AGA治療は保険適用できる？条件や費用相場について解説

「AGA治療を始めたいけど、保険は使えるのかな」と気になっていませんか？

結論から言うと、AGA（男性型脱毛症）の治療には健康保険が適用されません。

AGAは命に関わる病気ではなく、美容目的の治療とみなされるためです。

そのため治療費は全額自己負担となり、月々数千円から数万円の費用がかかります。

しかし、治療費を抑える方法はいくつかあります。ジェネリック医薬品の選択やオンライン診療の活用、長期プランの利用などで、費用を大幅に抑えることが可能です。

本記事では、AGA治療が保険適用されない理由から、例外的に保険が使える脱毛症、治療費の相場、そして費用を抑える具体的な方法まで詳しく解説します。

この記事の監修者

原 征弘
株式会社ゼロメディカル 代表取締役

2005年設立の株式会社ゼロメディカルで、医療・介護・福祉領域における経営支援や医療情報メディア運営、WEBマーケティングを統括。医療機関や関連施設の課題解決を支えるとともに、Kenkotto／Diamell／デンタルマイクロスコープClinic などの自社メディアを通じて、正確で分かりやすい情報を届ける体制づくりに取り組んでいる。

本記事では、医療機関の経営支援と医療メディア運営で培った知見にもとづき、情報の客観性・表記の妥当性・最新性を確認しています（※個別の診断・治療方針の判断は医師が行います）。

AGA治療は保険適用されない｜その理由を解説

AGA治療を検討するとき、まず知っておきたいのが保険適用の有無です。残念ながら、AGA治療には健康保険が適用されません。これは治療費が全額自己負担になることを意味します。なぜ保険が使えないのか、その理由を詳しく見ていきましょう。

AGAは「美容目的」の自由診療に分類される

健康保険が適用される医療行為は、病気やケガの治療など、健康上の問題を解決するために必要なものに限られます。厚生労働省の基準では、保険適用の条件として「疾病の治療を目的とした診療」であることが求められています。

AGAは「美容目的」の自由診療に分類されています。AGAは確かに医学的には「疾患」として認められていますが、命に関わるものではなく、日常生活に支障をきたすわけでもありません。そのため、美容整形や歯のホワイトニングと同じ扱いなんですね。

自由診療はクリニックが独自に価格を設定

同じ薬を処方されても、クリニックによって費用が異なるのはこのためです。

医療費控除も基本的には対象外

「保険がダメなら、せめて医療費控除で税金が戻ってこないかな」と考える方もいるでしょう。しかし、AGA治療は医療費控除の対象にも基本的にはなりません。

AGA治療は医療費控除の対象外です。医療費控除は、治療目的の医療費が対象です。AGA治療は美容目的とみなされるため、原則として控除対象外となります。ただし、他の疾患（たとえば脂漏性皮膚炎など）の治療の一環としてAGA治療薬が処方された場合は、例外的に控除が認められるケースもあります。

保険適用される脱毛症もある｜AGAとの違いをチェック

AGAは保険適用外ですが、すべての脱毛症がそうというわけではありません。原因によっては保険適用で治療できる脱毛症もあります。自分の薄毛がAGAなのか、それとも保険が使える脱毛症なのかを見極めることが大切です。

円形脱毛症は保険適用で治療できる

円形脱毛症は、免疫システムの異常によって起こる脱毛症です。自己免疫疾患の一種とされており、毛根を自分の免疫細胞が攻撃してしまうことで髪が抜け落ちます。

円形脱毛症は健康保険が適用されます。「疾患」として認められているため、皮膚科で診察を受け、ステロイド外用薬や内服薬、局所免疫療法などの治療を3割負担で受けることができます。症状によっては数回の通院で改善するケースもあり、AGA治療と比べると経済的な負担は軽くなることが多いです。

脂漏性皮膚炎による脱毛も保険が使える

頭皮の脂漏性皮膚炎が原因で抜け毛が増えている場合も、保険適用で治療できます。脂漏性皮膚炎は、皮脂の過剰分泌によって頭皮に炎症が起こる皮膚疾患です。フケやかゆみ、赤みを伴うことが多く、炎症によって毛根がダメージを受けて脱毛につながります。

脂漏性皮膚炎による脱毛も保険適用です。この場合、皮膚炎の治療が優先されます。抗真菌薬やステロイド外用薬で炎症を抑えることで、脱毛も改善していくことが期待できます。

AGAと他の脱毛症の見分け方

自分の脱毛がAGAなのか、それとも保険適用される脱毛症なのかを見分けるポイントを紹介します。

自己判断は禁物、複数の脱毛症が併発も

薄毛が気になったら、まずは皮膚科やAGA専門クリニックで診察を受けることをおすすめします。専門医による正確な診断を受けることで、適切な治療法と費用の見通しが立てられます。

AGA治療にかかる費用の目安｜治療法別に紹介

AGA治療は保険適用外のため、費用はすべて自己負担です。では、実際にどのくらいの費用がかかるのでしょうか。治療法によって月々数千円から数十万円まで幅があります。ここでは治療法ごとの費用相場を紹介します。

内服薬（フィナステリド・デュタステリド）の費用

AGA治療の基本となるのが内服薬です。フィナステリドとデュタステリドは、日本皮膚科学会のガイドライン（2017年版）で推奨度Aとされている治療薬です。

フィナステリドは、5α還元酵素II型を阻害してDHT（ジヒドロテストステロン）の生成を抑えます。AGAの進行を止める効果が期待でき、月々3,000円〜8,000円程度で処方されています。ジェネリック医薬品を選ぶと、さらに安くなることもあります。

デュタステリドは、5α還元酵素I型とII型の両方を阻害し、フィナステリドより強力にDHTを抑制します。費用は月々8,000円〜12,000円程度が相場です。

主な副作用として、性欲減退や勃起不全が報告されています。

出典:PMDA：プロペシア錠添付文書

外用薬（ミノキシジル）の費用

ミノキシジル外用薬は、頭皮の血行を促進し、毛母細胞を活性化させる効果があります。日本皮膚科学会ガイドラインで推奨度Aとされており、内服薬と併用されることが多いです。

国内で承認されている濃度は5%までで、ドラッグストアでも購入可能です。市販品は月々5,000円〜8,000円程度、クリニック処方の高濃度タイプは月々10,000円〜15,000円程度が相場となっています。

主な副作用として、頭皮のかゆみや発疹が報告されています。

出典:日本皮膚科学会：男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版

注入療法（メソセラピー）の費用

メソセラピーは、発毛成分を頭皮に直接注入する治療法です。内服薬や外用薬だけでは効果が不十分な場合に検討されることがあります。

費用は1回あたり15,000円〜80,000円程度で、月1〜2回の施術を6ヶ月〜1年程度継続するケースが一般的です。トータルでは数十万円の費用がかかることになります。

ガイドラインでは推奨度C2（行わないほうがよい）

なお、日本皮膚科学会のガイドライン（2017年版）では、成長因子導入療法は推奨度C2とされており、有効性の十分な根拠がないとされています。治療を受ける際は、医師とよく相談してください。

植毛治療の費用

植毛は、自分の後頭部などから毛髪を採取し、薄くなった部分に移植する外科的治療法です。一度植毛した毛髪は生涯生え続けるため、根本的な解決を求める方に選ばれています。

費用は移植する毛髪の本数によって異なり、500グラフトで50万円〜100万円程度、広範囲の場合は200万円〜300万円以上かかることもあります。投薬治療と比べると高額ですが、継続的な費用がかからない点がメリットです。

AGA治療費を抑える5つの方法

AGA治療は保険適用外ですが、工夫次第で費用を大幅に抑えることができます。月々2,000円程度から治療を始められるケースもあります。ここでは、治療費を抑える具体的な方法を5つ紹介します。

早めに治療を始める

AGA治療で最も費用を抑える方法は、実は「早めに治療を始めること」です。AGAは進行性の脱毛症なので、放置すればするほど症状は進みます。

初期段階であれば、フィナステリドの単剤処方だけで十分な効果が得られることが多いです。しかし、進行してしまうと複数の治療を組み合わせる必要が出てきたり、場合によっては植毛を検討することになったりと、費用が跳ね上がります。

早期相談で長期的な治療費を大幅に抑制

ジェネリック医薬品を選ぶ

フィナステリドやデュタステリドには、先発品（プロペシア、ザガーロ）よりも安価なジェネリック医薬品があります。ジェネリック医薬品は先発品と同じ有効成分・効果を持ちながら、価格が30〜50%程度安くなっています。

たとえば、プロペシア（先発品）が月々8,000円程度のところ、フィナステリドのジェネリックなら月々3,000円〜5,000円程度で処方してもらえます。年間で計算すると数万円の差になりますね。

効果は同じで価格は30〜50%安い

オンライン診療を活用する

最近はオンライン診療対応のAGAクリニックが増加しています。オンライン診療には以下のようなメリットがあります。

• 通院の交通費・時間を節約できる
• 対面クリニックより価格設定が安いことが多い
• 自宅で診察を受けられるので続けやすい
• 薬が自宅に届くので便利

テナント料削減で治療費も安い傾向

初期のAGAで投薬治療のみの場合は、オンライン診療が費用面でも利便性でもおすすめです。

長期プランや定期便で割引を受ける

多くのAGAクリニックでは、まとめ買いや定期配送プランを利用すると割引が適用されます。

たとえば、1ヶ月分ずつ購入するよりも、6ヶ月分や12ヶ月分をまとめて購入すると10〜30%程度安くなるケースがあります。AGA治療は継続が基本なので、長期的に続ける前提であればまとめ買いがお得です。

定期便で注文の手間も省ける

初回割引やキャンペーンを利用する

多くのAGAクリニックでは、初診料無料や初月割引などのキャンペーンを実施しています。これらを上手に活用すれば、治療開始時の費用を大幅に抑えられます。

たとえば、初月無料や初回980円といったキャンペーンを行っているクリニックもあります。最初の1〜2ヶ月は複数のクリニックのキャンペーンを比較検討し、自分に合ったクリニックを見つけるのも一つの方法です。

継続時の月額費用やサポート体制も要確認

費用を抑えて治療できるおすすめのAGAクリニック5院

ここからは、費用を抑えながらAGA治療ができるクリニックを紹介します。オンライン診療対応や長期プラン割引など、それぞれの特徴を参考にしてみてください。

DMMオンラインクリニック

DMMオンラインクリニックは、DMMが運営するAGA治療サービスです。24時間診療可能で、忙しい方でも自分の都合に合わせて診察を受けられます。

予防プラン（フィナステリド1mg）は月々2,097円〜、発毛プラン（フィナステリド+ミノキシジル）は12ヶ月プランでクーポン適用時に初回1ヶ月あたり1,861円〜と、業界でもトップクラスの低価格設定です。長期プランほど1ヶ月あたりの価格が安くなる料金体系で、継続しやすいのが特徴です。

クリニックフォア

クリニックフォアは、オンライン診療と対面診療の両方に対応しているクリニックです。全国に10院以上を展開しており、対面での診察を希望する方にも便利です。

予防プラン（フィナステリド）は12ヶ月まとめて定期にキャンペーン適用時で初回1ヶ月あたり1,049円〜、発毛プラン（フィナステリド+ミノキシジル合剤）は同条件で初回1ヶ月あたり1,851円〜となっています。定期便の割引率が高く、アプリで簡単に予約・管理できるのも魅力です。

湘南AGAクリニック

湘南AGAクリニックは、全国140院以上を展開する大手美容クリニックグループです。投薬治療から植毛まで幅広い治療選択肢があり、症状に合わせた治療プランを提案してもらえます。

予防プラン（フィナステリド）は月々3,000円、発毛プラン（HRタブレットF+HRタブレットM）は3ヶ月まとめて25,500円（1ヶ月あたり8,500円）となっています。全国に院があるため、対面での診察や相談を重視する方におすすめです。オンライン診療にも対応しています。

AGAスキンクリニック

AGAスキンクリニックは、全国60院以上を展開するAGA治療専門クリニックです。発毛実感率99.4%という実績を持ち、全額返金保証制度も用意されています。

予防プラン（フィナステリド1mg）は初回3,700円、2回目以降6,200円です。発毛プラン（ミノキシジル内服薬）は12ヶ月プランまとめてで月々8,400円となっています。オリジナル治療薬「Rebirth」や、夜22時まで診療している院もあり、仕事帰りの通院もしやすい環境です。

イースト駅前クリニック

イースト駅前クリニックは、全国42院を展開する男性専門クリニックです。駅近で通いやすく、予約から処方までがスピーディーなのが特徴です。

予防プランは月々1,650円〜、発毛プランは月々5,945円〜と、非常にリーズナブルな価格設定です。初めてAGA治療を受ける方でも気軽に相談できる雰囲気で、オンライン診療にも対応しています。

よくある質問（Q&A）

AGA治療と保険適用について、よく寄せられる質問にお答えします。

出典:厚生労働省：医薬品等の個人輸入について

まとめ

AGA治療は健康保険が適用されず、全額自己負担となります。これはAGAが美容目的の治療とみなされているためです。医療費控除も原則として対象外となっています。

ただし、すべての脱毛症が保険適用外というわけではありません。円形脱毛症や脂漏性皮膚炎による脱毛は保険適用で治療できます。薄毛が気になったら、まずは専門医に相談して正確な診断を受けることが大切です。

AGA治療の費用は、治療法によって月々数千円から数十万円まで幅があります。内服薬（フィナステリド、デュタステリド）を中心とした治療であれば、月々3,000円〜8,000円程度から始められます。

治療費を抑えるポイントは5つ。早めの治療開始、ジェネリック医薬品の選択、オンライン診療の活用、長期プランの利用、キャンペーンの活用です。これらを組み合わせれば、月々2,000円程度から治療を始めることも可能です。

治療効果には個人差があります

本記事でご紹介した治療法の効果には個人差があります。ご自身に合った治療法を選択するため、まずは専門医にご相談ください。AGA治療は継続が大切です。無理のない費用で、長く続けられる治療プランを見つけましょう。

この記事の監修者

原 征弘
株式会社ゼロメディカル 代表取締役

2005年設立の株式会社ゼロメディカルで、医療・介護・福祉領域における経営支援や医療情報メディア運営、WEBマーケティングを統括。医療機関や関連施設の課題解決を支えるとともに、Kenkotto／Diamell／デンタルマイクロスコープClinic などの自社メディアを通じて、正確で分かりやすい情報を届ける体制づくりに取り組んでいる。

本記事では、医療機関の経営支援と医療メディア運営で培った知見にもとづき、情報の客観性・表記の妥当性・最新性を確認しています（※個別の診断・治療方針の判断は医師が行います）。