AGAは育毛剤では治療できません。育毛剤には発毛成分がなく、ヘアサイクルを正常に戻すこともできないためです。
端的にいえば、AGAに効く成分がないということです。
とはいえ「育毛剤で治せないならどうすればいいの?」と悩んでいる人もいるかと思います。
そこで本記事では、AGAと市販の育毛剤の関係性や、AGAを治療する方法などを詳しく解説していきます。
ぜひ参考にしていただき、あなたにとってのAGAの最適な治療・改善方法を見つけてください。

そもそも育毛剤とは?

育毛剤といっても定義が分からず、発毛剤と何が違うのか、AGAで使われているお薬と何が違うのかが知らない人も多いかと思います。
そこで、まずは、そもそも育毛剤とは何なのか理解しておきましょう。
育毛剤の定義
育毛剤とは、抜け毛や薄毛の予防のために使われる医薬部外品を指します。
気をつけたいのが、毛を生やす効果があるわけではない点です。
あくまで抜け毛を予防するお薬で、治療のために使うものではありません。
育毛剤の効果
育毛剤は頭皮の環境を整え、毛を太く育てるという効果がメインです。
これによって抜け毛や薄毛を防ぎやすくなります。
「毛が細くなってボリュームがない」という場合に使われることが多いです。
育毛剤の効果を感じるまでには3ヶ月から6ヶ月ほどの期間がかかります。使ってすぐに毛が太く丈夫になるわけではありません。
育毛剤の副作用
育毛剤の主な副作用は、頭皮の赤みやかゆみです。
これは育毛剤に限った話ではなく、皮膚に散布する商品化粧品全般にいえるものです。
散布する成分が肌に合わないと、皮膚がアレルギー反応を起こしてしまい、赤みやかゆみを発生させます。
AGA治療における育毛剤と発毛剤の違い
育毛剤 | 発毛剤 | |
---|---|---|
効果 | 毛を丈夫にする | 新しく毛を生やす |
成分 | ミノキシジルが含まれない | ミノキシジルが含まれる |
購入方法 | 薬局 薬剤師の立ち合いは不要 | クリニックや薬局 医師の診察、薬剤師の立ち合いが必須 |
AGA治療における育毛剤と発毛剤の違いは上記のとおりです。
最も大きな違いがミノキシジルが含まれるかどうかです。
育毛剤と発毛剤について、明確な定義はないものの、世間一般的にはこのミノキシジルが配合されているかどうかが分かれ目となっています。
また、育毛剤は医薬部外品ですが、ミノキシジルが含まれる発毛剤は、第一類医薬品で、処方してもらうには医師の診察や薬剤師の立ち合いが必須です。
AGAは市販の育毛剤でも治療できない!3つの理由を解説

AGAは市販の育毛剤では治療できません。
育毛剤に一切の効果がないというわけではありませんが、以下の理由から育毛剤はAGAの治療はできないと考えられています。
1.発毛成分が含まれていない
前述したように、育毛剤には発毛成分が含まれていません。
そのため、育毛剤を頭皮に散布したところで、新しい毛は生えてきません。
毛を増やしたいと考えているのなら、育毛剤ではなく発毛剤を使いましょう。
2.ヘアサイクルを正常に戻せない
AGAというのはヘアサイクルが乱れることで薄毛になっていきます。
AGAの治療ができる内服薬には、ヘアサイクルを乱している原因を生成しないような作用があり、AGAの治療に一役買っています。
しかし、育毛剤にはヘアサイクルを正常に戻す効果はありません。
そのため、育毛剤はAGAの治療には適していないといえます。
3.そもそも根本的な治療ができない
そもそもとして、AGAは根本的な治療はできません。
前述の、発毛剤やAGAの治療ができる内服薬に関しても、一時的に毛を生やしたり原因を一時的に防いだりしているだけです。
そのため、散布や服用をやめてしまうと効果はなくなります。
育毛剤に限らずそもそもAGAというのは完治ができないということを理解しておきましょう。
市販の育毛剤以外でAGAを治療する方法

前述のように、市販の育毛剤ではAGAの治療はできないため、別の手段を検討しなければいけません。
以下にAGAの治療方法をまとめました。治療方法ごとに費用や効果は異なるので、それぞれ確認してご自身に合った方法を見つけてください。
フィナステリド・デュタステリド
フィナステリド・デュタステリド | |
---|---|
費用 | 月3,000円前後 |
効果 | AGAの進行を予防 |
フィナステリドやデュタステリドではAGAの進行を予防できます。
AGAの治療では最も基本のお薬で、どんな治療をするにしても、基本的にはフィナステリドやデュタステリドは使い続けて、抜け毛の発生を予防します。
なお、フィナステリドはデュタステリドよりも多少安く、デュタステリドはフィナステリドよりも少し高い分効果が高いという特徴があります。
ミノキシジル
ミノキシジル | |
---|---|
費用 | 月5,000円前後 |
効果 | 発毛促進 |
ミノキシジルは、発毛を促進する効果があります。
フィナステリドやデュタステリドと併用して、予防しつつ発毛を促進するのが一般的な治療方法です。
なお、育毛剤と比較されることが多い発毛剤は基本的にはこのミノキシジルが配合されたものを指しています。
ミノキシジルには内服薬もありますが、日本皮膚科学会ガイドラインではAGA治療の使用には推奨されていません。外用薬は高く推奨されているので、基本的にミノキシジルは外用薬を使いましょう。
メソセラピー治療
メソセラピー | |
---|---|
費用 | 1回20,000円~100,000円 |
効果 | AGAの進行の予防と発毛促進 |
メソセラピー治療はAGAの進行の予防と発毛促進が行えます。
具体的には、フィナステリドやミノキシジルなどのAGA治療に必要な成分を、頭皮に直接注入して治療を進めます。
有効成分を頭皮に直接届けるので、より高い効果が期待できます。
自毛植毛
自毛植毛 | |
---|---|
費用 | 300,000円~1,000,000円 |
効果 | 長期的な薄毛の予防 |
自毛植毛は側頭部や後頭部の毛を、薄毛になっている部分へ移植する治療方法です。
側頭部や後頭部の毛はAGAの影響を受けにくいため、薄毛部分へ移植することで長期的な予防ができます。
育毛剤以外でおこなえるおすすめのAGA対策を3つ紹介!

育毛剤以外のAGA対策についても詳しく解説していきます。
AGAは基本的に前述のフィナステリドやミノキシジルのお薬などでしか治療できません。
しかし、ほかの方法でもある程度の対策をすることは可能です。可能な限りは対策をして、少しでもAGAのリスクを減らしましょう。
1.睡眠の質を高める
- 自分に合った質の良い枕・マットレスを使う
- 仰向けで寝る
- シャワーではなく入浴をする
- 日中に運動をする
- 朝起きたあとに日差しを浴びる
上記のポイントを参考に、睡眠の質を高めましょう。
睡眠の質を高めることで、自律神経が整いやすくなり、血行が良くなります。
血行が良くなると、頭皮にも栄養が届きやすくなるので、AGAを対策することに繋がります。
2.バランスの良い食事を摂る
- 牡蠣
- あわび
- 豚レバー
- 納豆
- 豆腐
- ブロッコリー
食事のバランスにも気を使いましょう。また、可能であれば、上記のAGAに良い食べ物を取り入れてください。
牡蠣・アワビ・豚レバーは、亜鉛が含まれておりAGAの原因となる酵素の働きを抑える効果があります。
また、納豆・豆腐・ブロッコリーなどの植物性タンパク質が含まれるものは、コレステロールを上げずに髪の生成を手伝ってくれます。
3.禁酒・禁煙をする
アルコールは頭皮に栄養を届けるのを阻害してしまうため、AGAには良くありません。
喫煙に関しては、AGAの原因になるホルモンの濃度を高めてしまいます。つまり、喫煙は直接的にAGAのリスクを増やすことになります。
そのため、できるだけ禁酒・禁煙をしましょう。
どちらかといえば、お酒よりもたばこの方がAGAには良くありません。そのため、飲酒も喫煙もしているなら、禁煙を優先させてください。
AGAと育毛剤に関するよくある質問
- 市販の育毛剤は効かない?
市販の育毛剤はAGAには効きません。とはいえ、頭皮の環境を整える効果はあるので、育毛剤に意味がないというわけではありません。
- 育毛剤や発毛剤を併用できる?
育毛剤と発毛剤は配合されている成分が異なり、併用することを前提に作られていません。そのため、併用はおすすめしません。
- 絶対に生える発毛剤はある?
発毛剤でも、絶対に生えると断言できるものはありません。発毛剤は発毛成分が入っているものの、効果は100%ではありません。
まとめ
- AGAは育毛剤では治療できない
- フィナステリドやミノキシジルなどのお薬でAGAは治療できる
- ただし、クリニック処方のお薬でも完治はできない
AGAは男性ホルモンの影響によってヘアサイクルが乱れることで発症します。育毛剤にはこのヘアサイクルを改善する効果がないため、育毛剤ではAGAの治療はできません。
AGAの治療をするには、クリニックで処方されるフィナステリドやデュタステリド、ミノキシジルなどの内服薬・外用薬を使います。
なお、クリニックで処方されるお薬でもAGAの完治は難しいです。特に新しく毛を増やすというのは大変で費用もかさみます。
そのため、AGAの症状が疑われるなら、育毛剤に頼るのではなく、まずはAGAの診察をしているクリニック探しましょう。
【参考文献】
男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版
臨床発毛医学の現状と展望 2018
毛と毛包の解剖・毛髪異常