頭皮にできものを見つけると、「これって何だろう」「放っておいて大丈夫かな」と不安になりますよね。
頭皮のできものは、ニキビのような軽いものから、治療が必要な皮膚疾患までさまざまです。
多くの場合、皮脂の過剰分泌や生活習慣の乱れが原因で、適切なケアで改善が期待できます。
ただし、痛みが強い、どんどん大きくなる、膿が出るといった場合は、早めに皮膚科を受診することが大切です。
この記事では、頭皮にできものができる原因から、ニキビ以外の可能性、受診の目安、正しいケア方法まで詳しく解説します。
頭皮トラブルの原因を知り、適切に対処することで、健康な頭皮環境を目指しましょう。

2005年設立の株式会社ゼロメディカルで、医療・介護・福祉領域における経営支援や医療情報メディア運営、WEBマーケティングを統括。医療機関や関連施設の課題解決を支えるとともに、Kenkotto/Diamell/デンタルマイクロスコープClinic などの自社メディアを通じて、正確で分かりやすい情報を届ける体制づくりに取り組んでいる。
本記事では、医療機関の経営支援と医療メディア運営で培った知見にもとづき、情報の客観性・表記の妥当性・最新性を確認しています(※個別の診断・治療方針の判断は医師が行います)。
頭皮にできものができる主な原因
頭皮にできものができる原因はさまざまですが、多くは日常生活の中で改善できるものです。まずは主な原因を理解して、自分に当てはまるものがないかチェックしてみましょう。
皮脂の過剰分泌
頭皮は顔のTゾーンの約2倍の皮脂が分泌される部位です。この皮脂が過剰に分泌されると、毛穴が詰まりやすくなり、できものの原因になります。
皮脂の分泌量は、ホルモンバランスや季節、食生活によって変動します。特に脂っこい食事が多い方や、ストレスを感じやすい方は皮脂の分泌が増える傾向があります。また、頭皮を洗いすぎると、かえって皮脂の分泌が増えてしまうこともあるんです。
シャンプーのすすぎ残し
シャンプーのすすぎ残しは頭皮トラブルの意外と多い原因です。泡立ちや香りを良くするための成分が頭皮に残ると、毛穴を詰まらせたり、かゆみや炎症を引き起こすことがあります。
特に髪の毛が多い方や長い方は、地肌までしっかりすすげていないことがあります。また、生え際や耳の後ろ、襟足などはすすぎ残しが起きやすい部位なので注意が必要です。シャンプーを流す時間は、洗う時間の2〜3倍かけるのが理想的とされています。
肌のターンオーバーの乱れ
頭皮も約28日周期で新しい細胞に生まれ変わるんです。このターンオーバーが乱れると、古い角質が正常に剥がれ落ちず、毛穴を塞いでしまいます。
ターンオーバーの乱れは、睡眠不足や栄養バランスの偏り、ストレスなどが原因で起こります。また、加齢によってもターンオーバーの周期は長くなる傾向があります。規則正しい生活リズムと、バランスの良い食事を心がけることで、正常なターンオーバーを維持しやすくなります。
生活習慣の乱れ(睡眠・食事・ストレス)
睡眠不足は肌の修復機能を低下させる原因になります。特に夜10時から深夜2時は「肌のゴールデンタイム」と呼ばれ、この時間帯に睡眠をとることで成長ホルモンが分泌され、肌の修復が促進されるといわれています。
食生活では、脂質や糖質の摂りすぎが皮脂の過剰分泌につながります。ビタミンB群や亜鉛、タンパク質など、頭皮の健康に必要な栄養素をバランスよく摂ることが大切です。また、過度なストレスはホルモンバランスを乱し、皮脂分泌を増加させる原因になります。
紫外線や乾燥による頭皮ダメージ
頭皮は紫外線を直接受けやすい部位ですが、日焼け止めを塗りにくいため、ダメージを受けやすいんです。紫外線による炎症は、頭皮のバリア機能を低下させ、できものができやすい環境を作ってしまいます。
また、冬場の乾燥やエアコンによる空気の乾燥も頭皮に影響します。頭皮が乾燥すると、それを補おうとして皮脂が過剰に分泌されることがあります。帽子や日傘で紫外線対策をしたり、加湿器を使って室内の湿度を適切に保つことが予防につながります。
ニキビじゃないかも?頭皮にできる病気の種類
頭皮のできものは、すべてがニキビというわけではありません。似たような見た目でも、原因や治療法が異なる皮膚疾患がいくつかあります。ここでは代表的なものをご紹介します。
頭皮ニキビ
毛穴に皮脂が詰まり、アクネ菌が増殖することで発生します。見た目は赤く腫れた状態で、押すと痛みを感じることが多いです。顔にできるニキビと同じメカニズムで発生しますが、髪の毛に隠れて気づきにくいのが特徴です。
軽度のものであれば、頭皮を清潔に保つことで自然に改善することが多いです。ただし、繰り返しできる場合や、膿を持っている場合は皮膚科での治療が必要になることもあります。
毛嚢炎(もうのうえん)
毛包に細菌が感染して起こる炎症です。ニキビと似ていますが、原因となる菌が異なり、主に黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌によって引き起こされます。
症状としては、毛穴を中心に赤く腫れ、中心に白や黄色の膿が見えることがあります。軽度であれば自然に改善することもありますが、広範囲に広がったり、深い部分まで炎症が及ぶと「せつ(おでき)」と呼ばれる状態になり、強い痛みを伴います。
脂漏性皮膚炎
皮脂の分泌が多い部位に発生する慢性的な皮膚炎です。頭皮では、フケやかゆみ、赤みといった症状が現れます。原因の一つとして、皮膚に常在するマラセチア菌という真菌(カビの一種)が関係していると考えられています。
長期的な管理が必要な疾患です。皮膚科では、抗真菌成分を含むシャンプーや、ステロイド外用薬などを使って治療します。生活習慣の改善と継続的なケアが大切になります。詳しくは医師にご相談ください。
頭皮湿疹
さまざまな原因で頭皮に炎症が起きた状態の総称です。かゆみ、赤み、フケ、ブツブツといった症状が見られます。原因は、接触性皮膚炎(シャンプーや整髪料によるかぶれ)、アトピー性皮膚炎、乾燥などさまざまです。
原因によって治療法が異なるため、症状が続く場合は皮膚科で正確な診断を受けることが重要です。
粉瘤(ふんりゅう)
皮膚の下に袋状の構造ができ、角質や皮脂がたまる良性の腫瘍です。「アテローム」とも呼ばれます。しこりのように感じられ、押すと動くのが特徴です。
放置すると徐々に大きくなることがあります。また、細菌感染を起こすと、赤く腫れて痛みを伴う「炎症性粉瘤」になることがあります。根本的に治すには、皮膚科で袋ごと取り除く手術が必要です。詳しくは皮膚科医にご相談ください。
注意が必要なできもの(悪性の可能性)
頭皮のできものの多くは良性ですが、まれに悪性腫瘍(皮膚がん)の可能性もあります。特に以下のような特徴がある場合は、早めに皮膚科を受診してください。
- 短期間で急激に大きくなる
- 形がいびつで左右非対称
- 色がまだら(黒、茶、赤などが混在)
- 出血しやすい、潰瘍ができている
- 治療しても改善しない、再発を繰り返す
これらの症状がすべて悪性を意味するわけではありませんが、専門医による診断を受けることで安心できます。気になる症状があれば、自己判断せずに相談しましょう。
こんな症状は要注意!皮膚科を受診する目安
頭皮のできものすべてが皮膚科受診の対象というわけではありませんが、症状によっては早めの受診が大切です。ここでは、受診の目安をわかりやすくご紹介します。
すぐに受診したほうがいい症状
以下の症状がある場合は早めに皮膚科を受診することをおすすめします。
- 強い痛みがある、触ると激しく痛む
- できものが急速に大きくなっている
- 膿が出ている、または膿がたまっている様子がある
- 発熱を伴っている
- 広範囲に複数のできものができている
- 2週間以上経っても改善しない
- 出血がある、潰瘍(皮膚がえぐれた状態)ができている
- できものの周囲が赤く腫れて広がっている
できるだけ早く受診してください。また、糖尿病などの基礎疾患がある方は、感染症が重症化しやすいので注意が必要です。
様子を見てもいいケース
以下の場合は1〜2週間ほどセルフケアで様子見可能です。
- 小さなできもので、痛みがほとんどない
- 触らなければ気にならない程度
- 数日で小さくなってきている
- フケやかゆみ程度の軽い症状
ただし、様子を見ている間も、できものを触ったり潰したりするのは避けてください。セルフケアを続けても改善しない場合や、症状が悪化する場合は、早めに皮膚科を受診しましょう。「これくらいで病院に行っていいのかな」と迷うかもしれませんが、皮膚科医は頭皮トラブルの専門家なので、遠慮せずに相談して大丈夫です。
頭皮にできものを見つけたときのNG行為
頭皮にできものを見つけると、つい触りたくなったり、自分で対処したくなったりしますよね。しかし、間違った対処は症状を悪化させる原因になります。ここでは、避けるべき行為をお伝えします。
潰す・絞る・引っ掻く
ニキビや膿を持ったできものを見ると、「潰して膿を出せば早く改善するかも」と思う方もいるかもしれません。しかし、これは避けていただきたい行為です。
- 爪や指から細菌が入り、感染が悪化する
- 炎症が周囲に広がる
- 傷跡が残りやすくなる
- 粉瘤の場合、袋が破れて再発しやすくなる
頭皮は髪の毛があるため清潔を保ちにくい部位です。かゆくても掻きむしらず、どうしても気になる場合は清潔なタオルで冷やすなどして対処しましょう。
自己判断で市販薬を使い続ける
ドラッグストアには頭皮用の薬やシャンプーがたくさん売られています。軽い症状であれば市販薬で改善することもありますが、自己判断での長期使用には注意が必要です。
- 原因に合っていない薬を使い続けると、症状が長引く
- ステロイド外用薬の長期使用は、皮膚が薄くなるなどの副作用がある
- 真菌(カビ)が原因の場合、抗菌薬では効果がない
- 重症化してから受診すると、治療期間が長くなる
市販薬を1〜2週間使用しても改善しない場合は皮膚科へ。正確な診断に基づいた治療を受けることが、早期改善への近道です。
頭皮のできものを改善する方法と正しいケア
頭皮のできものは、原因や症状によって適切な治療法が異なります。医療機関での治療と、自宅でできるセルフケアの両面から解説します。
皮膚科での治療法(塗り薬・飲み薬)
皮膚科では原因を特定し適切な治療法を選択します。まず問診と視診で症状を確認し、必要に応じて検査を行います。
頭皮ニキビや毛嚢炎の場合は、抗生物質の外用薬(塗り薬)が処方されることが多いです。症状が重い場合や広範囲に及ぶ場合は、抗生物質の内服薬(飲み薬)が使用されることもあります。
脂漏性皮膚炎の場合は、抗真菌成分を含む外用薬や、炎症を抑えるステロイド外用薬が使われます。症状のコントロールには、抗真菌成分配合のシャンプーを継続的に使用することが有効とされています。
頭皮湿疹の場合は、原因を特定することが重要です。接触性皮膚炎であれば原因物質を避けること、アトピー性皮膚炎であれば保湿とステロイド外用薬の適切な使用が基本となります。詳しくは医師にご相談ください。
粉瘤の場合は手術が必要なことも
粉瘤は薬では改善しないため手術で袋ごと摘出が必要です。手術は主に2つの方法があります。
切開法は、粉瘤の上を切開して袋を取り出す従来の方法です。しっかり摘出できますが、傷跡がやや大きくなります。くり抜き法(へそ抜き法)は、小さな穴を開けて内容物と袋を取り出す方法で、傷跡が小さくて済みます。
炎症を起こしている場合は、まず炎症を抑える治療を行ってから手術することもあります。小さいうちに手術すれば傷跡も目立ちにくいので、気になる場合は早めに相談しましょう。
自宅でできるセルフケア
軽度の頭皮トラブルは日常のケアで改善が期待できることがあります。以下のポイントを意識してみてください。効果には個人差があります。
シャンプーの見直し:刺激の少ないアミノ酸系シャンプーに変えてみましょう。頭皮の状態に合ったシャンプーを選ぶことで、トラブルが軽減することがあります。
正しい洗髪方法:爪を立てずに指の腹でやさしく洗い、すすぎは十分な時間をかけて行います。シャンプーの泡が残らないよう、特に生え際や耳の後ろを意識してすすぎましょう。
頭皮の保湿:乾燥が気になる場合は、頭皮用の保湿ローションを使用するのも効果的です。ただし、油分の多いものは毛穴を詰まらせる可能性があるので、軽いテクスチャーのものを選びましょう。
枕カバーの清潔:寝ている間に頭皮の皮脂や汗が枕に付着します。枕カバーはこまめに交換して、清潔な状態を保ちましょう。
頭皮にできものを繰り返さないための予防法
頭皮のできものが改善しても、同じ生活習慣を続けていると再発してしまうことがあります。ここでは、できものを繰り返さないための予防法をご紹介します。
正しいシャンプーの方法
毎日のシャンプーは頭皮ケアの基本です。正しい方法で洗髪することで、頭皮トラブルを予防しやすくなります。
- 予洗い:シャンプー前にぬるま湯で1〜2分ほど頭皮と髪を流します。これで汚れの7〜8割が落ちるといわれています。
- シャンプーの泡立て:シャンプーは手のひらで泡立ててから頭皮につけます。直接つけると刺激が強く、すすぎ残しの原因にもなります。
- 指の腹で洗う:爪を立てず、指の腹を使ってやさしくマッサージするように洗います。ゴシゴシ擦ると頭皮を傷つけてしまいます。
- 十分なすすぎ:洗う時間の2〜3倍の時間をかけてすすぎます。生え際、耳の後ろ、襟足は特に丁寧に。
- しっかり乾かす:濡れたまま放置すると雑菌が繁殖しやすくなります。ドライヤーで根元からしっかり乾かしましょう。
生活習慣を見直すポイント
頭皮の健康は体全体の健康状態と密接に関係しています。以下の点を意識して生活習慣を見直してみましょう。
- 睡眠時間の確保:6〜8時間の質の良い睡眠を心がけましょう。睡眠中に肌の修復が行われます。
- バランスの良い食事:ビタミンB群(豚肉、レバー、卵)、亜鉛(牡蠣、牛肉)、タンパク質(肉、魚、大豆製品)を意識して摂りましょう。脂っこいものや甘いものの摂りすぎは皮脂の増加につながります。
- ストレス管理:過度なストレスはホルモンバランスを乱し、皮脂分泌を増加させます。適度な運動やリラックスできる時間を作りましょう。
- 適度な運動:血行が良くなることで、頭皮にも栄養が行き届きやすくなります。ウォーキングなど軽い運動から始めてみてください。
頭皮を清潔に保つ工夫
日常生活の中で頭皮を清潔に保つ工夫を取り入れましょう。
- 帽子やヘルメットの使用後:汗をかいた後は、そのまま放置せずにタオルで拭くか、可能であれば早めに洗髪しましょう。帽子やヘルメット自体も定期的に洗浄を。
- 整髪料の使用:整髪料は毛穴を詰まらせる原因になることがあります。使用する場合は頭皮につかないよう注意し、その日のうちにしっかり洗い流しましょう。
- 紫外線対策:外出時は帽子や日傘で頭皮を守りましょう。ただし、通気性の悪い帽子を長時間かぶると蒸れの原因になるので注意が必要です。
- 寝具の清潔:枕カバーは週に1〜2回は交換し、枕自体も定期的に干して清潔を保ちましょう。
まとめ
頭皮のできものは多くの場合、日常生活の改善で対処可能です。皮脂の過剰分泌やシャンプーのすすぎ残し、生活習慣の乱れなどが主な原因で、軽度のものであれば、正しい洗髪方法を実践し、生活習慣を見直すことで自然に改善することが多いです。
ただし、頭皮のできものはニキビだけではありません。毛嚢炎、脂漏性皮膚炎、粉瘤など、それぞれ原因や治療法が異なる皮膚疾患の可能性もあります。
このような症状がある場合は、自己判断せずに皮膚科を受診することが大切です。
また、できものを潰したり、自己判断で市販薬を長期間使い続けたりすることは、症状を悪化させる原因になります。気になる症状があれば、早めに専門医に相談しましょう。皮膚科では、原因を正確に診断した上で、適切な治療を受けることができます。
本記事でご紹介した予防法やセルフケアは、症状には個人差があるため、すべての方に同じ効果が得られるわけではありません。
ご自身の頭皮の状態に合ったケア方法を見つけるためにも、気になることがあれば皮膚科で相談することをおすすめします。正しい知識と適切なケアで、健康な頭皮環境を維持していきましょう。

2005年設立の株式会社ゼロメディカルで、医療・介護・福祉領域における経営支援や医療情報メディア運営、WEBマーケティングを統括。医療機関や関連施設の課題解決を支えるとともに、Kenkotto/Diamell/デンタルマイクロスコープClinic などの自社メディアを通じて、正確で分かりやすい情報を届ける体制づくりに取り組んでいる。
本記事では、医療機関の経営支援と医療メディア運営で培った知見にもとづき、情報の客観性・表記の妥当性・最新性を確認しています(※個別の診断・治療方針の判断は医師が行います)。









