壮年性脱毛症とは？原因・AGAとの違い・治療法を解説

「最近、髪のボリュームが減ってきた気がする」「頭頂部が薄くなってきたかも」と感じていませんか？

30代を過ぎてから気になり始める薄毛の多くは、壮年性脱毛症と呼ばれる症状です。

壮年性脱毛症は進行性の脱毛症ですが、早期に対処することで改善が期待できます。

この記事では、壮年性脱毛症の原因やAGAとの違い、具体的な治療法について医学的根拠に基づいて解説します。

ご自身の症状を正しく理解し、適切な対策を始めるきっかけにしていただければ幸いです。

この記事の監修者

原 征弘
株式会社ゼロメディカル 代表取締役

2005年設立の株式会社ゼロメディカルで、医療・介護・福祉領域における経営支援や医療情報メディア運営、WEBマーケティングを統括。医療機関や関連施設の課題解決を支えるとともに、Kenkotto／Diamell／デンタルマイクロスコープClinic などの自社メディアを通じて、正確で分かりやすい情報を届ける体制づくりに取り組んでいる。

本記事では、医療機関の経営支援と医療メディア運営で培った知見にもとづき、情報の客観性・表記の妥当性・最新性を確認しています（※個別の診断・治療方針の判断は医師が行います）。

壮年性脱毛症とは｜30代以降に多い薄毛の正体

壮年性脱毛症という言葉を聞いたことがあっても、具体的にどのような症状なのか分からない方も多いのではないでしょうか。ここでは、壮年性脱毛症の定義と特徴について詳しく解説します。

壮年性脱毛症の定義と特徴

壮年性脱毛症とは、30代以降の成人男性に見られる進行性の脱毛症のことです。額の生え際や頭頂部の髪が徐々に薄くなっていく特徴があります。

この脱毛症は、男性ホルモンの一種であるDHT（ジヒドロテストステロン）が毛包に作用することで起こります。DHTの影響を受けた毛包は徐々に小さくなり、髪の毛が細く短くなっていきます。これを「毛包のミニチュア化」と呼びます。

壮年性脱毛症は自然に改善せず、放置すると進行し続けます

しかし、適切な治療を行えば進行を抑制し、発毛効果も期待できます。早めの対策が重要なんですね。

発症しやすい年齢と統計データ

壮年性脱毛症は、日本人男性の約30%に見られる非常に一般的な症状です。年齢別に見ると、20代で約10%、30代で約20%、40代で約30%、50代以降では約40%以上の方が発症するとされています。

出典:日本皮膚科学会：男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版

「壮年性」という名前から30代以降に発症するイメージがありますが、実際には20代から症状が現れる方も少なくありません。20代で発症した場合は「若年性脱毛症」と呼ばれることもあります。

早期発見・早期治療で進行を抑えられます

発症年齢が早いほど進行も早い傾向があるため、若いうちから薄毛が気になる方は早めに専門医に相談することをおすすめします。

壮年性脱毛症とAGAの違いは？｜結論は同じ脱毛症

「壮年性脱毛症」と「AGA」という2つの言葉を聞いて、違う病気なのか疑問に思う方も多いでしょう。結論からお伝えすると、この2つは同じ脱毛症を指しています。

壮年性脱毛症とAGAは呼び方が違うだけ

壮年性脱毛症とAGAは、医学的には同一の症状を指す言葉です。AGAを日本語に訳すと「男性型脱毛症」となり、30代以降に発症するものを特に「壮年性脱毛症」と呼んでいます。

日本皮膚科学会のガイドライン（2017年版）でも、AGAと壮年性脱毛症は同じ疾患として扱われています。つまり、治療法も同じということなんです。

出典:日本皮膚科学会：男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版

名称が違うだけで、原因・症状・治療法に違いはありません

クリニックや製品によって使い分けられているだけなので、混乱する必要はないですよ。

若年性脱毛症との違い

若年性脱毛症は、10代後半から20代で発症するAGAを指します。発症年齢が異なるだけで、原因やメカニズムは壮年性脱毛症と同じです。

若年性脱毛症は進行が早い傾向があります

治療を始めないと短期間で薄毛が目立つようになることがあります。若いからといって放置せず、気になったら早めに対処することが大切です。

なお、円形脱毛症や脂漏性脱毛症など、AGAとは異なる原因で起こる脱毛症もあります。自己判断が難しい場合は、専門医の診察を受けて正確な診断を受けましょう。

壮年性脱毛症の原因とメカニズム｜なぜ髪が薄くなる？

壮年性脱毛症がなぜ起こるのか、そのメカニズムを理解することで、治療の必要性や効果についてもより深く理解できます。主な原因は男性ホルモンと遺伝ですが、生活習慣も影響します。

男性ホルモンとDHT（ジヒドロテストステロン）の働き

壮年性脱毛症の主な原因は、男性ホルモンの一種であるDHT（ジヒドロテストステロン）です。DHTは、テストステロンという男性ホルモンが5α還元酵素（5αリダクターゼ）という酵素によって変換されることで生成されます。

DHTが毛包内の男性ホルモン受容体と結合すると、毛髪の成長期が短縮されます。通常2〜6年ある成長期が数ヶ月〜1年程度に短くなってしまうんです。その結果、髪が十分に成長する前に抜け落ち、細く短い毛しか生えなくなります。

額の生え際と頭頂部がDHTの影響を受けやすい部位です

後頭部や側頭部はDHTの影響を受けにくいため、壮年性脱毛症では薄くなりにくい傾向があります。

遺伝の影響はどれくらい？

壮年性脱毛症には遺伝的な要因が大きく関わっています。特に重要なのが、毛包がDHTに対してどれだけ感受性を持っているかという点です。この感受性は遺伝によって決まります。

父親や母方の祖父が薄毛の場合、自分も壮年性脱毛症になる可能性が高いとされています。ただし、遺伝的な素因があっても必ず発症するわけではなく、生活習慣や環境要因も影響します。

遺伝があっても適切な治療で改善可能です

遺伝だから仕方ないと諦める必要はありません。遺伝的な要因があっても、適切な治療によって進行を抑制し、改善することは十分可能です。

生活習慣やストレスも関係する

生活習慣やストレスも薄毛の進行に影響を与えることがあります。壮年性脱毛症の主な原因は男性ホルモンと遺伝ですが、以下の要因も関係します。

睡眠不足や過度なストレスは、ホルモンバランスの乱れや血行不良を引き起こし、髪の成長に悪影響を及ぼす可能性があります。また、偏った食生活による栄養不足も、健康な髪の成長を妨げる要因になります。

喫煙は血行を悪くし、薄毛進行の原因になります

過度な飲酒も肝臓に負担をかけ、髪の成長に必要な栄養素の代謝に影響を与えることがあります。

生活習慣の改善だけで壮年性脱毛症を改善することは難しいですが、治療効果を高めるためにも、規則正しい生活を心がけることが大切です。

壮年性脱毛症の症状パターン｜O字・M字・U字の進行

壮年性脱毛症の進行パターンは大きく3つに分類されます。ご自身がどのタイプに当てはまるか確認してみましょう。進行パターンを知ることで、適切な治療計画を立てやすくなります。

頭頂部から薄くなるO字型

O字型は、頭頂部（つむじ周辺）から薄毛が進行するタイプです。日本人男性に最も多いパターンとされています。

初期段階では自分では気づきにくいのが特徴です

周囲から指摘されて初めて気づくケースも少なくありません。進行すると頭頂部が円形に薄くなり、上から見たときにO字のように見えることからこの名前がついています。

生え際から後退するM字型

M字型は、額の両サイド（こめかみの上あたり）から生え際が後退していくタイプです。正面から見ると、生え際がアルファベットのMのような形になります。

欧米人に多いパターンですが、日本人でも見られます。鏡で正面から見たときに気づきやすいため、比較的早期に発見できることが多いです。進行すると額が広くなり、前髪で隠すことが難しくなっていきます。

前頭部全体が後退するU字型

U字型は、前頭部全体の生え際が均一に後退していくタイプです。M字型が進行したパターンや、最初から前頭部全体が後退するパターンがあります。

O字型とU字型が同時進行すると薄毛がつながることも

最終的には頭頂部と前頭部の薄毛がつながり、後頭部と側頭部だけ髪が残る状態になることがあります。どのタイプでも早期に治療を始めることで、進行を抑制できる可能性が高まります。

壮年性脱毛症のセルフチェック｜8つの確認項目

「もしかして壮年性脱毛症かも？」と思ったら、まずはセルフチェックをしてみましょう。以下の項目に当てはまるものが多いほど、壮年性脱毛症の可能性が高いと考えられます。

今すぐできるセルフチェック8項目

以下のチェックリストで、ご自身の状態を確認してみてください。

3つ以上当てはまる場合は、壮年性脱毛症が始まっている可能性があります。5つ以上当てはまる場合は、すでに進行している可能性が高いため、専門医への相談をおすすめします。

病院に行くべき目安

「気になったら早めに受診する」のがベストです。壮年性脱毛症は進行性の症状なので、早期に治療を始めるほど効果が出やすい傾向があります。

特に以下のような場合は、できるだけ早く専門医に相談することをおすすめします。

• 半年〜1年で明らかに薄毛が進行している
• セルフチェックで5つ以上当てはまった
• 家族に薄毛の人がいて、自分も気になり始めた
• 20代・30代前半で薄毛の兆候がある

オンライン診療で自宅から気軽に相談できます

最近はオンライン診療に対応したクリニックも多く、自宅から気軽に相談できます。恥ずかしいという気持ちがある方も、まずは無料カウンセリングから始めてみてはいかがでしょうか。

壮年性脱毛症の治療法は4つ｜特徴と選び方

壮年性脱毛症の治療法は、大きく分けて4つあります。それぞれの特徴を理解して、ご自身に合った方法を選びましょう。日本皮膚科学会のガイドライン（2017年版）で推奨されている治療法を中心に解説します。

内服薬（フィナステリド・デュタステリド）

内服薬は、壮年性脱毛症治療の中心となる方法です。日本皮膚科学会のガイドライン（2017年版）では、フィナステリドとデュタステリドがともに推奨度Aとされています。

出典:日本皮膚科学会：男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版

フィナステリドは、5α還元酵素II型を阻害してDHTの生成を抑える薬です。1日1回の服用で、約90%の方に進行抑制効果が認められています。商品名は「プロペシア」が有名で、ジェネリック医薬品も多数あります。

デュタステリドは、5α還元酵素I型とII型の両方を阻害する薬です。フィナステリドより強力にDHTの生成を抑えるとされています。商品名は「ザガーロ」です。

主な副作用として、性欲減退（約1〜3%）、勃起機能不全（約1%）などが報告されています。

症状が現れた場合は医師にご相談ください

また、これらの薬は女性や未成年は使用できません。

出典:PMDA：プロペシア錠添付文書

外用薬（ミノキシジル）

ミノキシジル外用薬は、日本皮膚科学会のガイドライン（2017年版）で推奨度Aとされており、市販薬としても購入できます。

ミノキシジルは血管を拡張し、毛包への血流を増加させることで発毛を促進します。また、毛包を大きくする作用もあり、細くなった髪を太く成長させる効果が期待できます。

男性の場合、濃度5%のものが一般的に使用されます。1日2回、朝と夜に塗布します。効果を実感するまでには通常4〜6ヶ月程度かかります。

主な副作用として、頭皮のかゆみ（約6%）、接触皮膚炎（約6%）、頭皮の炎症などが報告されています。

異常を感じたら使用を中止し、医師に相談してください

まれに動悸やむくみが生じることもあります。

出典:日本皮膚科学会：男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版

生活習慣の改善でできること

生活習慣の改善は、治療効果を高めるためのサポートとして重要です。ただし、生活習慣の改善だけで壮年性脱毛症を改善することは難しいです。

睡眠：成長ホルモンは睡眠中に多く分泌されます。質の良い睡眠を7〜8時間とることで、髪の成長をサポートできます。

食事：髪の主成分であるタンパク質、亜鉛、ビタミンB群を意識して摂取しましょう。肉、魚、卵、大豆製品、緑黄色野菜などをバランスよく食べることが大切です。

ストレス管理：過度なストレスはホルモンバランスを乱し、薄毛を悪化させる可能性があります。適度な運動や趣味の時間を設けて、ストレスを発散しましょう。

喫煙は血行を悪くし、頭皮への栄養供給を妨げます

薄毛が気になる方は禁煙を検討してみてください。

専門クリニックでの治療

壮年性脱毛症の治療は、AGA専門クリニックで受けることをおすすめします。専門クリニックには以下のようなメリットがあります。

オンライン診療なら通院なしで治療を続けられます

最近はオンライン診療に対応したクリニックも増えており、通院の手間なく治療を続けられます。また、オンライン診療では薬が自宅に届くため、誰にも知られずに治療できるというメリットもあります。

ミノキシジル内服薬はAGA治療目的では国内未承認です

ただし、多くのクリニックで発毛プランの一環として処方されています。日本皮膚科学会のガイドライン（2017年版）では推奨度Dとされていますが、その後の研究で安全性データが蓄積されており、医師の管理下で適切に使用すれば有力な選択肢となります。使用する場合は、必ず医師の管理下で定期的な検査を受けながら進めることが重要です。

出典:J Am Acad Dermatol：Safety of low-dose oral minoxidil for hair loss

壮年性脱毛症の治療におすすめのAGAクリニック5院

壮年性脱毛症の治療を始めるなら、実績のある専門クリニックを選ぶことが大切です。ここでは、オンライン診療にも対応した人気のAGAクリニックを5院ご紹介します。

DMMオンラインクリニック

DMMオンラインクリニックは、24時間診療に対応しており、忙しい方でも自分の都合に合わせて診察を受けられます。DMMが運営するAGA治療サービスです。

予防プラン（フィナステリド1mg）は月額2,097円から、発毛プランは初回1,861円からとリーズナブルな価格設定が魅力です。長期プランを選ぶとさらにお得になります。

DMMグループ運営で安心感があります

初めてAGA治療を受ける方にもおすすめできるクリニックです。

クリニックフォア

クリニックフォアは、オンライン診療と対面診療の両方に対応したクリニックです。全国に10院以上を展開しており、オンラインで始めて対面に切り替えることもできます。

予防プランは初回1,049円から始められ、発毛プランも初回1,851円からと始めやすい価格です。12ヶ月まとめて定期にするとさらにお得になります。

アプリで簡単に予約、土日祝も対応

平日忙しい方でも通いやすいのが特徴です。定期便の割引率が高いので、長期的に治療を続けたい方におすすめです。

AGAスキンクリニック

AGAスキンクリニックは、発毛実感率99.4%という高い実績を誇り、全国に60院以上を展開するAGA治療専門クリニックです。

予防プランは初回3,700円、2回目以降は月額6,200円です。発毛プランは月額8,400円から受けられます。全額返金保証制度があるので、効果に不安がある方も安心です。

オリジナル治療薬「Rebirth」を処方

血液検査、マイクロスコープ診断など、充実した診療体制が整っています。夜22時まで診療している院もあり、仕事帰りにも通いやすいです。

AGAヘアクリニック

AGAヘアクリニックは、初月1,800円から始められる手軽さが魅力のクリニックです。全国に13院を展開し、オンライン診療にも対応しています。

予防プランは初回1,800円、2回目以降は月額3,600円からです。発毛プランは初回10,800円、2回目以降は月額12,600円からとなっています。

専用アプリで治療効果を可視化できます

診療時間も10:00〜22:00と長いので、仕事が忙しい方でも通いやすいクリニックです。

湘南AGAクリニック

湘南AGAクリニックは、全国に140院以上を展開する大手美容クリニックグループです。圧倒的な院数で、どこに住んでいても通いやすいのが最大の特徴です。

予防プランは月額3,000円、発毛プランは月額8,500円（3ヶ月まとめて25,500円）です。投薬治療から植毛まで幅広い治療選択肢があり、症状に合わせて最適な治療を提案してもらえます。

大手美容クリニックならではの安心感

オンライン診療にも対応しています。対面での診察を希望する方や、将来的に植毛も検討している方におすすめです。

まとめ

壮年性脱毛症は、30代以降の男性に多く見られる進行性の脱毛症です。AGAと呼び方が違うだけで、原因も治療法も同じです。主な原因は男性ホルモンのDHTと遺伝で、額の生え際や頭頂部から薄毛が進行していきます。

治療法としては、内服薬（フィナステリド・デュタステリド）と外用薬（ミノキシジル）が日本皮膚科学会のガイドライン（2017年版）で推奨されています。これらの治療を専門クリニックで受けることで、進行を抑制し、発毛効果も期待できます。

壮年性脱毛症は自然に改善することはありません

しかし、適切な治療を行えば改善が見込めます。大切なのは、気になったら早めに専門医に相談することです。早期に治療を始めるほど、効果が出やすい傾向があります。

治療効果には個人差があります

本記事でご紹介した治療法の効果には個人差があります。ご自身に合った治療法を選択するため、まずは専門医にご相談ください。オンライン診療なら自宅から気軽に相談できますので、ぜひ一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。

この記事の監修者

原 征弘
株式会社ゼロメディカル 代表取締役

2005年設立の株式会社ゼロメディカルで、医療・介護・福祉領域における経営支援や医療情報メディア運営、WEBマーケティングを統括。医療機関や関連施設の課題解決を支えるとともに、Kenkotto／Diamell／デンタルマイクロスコープClinic などの自社メディアを通じて、正確で分かりやすい情報を届ける体制づくりに取り組んでいる。

本記事では、医療機関の経営支援と医療メディア運営で培った知見にもとづき、情報の客観性・表記の妥当性・最新性を確認しています（※個別の診断・治療方針の判断は医師が行います）。