「亜鉛を摂ればAGAが改善する」という情報を見て、サプリメントの購入を検討している方も多いのではないでしょうか。
確かに亜鉛は髪の健康に重要なミネラルですが、AGAの根本的な治療効果については医学的に十分な証拠がありません。
AGAは男性ホルモン由来のDHT(ジヒドロテストステロン)が主な原因であり、亜鉛はあくまで補助的な栄養素という位置づけです。
本記事では、亜鉛とAGAの関係について医学的根拠をもとに解説し、適切な摂取量、注意点、そしてAGA治療における亜鉛の役割を明らかにします。過度な期待や誤った摂取方法を避け、効果的なAGA対策を実践するための情報をお届けします。
AGAと亜鉛の基本知識
AGAの改善に亜鉛が役立つかを理解するには、まずAGAのメカニズムと亜鉛の働きを正しく知ることが大切です。それぞれの基本を押さえておきましょう。
AGAとは:男性型脱毛症のメカニズム
AGA(男性型脱毛症)は、遺伝的要因と男性ホルモンの影響により進行する脱毛症です。
テストステロンが5α還元酵素によってDHT(ジヒドロテストステロン)に変換され、このDHTが毛乳頭細胞に作用することで毛髪の成長期が短縮されます。
その結果、毛髪は細く短くなり、最終的には生えなくなってしまいます。日本人男性の約30%がAGAを発症し、年齢とともに発症率は高まります。
前頭部や頭頂部から薄毛が進行するのが特徴で、側頭部や後頭部の毛髪は残る傾向があります。AGAは進行性の疾患であるため、早期の対策が重要です。
出典:日本医師会
亜鉛の働き:体内での役割と髪への影響
亜鉛は体内で約300種類もの酵素の働きに関わる必須ミネラルです。
タンパク質の合成、細胞分裂、免疫機能の維持など、生命活動に欠かせない役割を担っています。髪の主成分であるケラチンはタンパク質の一種であり、その合成には亜鉛が必要です。また、亜鉛は頭皮の健康維持にも関与しており、不足すると髪が細くなったり、成長が遅くなったりする可能性があります。
亜鉛は体内で合成できないため、食事やサプリメントから摂取する必要があります。
出典:厚生労働省eJIM
亜鉛不足による脱毛とAGAの違い
亜鉛不足による脱毛とAGAは、原因も症状のパターンも異なります。
亜鉛欠乏症による脱毛は、全体的に髪が薄くなる「びまん性脱毛」として現れることが多く、前頭部や頭頂部に限定されません。また、亜鉛を補給することで改善が期待できます。
一方、AGAは特定の部位(前頭部・頭頂部)から進行し、DHTの作用による毛周期の短縮が原因です。亜鉛を補給してもDHTの産生は抑制されないため、AGA特有の脱毛パターンは改善しません。ただし、AGA患者が同時に亜鉛不足である場合、亜鉛補給により全体的な髪の健康状態が改善する可能性はあります。
亜鉛がAGAに効果があると言われる3つの理由
亜鉛とAGAの関係については、いくつかの生理学的なメカニズムが提唱されています。
5α還元酵素の抑制作用の可能性
一部の研究では、亜鉛が5α還元酵素の活性を抑制する可能性が示唆されています。
5α還元酵素はテストステロンをDHTに変換する酵素であり、この酵素の働きを抑えることができればAGAの進行を遅らせられる可能性があります。実際、AGA治療薬のフィナステリドやデュタステリドは、この酵素を阻害することでDHTの産生を抑制します。
臨床試験でAGA改善効果が明確に証明されたわけではありません。
むしろ、一部の動物実験では亜鉛がDHTレベルを上昇させたという報告もあり、効果については議論が分かれています。現時点では、亜鉛に明確な抗AGA効果があるとは言えない状況です。
タンパク質合成と毛髪の成長促進
亜鉛はタンパク質合成に不可欠なミネラルであり、髪の主成分であるケラチンの生成にも関与しています。
亜鉛が不足すると、タンパク質合成が滞り、髪の成長速度が低下したり、髪が細く弱くなったりする可能性があります。この意味で、亜鉛は髪の健康維持に重要です。
栄養が十分でも、DHTの作用により毛周期が短縮されればAGAは進行します。亜鉛の補給は、髪の質を改善する可能性はありますが、AGA特有の脱毛パターンを根本的に改善するものではありません。
抗酸化作用と頭皮環境の改善
亜鉛は抗酸化作用を持ち、活性酸素による細胞ダメージを軽減する働きがあります。
頭皮も酸化ストレスにさらされており、これが炎症や毛髪の健康悪化につながる可能性があります。亜鉛の抗酸化作用により、頭皮環境が改善され、間接的に髪の健康に寄与する可能性は考えられます。また、亜鉛は皮脂の分泌調整にも関与しており、頭皮の過剰な皮脂や乾燥を防ぐ効果も期待されます。
頭皮環境の改善は髪の健康全般には有益ですが、AGAの根本治療にはなりません。
医学的根拠から見た亜鉛とAGAの関係
亜鉛とAGAの関係について、実際の研究結果はどうなっているのでしょうか。医学的な観点から客観的に検証します。
亜鉛とDHTに関する研究結果
亜鉛と男性ホルモンの関係を調査した研究では、相反する結果が報告されています。
一部の研究では、亜鉛がテストステロンレベルを上昇させる可能性が示されており、これはDHTの前駆体が増加することを意味します。
実際、運動選手を対象とした研究では、亜鉛サプリメントの摂取により血中テストステロンが増加したという報告があります。一方で、in vitro(試験管内)の研究では、高濃度の亜鉛が5α還元酵素を阻害する可能性が示されています。
現時点では、亜鉛がAGA患者のDHTレベルを臨床的に有意に低下させるという確実な証拠はありません。
AGA患者の亜鉛濃度に関する調査
AGA患者と健常者の血中亜鉛濃度を比較した研究では、一定の傾向は見られるものの結論は一致していません。
一部の研究では、AGA患者の血中亜鉛濃度がやや低い傾向が報告されていますが、統計的に有意な差が認められなかった研究も多くあります。
また、仮にAGA患者で亜鉛濃度が低い傾向があったとしても、それが原因なのか結果なのかは明確ではありません。日本人を対象とした大規模な研究は限られており、亜鉛欠乏とAGAの直接的な因果関係は確立されていません。
日本皮膚科学会ガイドラインでの位置づけ
日本皮膚科学会が発行する「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」では、亜鉛サプリメントのAGA治療効果についての推奨度は記載されていません。
ガイドラインで推奨度Aとされているのは、フィナステリドやデュタステリドなどの5α還元酵素阻害薬、ミノキシジル外用薬など、臨床試験で効果が実証された治療法のみです。
亜鉛をはじめとする栄養補助食品については、AGAの標準治療としては位置づけられていません。これは、臨床試験による明確な効果の証明がないためです。
亜鉛の適切な摂取量と目安
亜鉛を摂取する場合、適量を守ることが重要です。不足も過剰摂取も健康リスクにつながります。
厚生労働省が定める推奨量
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、成人男性の亜鉛推奨量は1日あたり11mg、成人女性は8mgです。
これは通常の食事から摂取すべき量であり、健康維持に必要な基準値です。推奨量は年齢や性別によって異なり、妊娠中・授乳中の女性はやや多めの摂取が推奨されています。
日本人の平均的な食事では、亜鉛摂取量は推奨量に達していない場合も多く、厚生労働省の国民健康・栄養調査では、成人男性の平均摂取量は約9mg程度とされています。したがって、意識的に亜鉛を含む食品を摂取することは有益です。
出典:厚生労働省
耐容上限量と過剰摂取のリスク
亜鉛の耐容上限量は、成人で1日40〜45mg(性別・年齢により異なる)と定められています。この量を長期的に超えて摂取すると、健康被害のリスクが高まります。
さらに深刻なのは、亜鉛の過剰摂取が銅の吸収を阻害し、銅欠乏を引き起こす可能性があることです。銅欠乏は貧血、白血球減少、神経障害などを引き起こします。また、長期的な過剰摂取は免疫機能の低下や、前立腺の問題、HDLコレステロール(善玉コレステロール)の低下などのリスクも指摘されています。サプリメントを利用する場合は、必ず用法用量を守ってください。
出典:厚生労働省eJIM
食事から摂取できる亜鉛の量
亜鉛は、牡蠣、赤身の肉、レバー、ナッツ類、豆類、全粒穀物などに多く含まれています。特に牡蠣は100gあたり約13mgの亜鉛を含み、最も効率的な供給源です。
牛肉は100gあたり約4〜5mg、豚レバーは100gあたり約7mg、納豆は1パック(50g)あたり約1mgの亜鉛を含みます。バランスの良い食事を心がければ、推奨量を満たすことは十分可能です。
植物性食品に含まれるフィチン酸は亜鉛の吸収を阻害するため、植物性食品中心の食事では吸収率が低下します。食事だけで十分な亜鉛を摂取できない場合は、サプリメントの利用を検討してもよいでしょう。
亜鉛不足のセルフチェック:こんな症状に注意
亜鉛不足は様々な症状として現れます。以下のチェックリストで、ご自身の状態を確認してみましょう。
亜鉛欠乏症の主な症状
亜鉛欠乏症の代表的な症状には、以下のようなものがあります。
- 味覚障害(味を感じにくい、食べ物の味が変わる)
- 皮膚炎、皮膚の乾燥、湿疹
- 脱毛、髪のパサつき、髪の成長が遅い
- 爪の変形、爪が割れやすい、白い斑点
- 傷の治りが遅い
- 免疫力の低下、風邪をひきやすい
- 食欲不振
- 下痢
- 成長遅延(小児の場合)
- 性機能の低下
ただし、これらの症状は他の疾患でも現れるため、自己判断せず医療機関で検査を受けることをお勧めします。
味覚障害と亜鉛の関係
亜鉛欠乏症の典型的な症状の一つが味覚障害です。舌の表面にある味蕾(味を感じる細胞)の新陳代謝には亜鉛が必要であり、亜鉛が不足すると味蕾の再生が滞ります。
その結果、味を感じにくくなったり、特定の味(特に甘味や塩味)が分からなくなったりします。
また、何も食べていないのに口の中が苦く感じるなどの異常な味覚も現れることがあります。味覚障害は高齢者に多く見られますが、若年層でも亜鉛不足やストレス、薬剤の副作用などで発症することがあります。
血液検査で確認する方法
亜鉛不足を正確に診断するには、血液検査で血清亜鉛濃度を測定します。
基準値は医療機関によって多少異なりますが、一般的には80〜130μg/dLが正常範囲とされています。60μg/dL以下は明らかな亜鉛欠乏、60〜80μg/dLは潜在的な亜鉛欠乏と判断されることが多いです。検査は内科や皮膚科で受けることができ、保険適用される場合もあります。
医師は症状と検査結果を総合的に判断して、亜鉛補充の必要性を判断します。
亜鉛サプリメントの効果的な摂り方:3つのポイント
サプリメントで亜鉛を補給する場合、吸収率を高めるための工夫が重要です。効果的な摂取方法を知っておきましょう。
吸収率を高める飲み方とタイミング
ただし、空腹時の摂取は胃の不快感や吐き気を引き起こす場合があるため、胃腸が弱い方は食後に摂取する方が安全です。一般的には、就寝前や食間(食事の2時間後程度)の摂取が推奨されます。
また、亜鉛は一度に大量摂取しても吸収率が下がるため、1日の摂取量を複数回に分けて摂取する方が効率的です。例えば、1日30mgを摂取する場合、朝・夕に15mgずつ分けると良いでしょう。
これらは亜鉛の吸収を妨げる可能性があります。
亜鉛の吸収を助ける・妨げる食品
肉や魚と一緒に摂取すると、アミノ酸が亜鉛の吸収を促進します。また、柑橘類や酢などに含まれるクエン酸も吸収率を高めます。
特に、カルシウムサプリメントと亜鉛サプリメントを同時に摂取すると、互いに吸収を阻害し合います。また、コーヒーや紅茶に含まれるタンニンも亜鉛の吸収を妨げます。サプリメントを飲む前後1〜2時間は、これらの食品を避けると効果的です。
他の栄養素とのバランス
亜鉛を単独で大量に摂取すると、他のミネラルのバランスが崩れる可能性があります。
亜鉛を過剰に摂取すると、銅の吸収が阻害され、銅欠乏症を引き起こす可能性があります。銅欠乏は貧血や白血球減少などの深刻な症状につながります。
そのため、亜鉛サプリメントを長期的に使用する場合は、銅も適切に摂取する必要があります。理想的な亜鉛と銅の摂取比率は、亜鉛:銅=10:1程度とされています。
また、鉄とも相互作用があり、高用量の亜鉛は鉄の吸収を妨げます。マルチミネラルのサプリメントを選ぶ際は、これらのバランスが考慮されているかを確認すると良いでしょう。
亜鉛サプリメントを選ぶ際の注意点
市販の亜鉛サプリメントは種類が多く、品質も様々です。選ぶ際のポイントを押さえておきましょう。
サプリメントの種類と吸収率の違い
亜鉛サプリメントには、硫酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、ピコリン酸亜鉛、酵母亜鉛、キレート亜鉛など、様々な形態があります。これらは亜鉛の化合物の種類が異なり、吸収率にも差があります。
キレート加工とは、亜鉛をアミノ酸などの有機化合物で包み込む処理であり、これにより胃酸や食品成分の影響を受けにくくなります。
一方、硫酸亜鉛は安価ですが吸収率はやや低く、胃腸への刺激も強い傾向があります。製品を選ぶ際は、亜鉛の形態と含有量、そして1日あたりのコストを総合的に比較すると良いでしょう。
含有量と添加物のチェックポイント
サプリメントのラベルには、亜鉛の含有量が記載されています。ここで注意したいのは、「亜鉛として○○mg」という表示です。
例えば「硫酸亜鉛100mg」と「亜鉛として15mg」は異なります。重要なのは「亜鉛として」の量です。推奨量は1日11mg程度ですが、サプリメントでは15〜30mg程度の製品が多く販売されています。初めて使用する場合は、少なめの量から始めるのが安全です。
さらに、GMP認証(医薬品の製造管理基準)を取得した工場で製造されているかも品質の目安になります。
医薬品との併用で気をつけたいこと
亜鉛サプリメントは、一部の医薬品と相互作用を起こす可能性があります。
これらの薬と亜鉛を同時に摂取すると、薬の吸収が低下し、効果が減弱する可能性があります。これらの薬を服用している場合は、亜鉛サプリメントとの服用時間を2〜3時間以上空ける必要があります。また、ペニシラミン(関節リウマチの治療薬)、利尿薬、ACE阻害薬(降圧薬)なども亜鉛との相互作用が報告されています。
亜鉛だけに頼らない!AGAの本格的な治療法について
亜鉛はあくまで補助的な栄養素であり、AGA治療の主役ではありません。医学的に効果が証明された治療法を知っておくことが重要です。
フィナステリド・デュタステリドによる治療
フィナステリド(商品名:プロペシアなど)とデュタステリド(商品名:ザガーロなど)は、AGAの根本原因である5α還元酵素を阻害し、DHTの産生を抑制する内服薬です。日本皮膚科学会のガイドラインで推奨度Aとされている、最も効果的なAGA治療法の一つです。フィナステリドは1日1mg、デュタステリドは1日0.5mgを服用します。効果が現れるまでには通常3〜6ヶ月程度かかり、継続的な服用が必要です。
これらの副作用は服用中止により多くの場合改善します。ただし、女性や未成年には使用できません。効果には個人差がありますので、医師にご相談ください。
出典:PMDA
ミノキシジル外用薬による治療
ミノキシジル外用薬は、頭皮に直接塗布するタイプのAGA治療薬です。血管を拡張し、毛包への血流を増加させることで、毛髪の成長を促進します。日本では男性用5%、女性用1%の製品が市販されており、日本皮膚科学会のガイドラインでも推奨度Aとされています。1日2回、頭皮に塗布して使用します。効果が現れるまでには4〜6ヶ月程度かかることが一般的です。
まれに、初期脱毛(使用開始後1〜2ヶ月で一時的に抜け毛が増える現象)が起こることがありますが、これは新しい毛髪が生える準備段階であり、通常は継続使用により改善します。効果には個人差があります。詳しくは医師にご相談ください。
HARG療法・メソセラピーなどの再生医療
HARG療法やメソセラピーは、頭皮に直接成長因子や薬剤を注入する治療法です。HARG療法では、幹細胞から抽出した成長因子を含む製剤を頭皮に注入し、毛母細胞の活性化を図ります。メソセラピーは、ミノキシジルや成長因子、ビタミンなどを配合した薬剤を注入します。
効果については個人差が大きく、費用も高額(1回数万円、複数回の施術が必要)です。治療を検討する場合は、医師から十分な説明を受け、費用対効果を慎重に判断してください。
亜鉛とAGA治療薬を併用する際の注意点
亜鉛サプリメントとAGA治療薬を併用する場合、いくつか注意すべき点があります。
相互作用のリスク
亜鉛サプリメントとフィナステリド、デュタステリド、ミノキシジル外用薬との間に、重大な薬物相互作用は報告されていません。したがって、基本的には併用可能です。
推奨量を守ることが重要です。また、一部の理論では、亜鉛がテストステロンレベルを上昇させる可能性が指摘されています。もしこれが事実であれば、DHT産生の前駆体が増加することになり、フィナステリドやデュタステリドの効果を一部相殺する可能性も考えられます。しかし、この点については明確な研究結果がなく、現時点では推測の域を出ません。
肝機能への影響
フィナステリドやデュタステリドは肝臓で代謝されるため、肝機能が低下している方は注意が必要です。また、亜鉛も過剰摂取により肝障害のリスクがあるとされています。したがって、AGA治療薬を服用している方が亜鉛サプリメントを併用する場合は、肝臓への負担を考慮する必要があります。
定期的な血液検査で肝機能をチェックすることも重要です。異常な倦怠感、黄疸、食欲不振などの症状が現れた場合は、すぐに医療機関を受診してください。
医師への相談が必要なケース
以下のような場合は、亜鉛サプリメントを使用する前に必ず医師に相談してください。
- AGA治療薬を服用中の方
- 何らかの医薬品を定期的に服用している方
- 肝臓、腎臓、消化器系の疾患がある方
- 過去に亜鉛サプリメントで副作用を経験した方
- 銅欠乏症の既往がある方
- 免疫抑制剤を使用している方
- 妊娠中・授乳中の方
医師は、あなたの健康状態や服用中の薬剤を考慮して、亜鉛サプリメントの適切な使用量や併用の可否を判断します。自己判断での使用は避け、専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。
亜鉛以外で髪に良い栄養素
髪の健康には、亜鉛以外にも様々な栄養素が関与しています。バランスの良い食事が基本です。
タンパク質とアミノ酸
髪の主成分はケラチンというタンパク質です。したがって、良質なタンパク質の摂取は髪の健康に不可欠です。タンパク質は体内でアミノ酸に分解され、再び髪を構成するケラチンに合成されます。
特に、シスチンやメチオニンといった含硫アミノ酸は、ケラチンの主要成分であり、髪の強度や弾力性に重要な役割を果たします。
植物性タンパク質では、大豆製品がアミノ酸バランスに優れています。成人男性の場合、1日あたり約60〜70gのタンパク質摂取が推奨されています。
ビタミンB群と葉酸
ビタミンB群、特にビオチン(ビタミンB7)、ビタミンB2、B6、葉酸は、髪の健康に重要な役割を果たします。ビオチンはケラチンの合成に関与し、欠乏すると脱毛や皮膚炎を引き起こします。ビタミンB2やB6は、タンパク質代謝を助け、健康な髪の成長を支えます。葉酸は細胞分裂に必要であり、毛母細胞の活発な分裂にも関与します。
バランスの良い食事を心がければ、通常は不足することはありませんが、偏った食生活やストレス、過度のアルコール摂取などにより不足する場合があります。
鉄分とビタミンD
鉄分は血液中のヘモグロビンの成分であり、酸素を全身に運ぶ役割を担っています。毛母細胞も酸素と栄養を必要とするため、鉄欠乏性貧血は脱毛の原因になることがあります。
特に女性は月経により鉄分が失われやすく、注意が必要です。鉄分は赤身の肉、レバー、魚、ほうれん草、小松菜などに含まれています。
ビタミンDは、毛周期の調節に関与している可能性が研究されています。
ビタミンD欠乏と脱毛の関連を示唆する研究もありますが、AGAへの直接的な効果についてはまだ明確ではありません。ビタミンDは日光を浴びることで皮膚で合成されるほか、魚類、卵黄、きのこ類などから摂取できます。
本格的にAGA治療する際におすすめのクリニック5選
AGA治療は専門のクリニックで相談することで、個々の状態に合った適切な治療法を提案してもらえます。ここでは、信頼できるAGAクリニックを5つご紹介します。
AGAスキンクリニック

AGAスキンクリニックの基本情報 | |
---|---|
予防プラン | フィナステリド1mg 初回:3,700円(税込)/2回目以降:6,200円(税込) |
発毛プラン | ミノキシジル内服薬 12ヶ月プランまとめて:8,400円(税込) |
診察費 | 0円 |
オンライン診療 | 月額定額制プラン(サブスク) 初回はクリニックで診察をする ※札幌院・松山院・高知院・福岡院・小倉院・熊本院・沖縄院限定 診察料:0円 診察時間 :クリニックの診察時間に従う |
治療内容 | 内服薬・外用薬・注入治療・自毛植毛・ホームケア |
保証内容 | 全額返金保証(6ヶ月後に治療効果がないと認められた場合) |
- 初回カウンセリング時、血液検査・マイクロスコープ診断が無料
- 月額3,700円から始められる
- 初回処方から6ヶ月たっても実感がなければ全額返金保証
AGAスキンクリニックは全国60院以上を展開する、国内最大級のAGA専門クリニックです。
発毛実感率99.4%(2011-2018年治療実績)という高い実績を誇ります。治療の特徴は、オリジナル発毛薬「Rebirth」による内服薬・外用薬治療を中心に、メソセラピーやHARG療法など、複数の治療法を組み合わせたオーダーメイド治療です。
初診料・カウンセリング料は無料で、血液検査も実施されます。全国展開しているため、引っ越しや転勤があっても継続して治療を受けやすい点もメリットです。オンライン診療にも対応しており、自宅にいながら診察・処方を受けることも可能です。
銀座総合美容クリニック

銀座総合美容クリニックの基本情報 | |
---|---|
予防プラン | フィナステリド含有の内服薬 初月:1,000円(税込)/2ヶ月目以降:2,000円(税込)~ |
発毛プラン | ミノキシジル含有の内服薬 初月:1,000円(税込)/2ヶ月目以降:7,700円(税込)~ |
診察費 | 0円 |
オンライン診療 | 初診からオンライン診療ができる |
治療内容 | 内服薬・外用薬・注入治療・ヘアケア・検査 |
保証内容 | ー |
- 300超の治療術から最適な処方を行う
- 初月1,000円から治療できる
- 効果を数値や症例写真で可視化している
銀座総合美容クリニック(銀クリ)は、東京・大阪に展開するAGA専門クリニックです。
「常に患者さん目線でのクリニック運営」を理念とし、明確な料金体系と丁寧なカウンセリングに定評があります。治療は、フィナステリド・デュタステリドなどの内服薬治療を基本とし、必要に応じてミノキシジル内服・外用やメソセラピーを組み合わせます。
初診料・カウンセリング料は無料、血液検査は初回のみ有料です。治療費は月々7,150円〜19,250円程度(内服薬の場合)と比較的リーズナブルです。院内は落ち着いた雰囲気で、プライバシーに配慮された個室での診察が受けられます。
湘南AGAクリニック

湘南美容クリニック・湘南AGAクリニックの基本情報 | |
---|---|
予防プラン | フィナステリド 1ヶ月:3000円(税込) |
発毛プラン | HRタブレットF(フィナステリド)+HRタブレットM(ミノキシジル) 3ヶ月まとめて:25,500円(税込) |
診察費 | 0円 |
オンライン診療 | 初診からオンライン診療ができる 診察時間:9:30〜20:30 休診日:なし |
治療内容 | 内服薬・外用薬・注入治療等・自毛植毛・サプリメント |
保証内容 | 全額返金(3ヶ月間治療を継続して効果がない場合) |
- 3ヶ月のM字発毛実感コースがある
- オンライン診療にも対応
- 全額返金制度がある
湘南AGAクリニックは、全国100院以上を展開する大手美容クリニックで、AGA治療にも力を入れています。2023年の来院実績は約35万人と、業界トップクラスの治療実績を誇ります。
治療法は、内服薬(フィナステリド、デュタステリド、ミノキシジル)、外用薬、メソセラピー、自毛植毛など、幅広い選択肢があります。
特に、オリジナル治療薬「HRタブレット」は、フィナステリド、ミノキシジル、ビタミン・ミネラル・アミノ酸をセットにしたもので、費用対効果に優れています。初診料・カウンセリング料は無料です。
クリニックフォア

クリニックフォアの基本情報 | |
---|---|
予防プラン | フィナステリド 初回1か月あたり:1,049円(税込)/月 ※12ヶ月まとめて定期にキャンペーン(クーポンコード:YOBO2024C)を適用した場合 |
発毛プラン | フィナステリド+ミノキシジル合剤 初回1か月あたり:1,851円(税込)/月 ※12ヶ月まとめて定期にキャンペーン(クーポンコード:AGA2024C)を適用した場合 |
診察費 | 0円 ※処方がない場合:1,650円 |
オンライン診療 | 基本オンライン診療 診察料:0円 ※処方がない場合:1,650円 送料:550円 診察時間:7:00〜24:00 |
治療内容 | 内服薬・外用薬・サプリメント |
保証内容 | 全額返金保証(治療開始後どうしても薬が体に合わなかった場合) ※単品1ヶ月、単品3ヶ月、単品6ヶ月は対象外 |
- キャンペーンコード利用でお得
(予防プラン:1,049円/月〜・発毛プラン:1,851円/月〜) - 定期配送なら単月処方の15%OFFとお得
- 発毛プランが合剤で1日1錠服用で治療ができる
クリニックフォアは、オンライン診療に特化したAGA治療クリニックです。スマートフォンやPCから診察を受けられ、薬は最短翌日に自宅へ配送されます。
忙しくてクリニックに通う時間がない方や、通院に抵抗がある方に特におすすめです。治療薬は、フィナステリド、デュタステリド、ミノキシジル内服・外用など、標準的なAGA治療薬を取り扱っています。
初診からオンラインで完結し、診察料は1,650円(税込)です。定期配送を利用すると、割引価格で薬を購入できます。治療費は月々1,760円〜(フィナステリド単剤の場合、定期配送利用時)からとリーズナブルです。
AGAヘアクリニック

AGAヘアクリニックの基本情報 | |
---|---|
予防プラン | フィナステリド 初月:1,800円(税込)/2ヶ月目以降:3,600円(税込)~ |
発毛プラン | フィナステリド+ミノキシジル 初月:10,800円(税込)/2ヶ月目以降:12,600円(税込)~ |
診察費 | 0円 |
オンライン診療 | 初診からオンライン診療ができる 診察料:0円 送料:520円/回 診察時間 :10:00〜20:00 |
治療内容 | 内服薬・外用薬・検査 |
保証内容 | 全額返金保証(治療効果が認められなかった場合) |
- 実感がなければ全額返金保証が利用できる
- 予防プランは初月1,800円
- 対面診療よりオンライン診療の方が安い治療薬がある
AGAヘアクリニックは、秋葉原・大宮・梅田に展開するAGA専門クリニックで、オンライン診療にも対応しています。「患者様ファースト」を掲げ、無理な勧誘がなく、予算に応じた治療プランを提案してくれると評判です。
治療は、内服薬を中心としたシンプルで効果的なアプローチが特徴です。フィナステリド、デュタステリド、ミノキシジル内服薬を組み合わせた治療を行います。
初診料・カウンセリング料は無料、血液検査は必要に応じて実施(有料)されます。治療費は月々1,800円〜(フィナステリド単剤の場合)からで、明瞭な料金体系が魅力です。カウンセリングでは、マイクロスコープによる頭皮診断も実施されます。
まとめ
亜鉛は髪の健康維持に重要なミネラルですが、AGA(男性型脱毛症)の根本的な治療効果については医学的に十分な証拠がありません。AGAの主な原因はDHT(ジヒドロテストステロン)による毛周期の短縮であり、亜鉛にはこのDHTの産生を臨床的に有意に抑制する効果は確認されていません。
一部の研究では5α還元酵素を抑制する可能性が示唆されていますが、ヒトでの明確な効果は証明されておらず、むしろテストステロンを上昇させる可能性を示す研究もあります。日本皮膚科学会のガイドラインでも、亜鉛はAGAの推奨治療法として記載されていません。
ただし、亜鉛不足は髪の成長不良や全体的な脱毛の原因になり得るため、推奨量(成人男性で1日11mg)を満たすことは重要です。栄養不足による脱毛とAGAは別のメカニズムであることを理解し、バランスの良い食事を心がけましょう。亜鉛サプリメントを使用する場合は、耐容上限量(1日40〜45mg)を超えないよう注意してください。
吸収率を高めるには、動物性タンパク質やクエン酸と一緒に摂取し、カフェインやカルシウムとの同時摂取は避けると良いでしょう。
AGAの治療を本格的に行うなら、フィナステリドやデュタステリドなどの5α還元酵素阻害薬、ミノキシジル外用薬など、医学的に効果が証明された治療法を選択することが重要です。これらは日本皮膚科学会のガイドラインで推奨度Aとされており、多くの臨床試験でその効果が実証されています。亜鉛はあくまで補助的な栄養素として位置づけ、専門のAGAクリニックで適切な診断と治療を受けることをお勧めします。
最後に、AGAは進行性の疾患であり、早期の対応が重要です。薄毛が気になり始めたら、自己判断でサプリメントに頼るのではなく、まずは専門医に相談しましょう。適切な診断により、あなたの脱毛が本当にAGAなのか、それとも亜鉛欠乏などの栄養不足や他の原因によるものなのかが明らかになります。個々の状態に合わせた最適な治療計画を立てることが、薄毛改善への近道です。