なる進行パターンが見られることがあります。特に多いのは以下の2つです。
M字型進行(Ⅱ型〜Ⅲ型)
生え際の両サイドから後退していくパターンで、日本人に最も多く見られます。額がM字型に広がっていくのが特徴です。
O字型進行(頭頂部型)
頭頂部から円形に薄くなっていくパターンです。自分では気づきにくく、他人に指摘されて初めて気づくケースも多いです。
日本人の場合、M字型とO字型が同時進行することも珍しくなく、Ⅲ型以降では両方の特徴が現れることが多いです。また、日本人は比較的Ⅳ型〜Ⅴ型で進行が止まることが多く、Ⅶ型まで進行するケースは欧米人より少ない傾向にあります。
自分の進行度をチェックする方法
最も確実な方法は医療機関での専門医の診察です。
ご自身の進行度を確認するには、以下の方法が有効です。
鏡で確認
正面と頭頂部を鏡で確認し、生え際の後退や頭頂部の薄毛をチェックします。スマートフォンのカメラで頭頂部を撮影すると、普段見えない部分も確認できます。
過去の写真と比較
数年前の写真と現在の状態を比較することで、進行の程度を客観的に把握できます。
医療機関での診断
最も確実な方法は、AGAクリニックや皮膚科で専門医の診察を受けることです。マイクロスコープなどを使った詳細な診断により、正確な進行度と最適な治療法を提案してもらえます。
進行度を把握することは、適切な治療法を選択するための第一歩です。早期段階であれば治療の選択肢も広がり、効果も出やすくなります。
AGAの進行速度を決める要因は4つ|なぜ個人差があるのか
AGAの進行速度には大きな個人差がありますが、それにはいくつかの要因が関係しています。主な要因を理解することで、ご自身のリスクを把握しやすくなります。
遺伝的要因(最も影響が大きい)
AGAの進行速度に最も大きく影響するのが遺伝的要因です。
AGAの進行速度に最も大きく影響するのが遺伝的要因です。特に、母方の祖父がAGAである場合、遺伝する可能性が高いとされています。これは、DHTを受け取る受容体の感受性に関する遺伝子が、X染色体上にあるためです。
遺伝的にDHTへの感受性が高い方は、同じ量のDHTでも毛包がより強く影響を受けるため、進行が早くなる傾向があります。また、5α還元酵素の活性度も遺伝的に決まるため、DHTの生成量自体にも個人差が生まれます。
遺伝的要因は変えることができませんが、早期に治療を始めることで進行を大きく遅らせることができます。家族にAGAの方がいる場合は、早めの対策を検討することが重要です。
男性ホルモン(DHT)の影響
DHTの生成量や毛包の受容体の感受性には個人差があり、これが進行速度の違いに直結します。
AGAの直接的な原因となるのが、男性ホルモンの一種であるDHT(ジヒドロテストステロン)です。DHTは、テストステロンが5α還元酵素によって変換されることで生成されます。
DHTの生成量や毛包の受容体の感受性には個人差があり、これが進行速度の違いに直結します。体質的にDHTが多く生成される方や、受容体の感受性が高い方は、進行が早くなる傾向があります。
現在、AGA治療の主流となっているフィナステリドやデュタステリドは、5α還元酵素を阻害することでDHTの生成を抑制し、進行を遅らせる薬です。
生活習慣(食事・睡眠・運動)
生活習慣は頭皮環境や毛髪の健康状態を左右するため、無視できない要因です。
生活習慣もAGAの進行速度に影響を与えます。直接的な原因ではありませんが、頭皮環境や毛髪の健康状態を左右するため、無視できない要因です。
食事
タンパク質、ビタミン、ミネラル(特に亜鉛)が不足すると、毛髪の成長に必要な栄養が届かず、進行が早まる可能性があります。バランスの良い食事を心がけましょう。
睡眠
睡眠不足は成長ホルモンの分泌を妨げ、毛髪の成長サイクルに悪影響を与えます。質の良い睡眠を7〜8時間確保することが理想です。
運動
適度な運動は血行を促進し、頭皮への栄養供給を改善します。ただし、過度な運動はストレスになることもあるため、適度な範囲で継続することが大切です。
ストレス
慢性的なストレスは血行不良を引き起こし、頭皮への栄養供給が低下します。
ストレスはAGAの進行を加速させる要因の1つです。慢性的なストレスは、自律神経のバランスを乱し、血行不良を引き起こします。その結果、頭皮への栄養供給が低下し、毛髪の成長が妨げられます。
また、ストレスはホルモンバランスにも影響を与え、間接的にAGAの進行を早める可能性があります。仕事や人間関係のストレスが強い場合は、リラックスできる時間を意識的に作ることが重要です。
ただし、ストレスだけがAGAの原因になることはなく、あくまで進行を早める一因と考えるべきです。根本的な対策としては、医療機関での治療が最も効果的です。
AGAの進行を遅らせる方法は5つ|具体的な対策
AGAの進行を遅らせるためには、医学的根拠に基づいた対策を実践することが重要です。以下に、効果が期待できる具体的な方法を優先順位順に紹介します。
早期発見・早期治療(最も効果的)
AGAの進行を遅らせる最も効果的な方法は、早期発見と早期治療です。
AGAの進行を遅らせる最も効果的な方法は、早期発見と早期治療です。AGAは進行性の疾患であり、放置すればするほど毛包のミニチュア化が進み、治療効果が得られにくくなります。
初期段階(ハミルトン・ノーウッド分類のⅠ型〜Ⅱ型)で治療を開始すれば、内服薬や外用薬だけで十分な効果が期待できます。一方、Ⅳ型以降まで進行してしまうと、回復できる毛髪の量が限られてしまいます。
「最近薄くなってきたかも」と感じたら、自己判断せずに早めに医療機関を受診することが大切です。AGAクリニックでは、マイクロスコープによる頭皮診断や血液検査などで正確な診断が可能です。
※効果には個人差があります。詳しくは医師にご相談ください。
AGA治療薬の使用
日本皮膚科学会のガイドライン(2017年版)で推奨度Aとされている治療薬が中心となります。
AGA治療の中心となるのが、医薬品による治療です。日本皮膚科学会のガイドライン(2017年版)で推奨度Aとされているのは、以下の治療薬です。
フィナステリド(プロペシア)
5α還元酵素II型を阻害し、DHTの生成を抑制します。1日1回1mgの内服で、約90%の方に進行抑制効果が認められています。
デュタステリド(ザガーロ)
5α還元酵素I型とII型の両方を阻害するため、フィナステリドより強力な効果が期待できます。1日1回0.5mgの内服が標準的です。
ミノキシジル外用薬
毛包に直接作用し、発毛を促進します。国内では5%濃度までが承認されており、1日2回の塗布が推奨されます。
これらの薬は医師の処方が必要です。自己判断での個人輸入は、偽造品のリスクや副作用が出た際の救済制度の対象外となる可能性があるため、避けるべきです。
生活習慣の改善
生活習慣の改善は、AGA治療の効果を高めるための補助的な対策として有効です。
生活習慣の改善は、AGA治療の効果を高めるための補助的な対策として有効です。以下の点を意識しましょう。
バランスの良い食事
タンパク質、ビタミンB群、ビタミンE、亜鉛などを積極的に摂取します。特に亜鉛は5α還元酵素の働きを抑制する効果が報告されています。
質の良い睡眠
成長ホルモンは睡眠中に分泌されるため、毎日7〜8時間の睡眠を確保することが理想です。就寝前のスマートフォンの使用は控え、睡眠の質を高めましょう。
適度な運動
ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動は、血行を促進し頭皮環境を改善します。週3回、30分程度の運動を目安に継続しましょう。
ただし、生活習慣の改善だけでAGAの進行を止めることは難しいため、医薬品治療と併用することが重要です。
頭皮ケアの実践
頭皮環境を整えることは、AGA治療の効果を最大化するために重要です。
頭皮環境を整えることは、AGA治療の効果を最大化するために重要です。以下の頭皮ケアを日常的に実践しましょう。
正しいシャンプー方法
爪を立てずに指の腹で優しく洗い、しっかりとすすぎます。洗浄力が強すぎるシャンプーは避け、頭皮に優しいアミノ酸系シャンプーを選ぶと良いでしょう。
頭皮マッサージ
血行を促進するために、1日5分程度の頭皮マッサージが効果的です。ただし、強く押しすぎると逆効果になるため、優しく揉みほぐすようにします。
紫外線対策
紫外線は頭皮にダメージを与え、毛髪の成長を妨げます。帽子や日傘で頭皮を保護しましょう。
ストレス管理
ストレスを完全になくすことは難しいですが、適切に管理することは可能です。
ストレスを完全になくすことは難しいですが、適切に管理することは可能です。以下の方法を試してみましょう。
リラックスできる時間を作る
趣味や好きなことに取り組む時間を意識的に確保し、心身をリフレッシュさせます。
適度な運動
運動はストレス解消にも効果的です。ウォーキングやヨガなど、自分に合った方法を見つけましょう。
十分な睡眠
睡眠不足はストレスを増幅させます。規則正しい生活リズムを心がけましょう。
ストレス管理は単独での効果は限定的ですが、治療の効果を高める補助的な役割として重要です。
AGA治療薬による進行抑制効果|どのくらい遅らせられる?
AGA治療薬は、進行をどの程度遅らせることができるのでしょうか。主要な治療薬の効果と注意点を詳しく解説します。
フィナステリド(プロペシア)
約98%の方で進行が止まるか改善するという結果が出ています。
フィナステリドは、日本で2005年に承認されたAGA治療薬で、最も広く使用されている内服薬の1つです。5α還元酵素II型を阻害し、DHTの生成を約70%抑制します。
進行抑制率と効果
臨床試験では、フィナステリド1mgを1年間継続した場合、約58%の方に改善効果が見られ、約40%の方で現状維持が確認されました。つまり、約98%の方で進行が止まるか改善するという結果が出ています。
効果が現れるまでには通常3〜6ヶ月かかり、最大の効果を得るには1年以上の継続が必要です。
ただし、効果には個人差があり、進行度が進んでいる場合は効果が限定的になることもあります。
使用上の注意
主な副作用として、性欲減退(1.1%)、勃起不全(0.7%)が報告されています。
これらの症状が現れた場合は、医師にご相談ください。多くの場合、服用を中止することで症状は改善します。
また、フィナステリドは女性、特に妊娠中の女性には禁忌です。男性胎児の生殖器発育に影響を与える可能性があるため、妊娠中の女性は触れることも避ける必要があります。
※効果には個人差があります。詳しくは医師にご相談ください。
デュタステリド(ザガーロ)
フィナステリドと比較して約1.6倍の発毛効果が確認されています。
デュタステリドは、2016年に日本で承認されたAGA治療薬で、フィナステリドよりも強力な効果が期待できます。5α還元酵素I型とII型の両方を阻害し、DHTの生成を約90%抑制します。
フィナステリドとの違い
フィナステリドがII型のみを阻害するのに対し、デュタステリドはI型とII型の両方を阻害するため、より広範囲にDHTの生成を抑えることができます。臨床試験では、フィナステリドと比較して約1.6倍の発毛効果が確認されています。
特に頭頂部の薄毛に対する効果が高く、フィナステリドで十分な効果が得られなかった方が切り替えるケースも多いです。
より強力な効果
臨床試験では、デュタステリド0.5mgを6ヶ月間継続した場合、平均で89.6本/cm²の毛髪数増加が確認されました。これはフィナステリドの約1.6倍の増加量です。
主な副作用として、性欲減退(約3.9%)、勃起不全(約4.3%)、射精障害(約1.0%)などがあります。
フィナステリドと比較してやや副作用の発生率が高い傾向にありますが、多くの場合は軽度です。
※効果には個人差があります。詳しくは医師にご相談ください。
ミノキシジル(外用・内服)
毛包に直接作用し、発毛を促進する薬です。
ミノキシジルは、毛包に直接作用して発毛を促進する薬です。外用薬と内服薬の2つの形態があります。
発毛促進の仕組み
ミノキシジルは、毛包の毛乳頭細胞に作用し、血管拡張作用と細胞の増殖・成長を促進する作用があります。これにより、毛髪の成長期が延長され、太くて長い毛髪が育ちやすくなります。
外用ミノキシジルは、日本皮膚科学会のガイドライン(2017年版)で推奨度Aとされており、国内では1%と5%の濃度が承認されています。5%の方がより高い効果が期待できます。
外用と内服の違い
外用ミノキシジル
頭皮に直接塗布するタイプで、国内承認薬です。1日2回の使用で、4ヶ月以上の継続が推奨されます。主な副作用は頭皮のかゆみや発赤で、全身性の副作用は少ないのが特徴です。
内服ミノキシジル
AGA治療目的では国内未承認ですが、多くのクリニックで発毛プランの一環として処方されています。外用薬より強力な効果が期待できる一方、全身性の副作用(むくみ、動悸、多毛など)に注意が必要です。
日本皮膚科学会のガイドライン(2017年版)では推奨度Dとされていますが、その後の研究で安全性データが蓄積されており、医師の管理下で適切に使用すれば有力な選択肢となります。1,404名を対象とした研究(2021年)では、副作用発生率は比較的低く、最も多い副作用は多毛症(15.1%)で、副作用による治療中止率は1.2%と報告されています。
※効果には個人差があります。詳しくは医師にご相談ください。
出典:J Am Acad Dermatol:Safety of low-dose oral minoxidil for hair loss
治療開始後の進行速度の変化
約90%以上の方で進行が抑制され、多くの場合は現状維持または改善が期待できるのが一般的です。
AGA治療薬を使用することで、進行速度は大きく遅くなります。フィナステリドやデュタステリドは、継続使用により約90%以上の方で進行が抑制され、多くの場合は現状維持または改善が期待できます。
ただし、治療を中断するとDHTの生成が再び増加し、進行が再開します。そのため、効果を維持するには継続的な使用が必要です。治療開始後3〜6ヶ月で効果が現れ始め、1年以上継続することで最大の効果が得られます。
また、進行度が初期段階であるほど治療効果が高く、回復できる毛髪の量も多くなります。早期に治療を始めることの重要性がここにあります。
治療を始めるタイミングで効果が変わる|早期治療が重要な理由
AGA治療は、始めるタイミングによって効果が大きく変わります。なぜ早期治療が重要なのか、医学的な理由を解説します。
毛包のミニチュア化と回復の限界
毛包が機能を失う前に治療を始めることが、最大の効果を得るための鍵となります。
AGAが進行すると、毛包はDHTの影響で徐々に小さくなり(ミニチュア化)、最終的には毛髪を生やす機能を失います。このミニチュア化が進むと、治療薬を使用しても元の太さや長さに戻すことが難しくなります。
初期段階では、毛包はまだ機能を保っているため、DHTの生成を抑制すれば回復が期待できます。しかし、完全にミニチュア化してしまった毛包は、薬では回復できません。この状態になると、自毛植毛などの外科的治療が選択肢となります。
つまり、毛包が機能を失う前に治療を始めることが、最大の効果を得るための鍵となります。
進行度別の治療効果の違い
初期段階は現状維持から大幅な改善まで見込めるのに対し、進行期は新たな発毛が限定的です。
進行度によって、治療で期待できる効果は以下のように変わります。
Ⅰ型〜Ⅱ型(初期)
内服薬と外用薬だけで十分な効果が期待でき、現状維持から大幅な改善まで見込めます。治療開始後の満足度が最も高い段階です。
Ⅲ型〜Ⅳ型(中期)
進行抑制は十分期待できますが、完全な回復は難しい場合があります。内服薬に加えて、外用薬や注入治療を併用することで効果を高められます。
Ⅴ型以降(進行期)
進行抑制は可能ですが、新たな発毛は限定的です。自毛植毛などの外科的治療を検討する段階となります。
この違いからも、早期に治療を始めることの重要性が分かります。
手遅れになる前に始めるべき理由
早期に治療を始めた方が、治療費の総額も抑えられる傾向があります。
AGAは自然に止まることのない進行性の疾患です。「まだ大丈夫」と先延ばしにしていると、気づいたときには治療の選択肢が限られてしまいます。
また、早期に治療を始めた方が、治療費の総額も抑えられる傾向があります。初期段階では内服薬と外用薬だけで済みますが、進行してからでは注入治療や植毛など高額な治療が必要になることもあります。
「最近薄くなってきたかも」と感じたら、まずは医療機関で診察を受けることをおすすめします。早期発見・早期治療が、最も経済的で効果的な対策です。
進行速度を完全に止められる?|治療の現実的な期待値
AGA治療に取り組むとき、「完全に進行を止められるのか」という疑問を持つ方は多いでしょう。現実的な期待値を理解しておくことが大切です。
進行抑制率は約90%
治療の目標は「完全に止める」ことではなく、「進行を大幅に遅らせる」または「現状を維持する」ことと考えるのが現実的です。
フィナステリドやデュタステリドなどのAGA治療薬は、臨床試験で約90%以上の方に進行抑制効果が認められています。これは非常に高い確率ですが、「100%完全に止まる」わけではありません。
治療を継続しても、ごくゆっくりと進行が続く方もいますし、効果が十分に得られない方も一定数存在します。また、治療開始時の進行度や年齢、遺伝的要因によっても効果には個人差があります。
治療の目標は「完全に止める」ことではなく、「進行を大幅に遅らせる」または「現状を維持する」ことと考えるのが現実的です。
治療中断後のリバウンド
治療で得られた改善効果は、継続することで維持されますが、中断すると失われてしまうため注意が必要です。
AGA治療薬は、使用を中止するとDHTの生成が再び増加し、進行が再開します。多くの場合、中止後数ヶ月で治療前の状態に戻り、その後は自然な進行速度で薄毛が進んでいきます。
治療で得られた改善効果は、継続することで維持されますが、中断すると失われてしまうため、「一時的に治療して終わり」という考え方は適切ではありません。
経済的な理由や副作用などで治療を中断したい場合は、自己判断せず医師に相談し、適切な対応を検討することが重要です。
生涯継続が原則
AGA治療は、効果を維持するために生涯継続することが原則です。
AGA治療は、効果を維持するために生涯継続することが原則です。これは、AGAの根本的な原因である遺伝的要因やホルモンの影響を完全に取り除くことができないためです。
長期的な視点で治療計画を立て、無理なく継続できる方法を選ぶことが大切です。例えば、内服薬だけにする、オンライン診療を活用する、ジェネリック医薬品を選ぶなど、ライフスタイルや予算に合わせた選択肢があります。
治療を始める前に、「生涯継続する」という前提を理解した上で、医師と相談しながら最適な治療法を選びましょう。
おすすめAGAクリニック5選|進行抑制に実績のある施設
AGAの進行を効果的に遅らせるためには、信頼できるクリニックで適切な治療を受けることが重要です。ここでは、進行抑制に実績のあるおすすめのクリニックを紹介します。
DMMオンラインクリニック

| DMMオンラインクリニックの基本情報 | |
|---|---|
| 予防プラン | フィナステリド1mg 2,097円(税込)~/月 |
| 発毛プラン | フィナステリド1mg+ミノキシジル5mg 初回1ヶ月あたり:1,861円(税込)/月 ※発毛ライトプラン12か月プランで(クーポンコード:docaga)を適用した場合 |
| 診察費 | 0円 |
| オンライン診療 | オンライン診療クリニック 診察料:0円 送料:550円 診察時間:24時間 |
| 治療内容 | 内服薬・外用薬・サプリメント・ヘアケア |
| 保証内容 | 全額返金保証(らくらく定期便1ヶ月ごとで決済し、薬が体に合わなかった場合) |
- 24時間オンライン診療に対応
- クーポンコードキャンペーンがある
- 全額返金保証がある
DMMオンラインクリニックは、DMMグループが運営するオンラインクリニックです。24時間診療可能で、忙しい方でも自宅から気軽に受診できる点が大きな魅力です。
予防プラン(フィナステリド1mg)は月額2,097円〜、発毛プラン(フィナステリド1mg+ミノキシジル5mg)は初回1,861円〜と、長期プランを利用することで非常にリーズナブルな価格で治療を継続できます。
オンライン診療に特化しているため、通院の手間がなく、プライバシーも守られます。初めてAGA治療を検討している方や、忙しくて通院が難しい方に特におすすめです。
※効果には個人差があります。詳しくは医師にご相談ください。
クリニックフォア

| クリニックフォアの基本情報 | |
|---|---|
| 予防プラン | フィナステリド 初回1か月あたり:1,049円(税込)/月 ※12ヶ月まとめて定期にキャンペーン(クーポンコード:YOBO2024C)を適用した場合 |
| 発毛プラン | フィナステリド+ミノキシジル合剤 初回1か月あたり:1,851円(税込)/月 ※12ヶ月まとめて定期にキャンペーン(クーポンコード:AGA2024C)を適用した場合 |
| 診察費 | 0円 ※処方がない場合:1,650円 |
| オンライン診療 | 基本オンライン診療 診察料:0円 ※処方がない場合:1,650円 送料:550円 診察時間:7:00〜24:00 |
| 治療内容 | 内服薬・外用薬・サプリメント |
| 保証内容 | 全額返金保証(治療開始後どうしても薬が体に合わなかった場合) ※単品1ヶ月、単品3ヶ月、単品6ヶ月は対象外 |
- キャンペーンコード利用でお得
(予防プラン:1,049円/月〜・発毛プラン:1,851円/月〜) - 定期配送なら単月処方の15%OFFとお得
- 発毛プランが合剤で1日1錠服用で治療ができる
クリニックフォアは、オンライン診療と対面診療の両方に対応しているクリニックです。主要都市に10院以上を展開しており、ライフスタイルに合わせて受診方法を選べます。
予防プラン(フィナステリド)は初回1,049円〜、発毛プラン(フィナステリド+ミノキシジル合剤)は初回1,851円〜と、12ヶ月まとめて定期プランを利用することで大幅な割引が受けられます。
専用アプリで予約から薬の配送まで一元管理でき、利便性が高い点も特徴です。定期便の割引率が高いため、長期的にコストを抑えたい方に適しています。
※効果には個人差があります。詳しくは医師にご相談ください。
湘南AGAクリニック

| 湘南美容クリニック・湘南AGAクリニックの基本情報 | |
|---|---|
| 予防プラン | フィナステリド 1ヶ月:3000円(税込) |
| 発毛プラン | HRタブレットF(フィナステリド)+HRタブレットM(ミノキシジル) 3ヶ月まとめて:25,500円(税込) |
| 診察費 | 0円 |
| オンライン診療 | 初診からオンライン診療ができる 診察時間:9:30〜20:30 休診日:なし |
| 治療内容 | 内服薬・外用薬・注入治療等・自毛植毛・サプリメント |
| 保証内容 | 全額返金(3ヶ月間治療を継続して効果がない場合) |
- 3ヶ月のM字発毛実感コースがある
- オンライン診療にも対応
- 全額返金制度がある
湘南AGAクリニックは、全国140院以上を展開する大手クリニックで、圧倒的な通いやすさが魅力です。地方在住の方でも近くのクリニックで治療を受けられる可能性が高いです。
予防プラン(フィナステリド)は月額3,000円、発毛プラン(HRタブレットF+HRタブレットM)は3ヶ月まとめて25,500円(月額換算8,500円)と、明確な料金設定が特徴です。
投薬治療から植毛まで幅広い治療選択肢があり、進行度に応じた最適な治療を提案してもらえます。大手美容クリニックの安心感もあり、初めての方でも相談しやすい環境が整っています。
※効果には個人差があります。詳しくは医師にご相談ください。
AGAスキンクリニック

| AGAスキンクリニックの基本情報 | |
|---|---|
| 予防プラン | フィナステリド1mg 初回:3,700円(税込)/2回目以降:6,200円(税込) |
| 発毛プラン | ミノキシジル内服薬 12ヶ月プランまとめて:8,400円(税込) |
| 診察費 | 0円 |
| オンライン診療 | 月額定額制プラン(サブスク) 初回はクリニックで診察をする ※札幌院・松山院・高知院・福岡院・小倉院・熊本院・沖縄院限定 診察料:0円 診察時間 :クリニックの診察時間に従う |
| 治療内容 | 内服薬・外用薬・注入治療・自毛植毛・ホームケア |
| 保証内容 | 全額返金保証(6ヶ月後に治療効果がないと認められた場合) |
- 初回カウンセリング時、血液検査・マイクロスコープ診断が無料
- 月額3,700円から始められる
- 初回処方から6ヶ月たっても実感がなければ全額返金保証
AGAスキンクリニックは、全国60院以上を展開するAGA専門クリニックです。発毛実感率99.4%という高い実績を誇り、オリジナル治療薬「Rebirth」による総合的な治療が特徴です。
予防プラン(フィナステリド1mg)は初回3,700円、2回目以降6,200円。発毛プラン(ミノキシジル内服薬)は12ヶ月プランで月額8,400円です。
全額返金保証制度があるため、効果に不安を感じている方でも安心して治療を始められます。夜22時まで診療している院もあり、仕事帰りに通院しやすい点も魅力です。
※効果には個人差があります。詳しくは医師にご相談ください。
イースト駅前クリニック

| イースト駅前クリニックの基本情報 | |
|---|---|
| 予防プラン | フィナステリド(国内正規薬) 1ヶ月限定プラン:1,650円(税込) |
| 発毛プラン | フィナステリド(国内正規薬)+ミノキシジル内服薬 6ヶ月分まとめて処方で35,670円(税込) ※1ヶ月あたり5,945円 |
| 診察費 | 0円 |
| オンライン診療 | 初診からオンライン診療ができる 診察料:0円 ※処方のない場合:3,300円 送料:1,100円 ※AGA治療の全プラン 1万円以上で送料無料 診察時間:月〜金:10:00~21:00 土日祝:10:00~17:30 休診日:なし |
| 治療内容 | 内服薬・外用薬 |
| 保証内容 | ー |
- トライアルプランで初月安価で始められる
- 対面診療は予約不要 10分の診察で治療薬を受け取れる
- オンライン診療は初回から来院不要
イースト駅前クリニックは、男性専門クリニックとして全国42院を展開しています。駅近の立地で通いやすく、処方までがスピーディーな点が特徴です。
予防プランは月額1,650円〜、発毛プランは月額5,945円〜と、リーズナブルな価格設定が魅力です。シンプルな治療プランで分かりやすく、初めての方でも安心して受診できます。
男性専門クリニックなので、女性の目を気にせず相談できる環境が整っています。オンライン診療にも対応しており、忙しい方や遠方の方でも利用しやすいです。
※効果には個人差があります。詳しくは医師にご相談ください。
まとめ
AGAの進行速度には大きな個人差がありますが、一般的には年単位でゆっくりと進行します。遺伝的要因、男性ホルモン(DHT)の影響、生活習慣、ストレスなどが進行速度に関与しており、特に遺伝的要因の影響が最も大きいとされています。
進行パターンはハミルトン・ノーウッド分類でⅠ型〜Ⅶ型に分類され、日本人ではM字型とO字型が多く見られます。進行を遅らせるには、早期発見・早期治療が最も効果的であり、フィナステリドやデュタステリドなどの治療薬を使用することで、約90%以上の方に進行抑制効果が期待できます。
ただし、治療は生涯継続が原則であり、中断すると進行が再開します。また、進行度が進むほど治療効果は限定的になるため、「最近薄くなってきた」と感じたら早めに医療機関を受診することが重要です。
AGAは進行性の疾患ですが、適切な治療により進行を大幅に遅らせることができます。ご自身の進行度や生活スタイルに合った治療法を、医師と相談しながら選択しましょう。
※効果には個人差があります。詳しくは医師にご相談ください。

2005年設立の株式会社ゼロメディカルで、医療・介護・福祉領域における経営支援や医療情報メディア運営、WEBマーケティングを統括。医療機関や関連施設の課題解決を支えるとともに、Kenkotto/Diamell/デンタルマイクロスコープClinic などの自社メディアを通じて、正確で分かりやすい情報を届ける体制づくりに取り組んでいる。
本記事では、医療機関の経営支援と医療メディア運営で培った知見にもとづき、情報の客観性・表記の妥当性・最新性を確認しています(※個別の診断・治療方針の判断は医師が行います)。









