AGAは「発症したら終わり」と言われることは少なくありません。実際、AGAは完治が難しいため、発症したらずっと付き合っていく脱毛症ではあります。
そのため「AGAになりそうだから心配」「AGAになったら治療するべきなの?」と不安に感じている人は多いのではないでしょうか。
本記事ではそんな人に向けて、AGAは発症したら終わりなのか、治療をするべきなのかを詳しく解説していきます。
ご自身がAGAの治療をするべきなのかの参考にしていただければと思います。

AGAは発症したら終わりといわれている5つの理由

AGAは「発症したら終わり」と言われることは少なくありません。
とはいえ、終わりと一言でいっても、さまざまなニュアンスがあるので、一体どういった意味で「発症したら終わり」なのか確認していきましょう。
1.根本的な治療法がない
「発症したら終わり」と言われている最も大きな理由は、根本的な治療法がない点です。
根本的な治療法がない以上、発症したら薄毛になることは避けられません。
つまり、発症したら終わりというのは「発症した時点で将来的に薄毛は避けられない」という意味です。
2.治療を続けないと症状は悪化していく
AGAの原因はDHTという男性ホルモンといわれています。
このDHTが生成される多く生成されることで、薄毛が進行してしまうのですが、このDHTの生成を抑えるにはお薬を服用し続けなければいけません。
言い換えるなら、お薬を服用しない場合はDHTが生成されて、薄毛が進行し続けてしまうということです。
そのため、一度発症したらずっと治療をしなければいけないという意味でも、発症したら終わりと言われています。
3.発症後の治療だけでなく事前の予防が大事
AGAは発症後に治療することもできるものの、事前の予防が特に大事です。
AGAが発症する前に予防をしておけば、費用を大きく抑えられますし、薄毛の進行も大きく抑えられます。
反対に、発症してからだと、薄毛になった範囲に新たに毛を生やすのは非常に大変です。あらゆる治療を行っても効果がでないこともあります。
このように、発症後に再度毛を生やすことの難しさからも、発症したら終わりと言われている理由です。
4.治療の効果がでるまで時間がかかる
AGAの治療を始めても、そこから効果が出るまで半年以上かかることもあります。
そのため、発症してから治療を始めても、効果が出る半年までの間に、AGAが進行してさらに薄毛になってしまいます。
このように、発症してから治療を始めても遅いというのも、発症したら終わりと言われる理由です。
5.治療をするかぎり出費も発生し続ける
前述したように、AGAというのは完治が難しく、治療を続けないと悪化していきます。
つまり、薄毛が進行しないように治療を続ける場合は、出費が発生し続けることになります。
大げさな言い方をするなら、ずっと薄毛になりたくない場合は、今後一生お薬代を払い続けなければいけません。
このように、際限なく出費が続くことから、発症したら終わりと言われています。
ずっと出費が発生すると考えると悲観的になる人は多いですが、美容院・理容室による出費と同じような括りとして考えると気持ちが楽になるかもしれません。髪でおしゃれをしたいならお薬を払って治療を続け、髪に興味がなくなったら治療をやめる、と気楽に考えるのも一つの手です。
AGAを完治した人っている?

結論からいえば、AGAを完治した人はいません。
お薬によって、AGAの原因であるDHTの生成を抑えることで、AGAの進行を阻止することはできるものの、お薬なしでDHTの生成を抑えるという治療法は現状ではありません。
また、お薬によって新たに毛を増やすという方法もありますが、これも根本的な原因であるDHTの生成を抑えることにはつながらないので、お薬の服用をやめてしまえば、薄毛の進行は止められません。
そのため、AGAを発症した場合の基本的な対処法は、お薬によって薄毛の進行を止めるか、お薬によって毛を増やすかのどちらかです。
とはいえ、根本的な完治はできなくても、長期的な効果が見込める治療法で、お薬に頼らずとも薄毛にならないようにすることは可能です。
AGAに悩んでいるなら、ご自身に適した治療方法を探してみましょう。
AGAの治療方法ごとに完治できるか解説

AGAには主に4つの治療方法があります。
どの治療法も完治はできないものの、それぞれ見込める効果は異なり、長期的な効果が期待できるものもあります。
治療方法別に効果を説明していきますので、ご自身が希望する治療方法を見つけてください。
内服薬は予防や一時的な発毛が期待できる
内服薬 | |
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費用相場 | 月3,000~5,000円 |
効果 | AGAの進行を止める 発毛を促す |
内服薬はAGAの進行を止める予防の効果がメインとなります。主に「フィナステリド」や「デュタステリド」などのお薬が該当します。
費用は月3,000~5,000円ほどで、AGAの治療方法としては最も安いです。
基本的には、薄毛の進行が進んでおらず「これ以上薄毛にはなりたくない」という場合の治療方法となっています。
なお「ミノキシジル」という内服薬では、発毛を促して、毛を増やすことも可能ですが、これは厳密にはお薬の持つ多毛症の副作用によって毛が増えているだけです。
医師の判断のもと、処方されることもあるものの「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」では推奨されていません。
外用薬は一時的な発毛が期待できる
外用薬 | |
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費用相場 | 月5,000円~10,000円 |
効果 | 発毛を促す |
AGAの治療で使われている外用薬は、ミノキシジルが使われています。内服薬では推奨されていないミノキシジルですが、外用薬では有用性が認められています。
毛母細胞の働きを活性化し、血行も促進することで発毛を促すという効果です。
ミノキシジルの外用薬だけを処方してもらう場合は月5,000円程度の価格になりますが、一般的にはミノキシジルの外用薬にプラスして、前述の内服薬も処方してもらうため、月10,000円程度の出費になります。
「毛を増やしつつ進行も止めたい」という場合におすすめの治療法です。
メソセラピーは一時的な発毛が期待できる
メソセラピー | |
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費用相場 | 1回20,000~100,000円 |
効果 | より効果的に発毛を促す |
メソセラピーは頭皮に直接発毛に良い成分を注入する治療のことです。
外用薬で塗るよりも、浸透するように注入するため、より高い効果を期待できます。
しかし、費用は高めに設定されており、1回で20,000円、高額な場合は100,000円以上になることもあります。
「外用薬でも効果がでない」という人におすすめの治療方法です。
自毛植毛は長期的な効果を期待できる
植毛 | |
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費用相場 | 300,000円~1,000,000円 |
効果 | 毛を皮膚組織ごと植えるため長期的な効果が期待できる |
自毛植毛は、側頭部や後頭部などにある毛を皮膚組織ごと薄毛の部分に植える施術です。
側頭部や後頭部はAGAの原因であるDHTの影響を受けにくいため、植毛をした箇所は薄毛になりにくくなります。
費用は高額ですが、ほかの治療法では効果が出ない場合には非常におすすめです。
AGAを発症したときのおすすめの治療法を解説!

AGAを発症したときのおすすめの治療方法をまとめました。
ご自身に合った方法を選んで、AGAの治療を進めましょう。
多少の抜け毛が気になる程度なら予防の内服薬
多少の抜け毛が気になる程度なら、予防のための内服薬で問題ありません。
まだ薄毛が大きく進行していないなら、内服薬で進行を止めるだけでも間に合うためです。
予防の内服薬は「フィナステリド」や「デュタステリド」などがあります。AGAの治療をしているクリニックなら、必ずといって良いほど処方されているものです。
内服薬の効果が出るまでにはある程度の期間を要するので、予防といえどもできるだけ早く服用を始めましょう。
新たに毛を増やしたいなら内服薬と外用薬
新たに毛を増やしたいなら、内服薬と外用薬を併用して治療を進めましょう。
外用薬だけで治療をしても、根本的な原因であるDHTの生成を抑えることはできません。つまり、外用薬だけで毛の量を増やしたとしても、新たに毛も抜け続けてしまうので、薄毛の改善は難しくなります。
そのため、毛の量を増やしたいなら、内服薬で抜け毛を防ぎつつ、外用薬で毛を増やすという方法が一般的です。
内服薬と外用薬を併用した治療も、基本的にはほとんどのAGA治療のクリニックで処方されているので、受診して処方してもらいましょう。
より効果的に毛を増やしたいならメソセラピー
内服薬や外用薬だけでは効果が出ない人、物足りない人は、メソセラピーを検討してみましょう。
メソセラピーでは、直接頭皮に成分を注入するので、より高い効果を期待できます。内服薬や外用薬で効果が一切なかった人でも、メソセラピーなら生えてくるかもしれません。
とはいえ、メソセラピーは安くても1回20,000円程度の費用がかかりますし、メソセラピーで生えてきたとしても、それは一時的な効果によるものなので、治療を続けなければまた抜けて薄毛になってしまいます。
そのため、予算に余裕がない場合にはおすすめしません。
継続的な出費を避けたいなら自毛植毛
これまで紹介しているように、AGAの治療は基本的には継続的な出費が発生します。
「ずっと払い続けるのは嫌」と考えているなら、自毛植毛を検討してみましょう。自毛植毛で植える側頭部や後頭部の毛はAGAの原因であるDHTの影響を受けにくく、継続的に生え続けてくれるケースが多いです。
そのため、植毛後は無理にAGAの治療を続ける必要はありません。
ただし、植毛をする場合は初期費用が大きくなることは留意しておきましょう。植毛する株数にもよりますが、200,000円から範囲が広ければ1,000,000円以上はかかります。
AGAの治療に関するよくある質問
- AGAが完治しないのはなぜ?
AGAが完治しないのは、AGAの原因であるDHTの生成を継続的に抑制する手段がないためです。
- AGAを発症するきっかけは?
AGAは遺伝的な要因が強いため、遺伝的にDHTが生成されやすい人だと、年齢関係なく前触れもなく発症します。遺伝以外では、ストレスや食生活の偏りがきっかけで発症することもあります。
- 20代でAGAになったら治る?
年齢に関わらず、一度AGAを発症したら完治は難しいです。20代でも基本的な治療法は同じで、内服薬や外用薬で一時的に進行を止める、発毛を促すというのが基本となります。
まとめ
- AGAは根本的な治療法がないため発症したら終わりと言われている
- 内服薬や外用薬でAGAの進行を止めることは可能
- 自毛植毛なら疑似的に完治に近づけられる
AGAは根本的な治療法がないため「発症したら終わり」と言われています。
AGAを発症すると継続的に治療を続けなければ薄毛に対抗できないので「薄毛になるか」「ずっと治療を続けるか」のどちらかを選ばなければいけません。
とはいえ、自毛植毛をすると、植毛をした毛は通常の毛と同じように成長するため、継続的な出費を抑えられることもあります。
また、症状が進行する前に、内服薬で予防を続ければ、出費は抑えやすくなります。
ご自身のAGAの症状、今後の治療法によっては「発症したら終わり」と悲観するほどでもないので、まずはAGA治療をしているクリニックに相談してみてはいかがでしょうか。
【参考文献】
男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版
臨床発毛医学の現状と展望 2018
毛と毛包の解剖・毛髪異常