AGAは市販の育毛剤で治る?効果やおすすめの治療法を解説!

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AGAは市販の育毛剤で治る?効果やおすすめの治療法を解説!

「育毛剤を使い続けているのに、なかなか効果が実感できない」そんな悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。

実は、市販の育毛剤とAGA治療薬には、医学的な位置づけや効果のメカニズムに大きな違いがあります。

AGAの原因は、男性ホルモンの一種であるDHT(ジヒドロテストステロン)による毛髪の成長サイクルの乱れです。

この根本原因にアプローチできるのがAGA治療薬であり、頭皮環境の改善を目的とする育毛剤とは役割が異なるんです。

本記事では、育毛剤と治療薬の違い、それぞれの効果と限界、そして自分に合った選択をするための判断基準を、医学的根拠に基づいて解説します。

育毛剤からの切り替えタイミングや併用の可否についても詳しく説明しますので、薄毛対策の選択肢を広げる参考にしてください。

この記事の要約
  • 市販育毛剤はAGAの根本原因であるDHTには作用せず、進行抑制は困難
  • 医療機関で処方されるAGA治療薬は、DHT抑制や発毛促進の医学的根拠がある
  • 育毛剤で6ヶ月効果が出ない場合は、医療機関での治療を検討すべき
  • 結論:AGAの進行を本格的に止めたい場合は、医学的根拠のある治療薬を医師の管理下で使用することが最も効果的です。

この記事の監修者
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原 征弘
株式会社ゼロメディカル 代表取締役

2005年設立の株式会社ゼロメディカルで、医療・介護・福祉領域における経営支援や医療情報メディア運営、WEBマーケティングを統括。医療機関や関連施設の課題解決を支えるとともに、Kenkotto/Diamell/デンタルマイクロスコープClinic などの自社メディアを通じて、正確で分かりやすい情報を届ける体制づくりに取り組んでいる。

本記事では、医療機関の経営支援と医療メディア運営で培った知見にもとづき、情報の客観性・表記の妥当性・最新性を確認しています(※個別の診断・治療方針の判断は医師が行います)。

目次

育毛剤とAGA治療薬の違い|どちらを選ぶべき?

育毛剤とAGA治療薬は、どちらも薄毛対策として使われますが、その医学的な位置づけや効果のメカニズムには明確な違いがあります。

自分の状況に合った選択をするために、まずはこの根本的な違いを理解しておきましょう。

医薬品と医薬部外品の違い

育毛剤とAGA治療薬の最も大きな違いは、「医薬品」か「医薬部外品」かという法的な分類にあります。

AGA治療薬は「医薬品」に分類され、厚生労働省の承認を受けた明確な効果効能が認められています。医師の診察と処方が必要で、作用機序や副作用、臨床データがすべて公開されているんです。

一方、市販の育毛剤の多くは「医薬部外品」に分類されます。医薬部外品は、医薬品ほど強い効果は期待できないものの、穏やかな作用で頭皮環境を整えることを目的としています。医師の処方箋なしで購入でき、ドラッグストアや通販で手軽に入手できるのが特徴です。

ただし、ミノキシジルを含む外用育毛剤(リアップなど)は「第一類医薬品」として、発毛効果が認められています。これについては後ほど詳しく説明します。

医薬品と医薬部外品では、効果の根拠となるエビデンスの基準が異なることを理解しておくことが重要です。

市販育毛剤でAGAは改善できるのか

結論から言うと、市販の育毛剤(医薬部外品)だけでAGAの進行を止めることは困難です。

AGAは男性ホルモン由来のDHT(ジヒドロテストステロン)が毛包に作用し、ヘアサイクルを乱すことで進行します。市販育毛剤の多くは、頭皮の血行促進や毛根への栄養補給、炎症抑制などを目的とした成分が中心で、DHTそのものを抑制する作用はありません。

つまり、育毛剤は「今ある髪を健やかに保つ」「頭皮環境を整える」ことには一定の効果が期待できますが、AGAの根本原因にはアプローチできないんです。

ただし例外として、ミノキシジル配合の外用薬(リアップX5、スカルプDメディカルミノキ5など)は、医薬品として発毛効果が認められています。これらは市販されていますが、薬剤師のいる薬局でのみ購入可能です。

半年以上育毛剤を使っても変化がない場合は医療機関へ

「半年以上育毛剤を使っているのに変化がない」という場合は、AGAが進行している可能性が高く、医療機関での治療を検討すべきタイミングと言えます。

AGA治療薬が選ばれる理由

医療機関で処方されるAGA治療薬が多くの方に選ばれる理由は、医学的根拠に基づいた明確な効果が期待できるからです。

日本皮膚科学会のガイドライン(2017年版)では、フィナステリド内服、デュタステリド内服、ミノキシジル外用が推奨度A(行うよう強く勧める)とされています。これらの治療薬は、大規模な臨床試験で有効性と安全性が確認されており、世界中で標準治療として用いられているんです。

出典:日本皮膚科学会:男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版

特にフィナステリドやデュタステリドは、AGAの原因であるDHTの生成を直接抑制するため、進行を止める効果が期待できます。ミノキシジルは毛包に直接作用して発毛を促進する働きがあります。

また、医師の管理下で治療を受けることで、副作用への対応や経過観察も適切に行えるため、安全性も高いと言えます。

「本格的にAGAを治療したい」「進行を確実に止めたい」という場合は、医療機関でのAGA治療薬が最も効果的な選択肢になります。効果には個人差がありますので、まずは医師にご相談ください。

AGAのメカニズムと育毛剤が効きにくい理由

なぜ育毛剤ではAGAの進行を止められないのか。その理由を理解するには、AGAがどのようなメカニズムで起こるのかを知ることが大切です。

ここでは、AGAの根本原因と、育毛剤の成分が届かない理由を医学的に解説します。

AGAの原因はDHT(ジヒドロテストステロン)

AGAの主な原因は、DHT(ジヒドロテストステロン)という男性ホルモンにあります。

体内に存在するテストステロン(男性ホルモン)が、5α還元酵素という酵素の働きによってDHTに変換されます。このDHTが毛包にある受容体に結びつくと、毛髪の成長期が短縮され、髪が太く長く育つ前に抜け落ちてしまうんです。

通常、髪の毛は2〜6年かけて成長しますが、AGAが進行すると成長期が数ヶ月〜1年程度に短縮されます。その結果、細く短い髪ばかりになり、やがて毛包が休止状態になって薄毛が目立つようになります。

DHTの影響を受けやすいかどうかは遺伝的な要因が大きく、特に前頭部や頭頂部の毛包がDHTの影響を受けやすいため、これらの部位から薄毛が進行するのが典型的なパターンです。

つまりAGAは、単なる「栄養不足」や「血行不良」ではなく、ホルモンの作用による毛包の機能変化が根本原因なんです。

育毛剤の成分では根本原因に届かない

市販の育毛剤(医薬部外品)に含まれる成分の多くは、頭皮の血行促進、毛根への栄養補給、炎症抑制などを目的としています。

代表的な成分としては、センブリエキス(血行促進)、グリチルリチン酸ジカリウム(抗炎症)、酢酸トコフェロール(血行促進)などがあります。これらは頭皮環境を整える効果は期待できますが、DHTの生成を抑制したり、DHTが毛包に作用するのを防ぐ働きはありません。

育毛剤はDHTに直接作用しない

AGAの根本原因であるDHTに対処するには、体内でのDHT生成を抑える(5α還元酵素阻害)か、毛包に直接作用して発毛を促進する必要があります。これができるのが、医療機関で処方されるフィナステリドやデュタステリド、ミノキシジルといった治療薬なんです。

また、育毛剤の成分は頭皮表面から浸透させる形になりますが、毛包の深部や血液中のホルモンバランスにまで影響を与えることは困難です。

このため、育毛剤は「予防」や「頭皮ケア」としての役割は果たせても、進行してしまったAGAを改善するのは難しいというのが医学的な見解です。もちろん個人差はありますので、気になる方は医師にご相談ください。

市販育毛剤の効果と成分|何に期待できる?

市販育毛剤がAGAの根本治療には向かないとはいえ、すべての育毛剤が無意味というわけではありません。

ここでは、育毛剤に含まれる成分の種類と、それぞれに期待できる効果を整理していきます。

ミノキシジル配合育毛剤は発毛効果が認められている

市販育毛剤の中で唯一、「発毛効果」が医学的に認められているのが、ミノキシジル配合の外用薬です。

代表的な製品として、リアップX5プラスネオ(大正製薬)、スカルプDメディカルミノキ5(アンファー)、リグロEX5(ロート製薬)などがあります。これらはすべて「第一類医薬品」に分類され、薬剤師のいる薬局でのみ購入できます。

ミノキシジルは、毛包に直接作用して毛母細胞の増殖を促し、ヘアサイクルの成長期を延長する働きがあります。日本皮膚科学会のガイドライン(2017年版)でも推奨度Aとされており、男性には5%濃度、女性には1%濃度の使用が推奨されています。

出典:日本皮膚科学会:男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版

臨床試験では、ミノキシジル5%外用を1年間継続した場合、約90%の方で薄毛の改善または進行抑制が認められたとされています。ただし、効果が実感できるまでには最低でも4〜6ヶ月の継続使用が必要です。

主な副作用として、頭皮のかゆみ、発赤、接触皮膚炎などが報告されています(発生率約8%)。症状が現れた場合は使用を中止し、医師にご相談ください。

出典:FDA:Men’s Rogaine (5% Minoxidil) NDA Package

DHTには作用しないため進行中のAGAには限界がある

AGAの根本原因であるDHTには作用しないため、進行が進んでいる場合はフィナステリドなどとの併用が推奨されることもあります。

頭皮環境を整える成分の働き

医薬部外品の育毛剤に含まれる成分は、主に頭皮環境の改善を目的としています。

代表的な成分とその働きは以下の通りです。

  • センブリエキス:血行促進作用があり、毛根への栄養供給をサポート
  • グリチルリチン酸ジカリウム:抗炎症作用で頭皮の炎症を抑える
  • 酢酸トコフェロール(ビタミンE誘導体):血行促進と抗酸化作用
  • パントテン酸誘導体:毛母細胞の活性化
  • ニコチン酸アミド:血行促進

これらの成分は、頭皮の血流を改善したり、炎症を抑えたりすることで、髪が育ちやすい環境を整える効果が期待できます。ただし、AGAの原因であるDHTを抑制する作用はないため、予防や軽度の薄毛には有効でも、進行したAGAには効果が限定的なんです。

医薬品ほど厳密なデータはなく効果の個人差が大きい

また、これらの成分の効果を裏付ける臨床データは、医薬品ほど厳密ではない場合が多く、効果の個人差も大きいと言えます。

「まだ薄毛が気になり始めた程度」「頭皮のかゆみやフケが気になる」という段階であれば、頭皮環境を整える育毛剤から始めてみるのも一つの選択肢です。ただし、3〜6ヶ月使っても変化が感じられない場合は、医療機関での相談を検討しましょう。

悪玉ホルモン抑制タイプの注意点

最近では、「5α還元酵素阻害」や「DHT抑制」を謳う育毛剤も増えてきました。

これらの製品には、ノコギリヤシエキス、イソフラボン、キャピキシルといった植物由来成分が配合されていることが多いです。理論上はDHTの生成を抑える可能性があるとされていますが、医薬品のような明確なエビデンスは確立されていません。

大規模な臨床試験での有効性は確認されていない

たとえばノコギリヤシエキスは、一部の研究で5α還元酵素を阻害する可能性が示唆されていますが、大規模な臨床試験での有効性は確認されていないんです。また、配合量や浸透性の問題から、実際にどの程度DHTを抑制できるかは不明確です。

キャピキシルは、アカツメクサ花エキスとアセチルテトラペプチド-3を組み合わせた成分で、「ミノキシジルの3倍の効果」と宣伝されることもありますが、これは試験管内の実験結果であり、人間の頭皮での発毛効果を示すものではありません。

こうした成分を含む育毛剤は、医薬部外品や化粧品として販売されているため、効果効能の表現にも制限があります。「DHT抑制」を期待するのであれば、医学的根拠のあるフィナステリドやデュタステリドを医師の処方で使用する方が確実です。

「天然成分だから安全」というイメージもありますが、副作用のリスクがゼロというわけではありません。使用する際は成分をよく確認し、異常を感じたら使用を中止して医師にご相談ください。効果には個人差があります。

AGA治療薬の種類と効果|医療機関で処方される薬

ここからは、医療機関で処方されるAGA治療薬について、種類ごとに詳しく解説していきます。

それぞれの薬の作用機序、期待できる効果、注意すべき副作用を理解した上で、医師と相談して最適な治療法を選びましょう。

フィナステリド(プロペシア)|AGAの進行を止める

フィナステリドは、AGAの進行を抑えることを目的とした内服薬です。商品名としてはプロペシアが有名で、ジェネリック医薬品も多数販売されています。

フィナステリドは、5α還元酵素II型を阻害することでDHTの生成を抑制します。これにより、DHTによる毛包への悪影響が減り、ヘアサイクルが正常化することで抜け毛が減少し、薄毛の進行が止まることが期待できます。

日本皮膚科学会のガイドライン(2017年版)では推奨度Aとされており、臨床試験では1年間の服用で約58%の方に改善効果、約40%の方に進行抑制効果が認められました。

出典:日本皮膚科学会:男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版

用法用量は、1日1回1mg(1錠)を水またはぬるま湯で服用します。効果が実感できるまでには最低でも3〜6ヶ月かかるため、継続的な服用が必要です。

主な副作用として、性欲減退(1.1%)、勃起不全(0.7%)が報告されています。これらの症状が現れた場合は、医師にご相談ください。多くの場合、服用を中止することで症状は改善します。

出典:PMDA:プロペシア錠(フィナステリド) 添付文書

女性、特に妊娠中・授乳中の方は絶対に服用禁止

フィナステリドは男性専用の治療薬で、女性、特に妊娠中・授乳中の方は絶対に服用してはいけません。また、錠剤に触れることも避ける必要があります。効果には個人差がありますので、必ず医師の診察を受けた上で使用してください。

デュタステリド(ザガーロ)|より強力な抑制効果

デュタステリドは、フィナステリドよりも強力なDHT抑制効果を持つ内服薬です。商品名はザガーロで、日本では2016年に承認されました。

デュタステリドは、5α還元酵素のI型とII型の両方を阻害します。フィナステリドがII型のみを阻害するのに対し、デュタステリドはより広範囲にDHT生成を抑えることができるため、効果が高いとされているんです。

臨床試験では、フィナステリドと比較して約1.6倍の毛髪数増加が認められたという報告があります。日本皮膚科学会のガイドライン(2017年版)でも推奨度Aとされています。

出典:日本皮膚科学会:男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版

用法用量は、1日1回0.5mg(1カプセル)を服用します。フィナステリド同様、効果が現れるまでには6ヶ月程度の継続が必要です。

主な副作用として、勃起不全(4.3%)、性欲減退(3.9%)、射精障害(1.0%)などが報告されています。フィナステリドよりもやや副作用の発生率が高い傾向があります。

出典:PMDA:ザガーロカプセル0.1/0.5mg(デュタステリド) 添付文書

服用中および中止後6ヶ月間は献血不可

デュタステリドも男性専用で、女性への投与は禁忌です。また、血中半減期が長いため、服用中止後も体内に成分が残りやすい特徴があります。献血は服用中および服用中止後6ヶ月間は控える必要があります。

フィナステリドで十分な効果が得られなかった方や、より強力な治療を希望する方に選択されることが多い薬剤です。効果には個人差がありますので、医師にご相談ください。

ミノキシジル外用薬|発毛を促す

ミノキシジル外用薬は、発毛を促進することを目的とした塗り薬です。市販品もありますが、医療機関ではより高濃度の製剤や個人に合わせた調剤も可能です。

ミノキシジルは、毛包に直接作用して毛母細胞の増殖を促し、血流を改善することで発毛を促進します。フィナステリドやデュタステリドが「守り」の薬だとすれば、ミノキシジルは「攻め」の薬と言えるでしょう。

日本皮膚科学会のガイドライン(2017年版)では、男性には5%濃度、女性には1%濃度の外用が推奨度Aとされています。

出典:日本皮膚科学会:男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版

使用方法は、1日2回、気になる部位に直接塗布します。継続使用により、4〜6ヶ月で効果が実感できることが多いです。

主な副作用として、頭皮のかゆみ、発赤、接触皮膚炎などが報告されています(発生率約8%)。まれに頭痛、めまい、動悸などの全身性の副作用が現れることもあります。

出典:FDA:Men’s Rogaine (5% Minoxidil) NDA Package

フィナステリドとの併用で相乗効果が期待できる

フィナステリドやデュタステリドと併用することで、「進行抑制」と「発毛促進」の両方の効果が期待でき、多くのクリニックで併用療法が推奨されています。

ミノキシジル外用薬は男女ともに使用できますが、濃度には注意が必要です。効果には個人差がありますので、医師の指導の下で適切に使用してください。

ミノキシジル内服薬|効果と注意点

ミノキシジル内服薬は、AGA治療目的では国内未承認ですが、多くのクリニックで発毛プランの一環として処方されています。

ミノキシジルをタブレット(錠剤)として内服することで、外用薬よりも強力な発毛効果が期待できるとされています。血液を通じて全身の毛包に作用するため、頭頂部だけでなく前頭部にも効果が現れやすいと言われているんです。

日本皮膚科学会のガイドライン(2017年版)では推奨度Dとされていますが、その後の研究で安全性データが蓄積されており、医師の管理下で適切に使用すれば有力な選択肢となります。

1,404名を対象とした多施設研究(2021年)では、副作用発生率は比較的低く、最も多い副作用は多毛症(15.1%)でした。副作用による治療中止率は1.2%と報告されています。

出典:J Am Acad Dermatol 2021:Safety of low-dose oral minoxidil for hair loss: A multicenter study of 1404 patients

用量は通常1日2.5mg〜5mg程度で、医師が患者の状態に応じて調整します。効果が現れるまでには3〜6ヶ月程度かかります。

未承認薬のため副作用救済制度の対象外の可能性あり

主な副作用として、多毛(体毛の増加)、むくみ、動悸、頭痛などが報告されています。元々は高血圧の治療薬として開発された経緯があるため、血圧への影響にも注意が必要です。心臓や腎臓に持病がある方は使用できない場合があります。

未承認薬であるため、副作用が生じた場合に医薬品副作用被害救済制度の対象外となる可能性があります。使用する場合は、必ず医師の管理下で定期的な検査を受けながら進めることが重要です。

出典:厚生労働省:医療広告ガイドライン(美容医療サービス等の自由診療を受ける方へ)

外用薬で効果が不十分だった方や、より強力な治療を希望する方に選択されることがあります。効果には個人差がありますので、リスクとベネフィットを医師とよく相談した上で判断してください。

育毛剤と治療薬の併用はできる?効果的な組み合わせ

「育毛剤と治療薬、両方使ったら効果が高まるのでは?」と考える方も多いでしょう。

ここでは、併用の可否と、効果的な組み合わせ方について解説します。

併用可能なパターンと相乗効果

結論から言うと、育毛剤とAGA治療薬の併用は可能であり、適切な組み合わせであれば相乗効果が期待できます。

最も効果的とされる組み合わせは、以下のようなパターンです。

効果的な併用パターン
  • フィナステリド内服 + ミノキシジル外用:最も標準的な併用療法。DHTを抑えて進行を止めつつ、発毛を促進する
  • デュタステリド内服 + ミノキシジル外用:より強力なDHT抑制と発毛促進の組み合わせ
  • フィナステリド/デュタステリド内服 + 頭皮環境改善系の育毛剤:治療薬で根本治療をしつつ、育毛剤で頭皮ケアを補助

異なるメカニズムの組み合わせで高い効果が期待できる

特にフィナステリド(またはデュタステリド)とミノキシジル外用の併用は、多くのAGAクリニックで推奨されています。フィナステリドがAGAの進行を止め、ミノキシジルが発毛を促すという、異なるメカニズムを組み合わせることで高い効果が期待できるんです。

また、治療薬による本格治療と並行して、頭皮環境を整える育毛剤(医薬部外品)を使用することで、髪が育ちやすい環境を維持できる可能性があります。センブリエキスやグリチルリチン酸などの成分は、治療薬の効果を妨げることなく、頭皮の血行や炎症ケアに役立ちます。

併用する場合は、外用薬と育毛剤の塗布タイミングをずらす(朝と夜で分ける、または数時間空ける)ことで、それぞれの成分が適切に浸透しやすくなります。

ただし、併用によって副作用のリスクが高まる可能性もあるため、必ず医師に相談した上で開始してください。効果には個人差があります。

避けるべき組み合わせと注意点

一方で、避けるべき組み合わせや注意が必要なケースもあります。

ミノキシジル外用薬の重複使用は副作用リスク増

まず注意すべきは、ミノキシジル外用薬の重複使用です。市販のミノキシジル配合育毛剤と、クリニックで処方されたミノキシジル外用薬を同時に使用すると、成分が過剰になり副作用のリスクが高まります。頭皮のかゆみや炎症が強く出る可能性があるため、どちらか一方に絞るべきです。

フィナステリドとデュタステリドの併用は不要

また、複数の内服薬を自己判断で併用するのも危険です。フィナステリドとデュタステリドは同じ5α還元酵素阻害薬であり、併用しても効果が倍増するわけではなく、副作用のリスクだけが高まる可能性があります。必ず医師の指示に従ってください。

個人輸入品は品質・安全性が保証されず危険

さらに、個人輸入で入手した治療薬や育毛剤を、クリニックで処方された薬と併用するのも推奨できません。個人輸入品は品質や安全性が保証されておらず、偽造品のリスクもあります。万が一副作用が起きた場合、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる可能性があるんです。

出典:厚生労働省:医薬品等の個人輸入について

頭皮に刺激が強い成分を含む育毛剤を、ミノキシジル外用薬と同時に使うのも避けたほうが良いでしょう。アルコール濃度が高い製品や、メントール・エタノールが多く含まれる製品は、頭皮のバリア機能を低下させ、炎症を引き起こす可能性があります。

併用を検討する場合は、自己判断せず必ず医師に相談し、使用する製品の成分を確認してもらうことが大切です。効果には個人差がありますので、慎重に判断してください。

育毛剤から治療薬に切り替えるタイミングは?

「育毛剤を使っているけれど、いつ治療薬に切り替えるべきか分からない」という方も多いでしょう。

ここでは、切り替えを検討すべき具体的なタイミングと判断基準を紹介します。

育毛剤を6ヶ月使っても効果が出ないとき

育毛剤を6ヶ月以上継続しても変化が感じられない場合は、治療薬への切り替えを検討すべきタイミングです。

育毛剤の効果が現れるまでには一般的に3〜6ヶ月かかると言われています。頭皮環境の改善や血行促進による効果であれば、この期間で何らかの変化(抜け毛の減少、髪のコシなど)が実感できることが多いんです。

しかし、6ヶ月以上使用しても「抜け毛が減らない」「薄毛が進行している」という場合は、AGAが原因である可能性が高く、育毛剤だけでは根本的な対処ができていないと判断できます。

特にミノキシジル配合の外用育毛剤を使用している場合でも効果が不十分なら、DHTを抑制する治療薬(フィナステリドやデュタステリド)の追加が必要かもしれません。ミノキシジル単独では、AGAの進行を止めることはできないためです。

また、育毛剤の効果を客観的に判断するには、使用開始時の写真を撮っておき、3ヶ月ごとに比較するのが有効です。自分では気づきにくい変化も、写真で見比べることで確認できます。

6ヶ月が目安ではありますが、明らかに薄毛が進行している場合は、それ以前でも医療機関を受診することをおすすめします。AGAは進行性のため、早期の治療開始が重要です。効果には個人差がありますので、まずは医師にご相談ください。

抜け毛が明らかに増えてきた場合

抜け毛の量が明らかに増えてきたと感じる場合は、育毛剤での対処だけでは不十分な可能性が高いサインです。

具体的には、以下のような状況が該当します。

切り替えサイン
  • シャンプー時の抜け毛が以前より明らかに多い(排水溝に溜まる量が増えた)
  • 枕に落ちている髪の量が増えた
  • 髪をとかすたびに抜け毛が目立つ
  • 生え際や頭頂部の地肌が透けて見えるようになった

通常、人間は1日に50〜100本程度の髪が抜けますが、これを大幅に超える抜け毛が続く場合は、AGAが進行している可能性があります。特に細く短い髪(ミニチュア化した髪)が多く抜けている場合は、DHTの影響でヘアサイクルが短縮されている典型的なサインなんです。

抜け毛の増加は、育毛剤だけでは対処できないAGAの進行を示す重要な指標です。この段階では、DHTを抑制するフィナステリドやデュタステリドによる内服治療が必要になることが多いです。

急激な抜け毛は別の脱毛症の可能性もあり

また、急激な抜け毛の増加は、AGA以外の脱毛症(円形脱毛症びまん性脱毛症など)の可能性もあります。自己判断せず、皮膚科やAGA専門クリニックで診察を受け、原因を特定することが大切です。

早期に適切な治療を開始することで、進行を食い止められる可能性が高まります。抜け毛の増加を感じたら、できるだけ早く医療機関を受診しましょう。

初期段階から本格治療を始めるメリット

「まだ薄毛が気になり始めた程度だから、育毛剤で様子を見よう」と考える方も多いですが、初期段階から医療機関での治療を始めるメリットは大きいです。

AGAは進行性の疾患であり、放置すればするほど毛包が休止状態になり、回復が難しくなります。完全に毛包が機能を失ってしまうと、どんな治療を行っても発毛は期待できなくなるんです。

初期段階で治療を始めるメリットとしては、以下が挙げられます。

早期治療のメリット
  • 進行を早期に食い止められる:DHTを抑制することで、これ以上の薄毛進行を防げる
  • 現状維持がしやすい:まだ毛包が生きているうちに治療を始めれば、今ある髪を維持しやすい
  • 発毛効果が出やすい:ミニチュア化が進んでいない段階では、治療薬への反応が良い
  • 治療期間が短く済む可能性:早期治療は効果が出るまでの期間が短い傾向がある
  • 心理的負担の軽減:薄毛の悩みが深刻化する前に対処できる

日本皮膚科学会のガイドラインでも、AGAは早期治療が推奨されています。特にフィナステリドやデュタステリドは、進行抑制効果が高く、早い段階で使用を開始することで、長期的に良好な状態を維持できる可能性が高まります。

出典:日本皮膚科学会:男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版

「まだ大丈夫」と先延ばしにするよりも、気になり始めた段階で一度医療機関を受診し、現状を把握することが重要です。診察の結果、まだ治療が必要ないレベルであれば経過観察となりますし、必要があれば早期に適切な治療を開始できます。

初期段階からの治療は、長期的に見て費用対効果も高いと言えます。効果には個人差がありますので、まずは医師にご相談ください。

副作用と注意点|育毛剤・治療薬それぞれのリスク

どんな薬にも副作用のリスクはあります。育毛剤と治療薬、それぞれのリスクを正しく理解した上で使用することが大切です。

ここでは、主な副作用と対処法について解説します。

ミノキシジル育毛剤の副作用

ミノキシジル外用薬は発毛効果が認められている一方で、頭皮の局所的な副作用が報告されています。

最も多い副作用は、頭皮のかゆみや発赤です。臨床試験では約8%の方にこれらの症状が現れたと報告されています。これは、ミノキシジルや基剤に含まれるエタノール、プロピレングリコールなどの成分による刺激が原因と考えられます。

出典:FDA:Men’s Rogaine (5% Minoxidil) NDA Package

その他の副作用として、以下が報告されています。

ミノキシジル外用薬の副作用
  • 接触皮膚炎(かぶれ)
  • 頭皮の乾燥、フケ
  • まれに頭痛、めまい、動悸(全身性の副作用)
  • 顔や手の多毛(使用部位以外への液だれによる)

頭皮のかゆみや発赤が軽度であれば、使用を続けているうちに慣れることもありますが、症状が強い場合は使用を中止し、医師にご相談ください。アレルギー体質の方や敏感肌の方は、使用前にパッチテストを行うことも検討しましょう。

推奨量を超えて使用しても効果は高まらない

また、ミノキシジル外用薬は正しい使用方法を守ることが重要です。推奨量を超えて使用しても効果は高まらず、副作用のリスクだけが増します。1日2回、各1mLを守って使用してください。

フィナステリド・デュタステリドの副作用

フィナステリドとデュタステリドは、どちらも性機能に関連する副作用が報告されています。

フィナステリドの主な副作用は以下の通りです。

  • 性欲減退(1.1%)
  • 勃起不全(0.7%)
  • 射精障害(0.4%)

出典:PMDA:プロペシア錠(フィナステリド) 添付文書

デュタステリドの主な副作用は以下の通りです。

  • 勃起不全(4.3%)
  • 性欲減退(3.9%)
  • 射精障害(1.0%)

出典:PMDA:ザガーロカプセル0.1/0.5mg(デュタステリド) 添付文書

これらの副作用は、服用を中止することで多くの場合改善します。また、すべての方に現れるわけではなく、大多数の方は問題なく服用を継続できています。

まれに肝機能障害が報告されているため定期検査が推奨

まれに、肝機能障害が報告されることもあるため、定期的な血液検査が推奨されます。服用開始後、倦怠感や食欲不振、黄疸などの症状が現れた場合は、すぐに医師に相談してください。

女性、特に妊娠中・授乳中の方は絶対に服用・接触禁止

また、フィナステリド・デュタステリドは女性、特に妊娠中・授乳中の方への投与は絶対に禁止されています。男性胎児の生殖器発育に影響を及ぼす可能性があるため、錠剤に触れることも避ける必要があります。家庭内での保管場所にも注意しましょう。

副作用が心配な方は、医師とよく相談した上で、定期的な経過観察を受けながら治療を進めることが大切です。効果には個人差があり、副作用のリスクも個人差があります。

個人輸入薬の危険性

インターネット上では、海外から個人輸入でAGA治療薬を購入できるサイトが数多く存在しますが、個人輸入薬の使用は非常に危険です。

個人輸入薬の主なリスクとして、以下が挙げられます。

個人輸入薬のリスク
  • 偽造品の可能性:有効成分が含まれていない、または過剰に含まれている場合がある
  • 品質管理の不備:製造過程で有害物質が混入している可能性
  • 副作用への対応困難:重篤な副作用が起きても、医師のサポートが受けられない
  • 救済制度の対象外:医薬品副作用被害救済制度が適用されない場合がある
  • 適切な診断がない:AGAではない脱毛症の可能性を見逃すリスク

品質・安全性の公的確認なく副作用は自己責任

厚生労働省や国民生活センターも、個人輸入医薬品の危険性について繰り返し注意喚起を行っています。品質や安全性の公的確認がなく、万が一副作用が生じた場合も自己責任となるんです。

出典:厚生労働省:医薬品等の個人輸入について

また、偽造医薬品には、有効成分がまったく含まれていないケースや、逆に過剰に含まれているケース、さらには有害物質が混入しているケースもあります。見た目では本物と区別がつかないため、使用するまでリスクが分からないという危険性があります。

AGA治療薬は、クリニックで処方を受けければ比較的安価に入手できます。オンライン診療を利用すれば、通院の手間も最小限に抑えられます。安全性と確実性を考えれば、必ず医療機関で正規の薬を処方してもらうべきです。

「個人輸入のほうが安い」だけで選ぶのは健康を危険にさらす行為

「個人輸入のほうが安い」という理由だけで選択することは、健康を危険にさらす行為です。必ず医師の診察を受け、正規のルートで治療薬を入手してください。

初期脱毛への対処法

AGA治療薬を使い始めると、初期脱毛」と呼ばれる一時的な抜け毛の増加が起こることがあります。

初期脱毛は、ミノキシジル使用開始後1〜2ヶ月頃に起こることが多く、乱れたヘアサイクルがリセットされる過程で生じる現象です。弱っていた古い毛が抜けて、新しく健康な毛に生え変わるための準備期間と考えられています。

初期脱毛の特徴は以下の通りです。

初期脱毛の特徴
  • 使用開始後1〜2ヶ月頃に起こる
  • 期間は通常1〜2ヶ月程度
  • 細く短い髪が多く抜ける
  • その後、新しい髪が生えてくる

初期脱毛は治療が効いている証拠でもある

初期脱毛は治療が効いている証拠でもあるため、過度に心配せず治療を継続することが重要です。この時期に不安になって治療をやめてしまうと、せっかくのヘアサイクル改善のチャンスを逃してしまいます。

ただし、初期脱毛が3ヶ月以上続く場合や、抜け毛の量が異常に多い場合は、他の原因も考えられるため、医師に相談してください。また、初期脱毛とAGAの進行を区別するためにも、定期的に医師の診察を受けることが大切です。

初期脱毛が起こることを事前に知っておくことで、不安を軽減できます。治療開始前に医師からしっかり説明を受け、疑問点は解消しておきましょう。効果には個人差がありますが、多くの場合、初期脱毛を乗り越えた後に発毛効果が実感できるようになります。

まとめ

市販の育毛剤とAGA治療薬には、医学的な位置づけと効果のメカニズムに明確な違いがあります。

育毛剤(医薬部外品)の多くは、頭皮環境を整えることを目的としており、AGAの根本原因であるDHTには作用しません。一方、医療機関で処方されるフィナステリドやデュタステリドはDHTの生成を抑制し、ミノキシジルは発毛を促進する医学的根拠があります。日本皮膚科学会のガイドライン(2017年版)でも、これらの治療薬は推奨度Aとされています。

育毛剤を6ヶ月以上使用しても効果が実感できない場合や、抜け毛が明らかに増えてきた場合は、AGAが進行している可能性が高く、医療機関での治療を検討すべきタイミングです。AGAは進行性のため、早期に適切な治療を開始することで、進行を食い止められる可能性が高まります。

治療薬には副作用のリスクもありますが、多くは軽度で、医師の管理下で適切に使用すれば安全性は高いです。個人輸入薬は品質や安全性の保証がなく、副作用が起きても救済制度の対象外となる可能性があるため、必ず医療機関で正規の薬を処方してもらうことが重要です。

クリニック選びでは、料金の透明性、通いやすさ、治療の選択肢、医師の専門性などを総合的に判断し、自分に合った治療環境を見つけることが大切です。オンライン診療を活用すれば、自宅にいながら専門医の診察を受けることもできます。

AGAは適切な治療により改善が期待できる疾患です。効果には個人差がありますが、医学的根拠に基づいた治療を医師の管理下で継続することで、多くの方が満足のいく結果を得ています。薄毛が気になり始めたら、一人で悩まず、まずは医療機関に相談してみることをおすすめします。

この記事の監修者
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原 征弘
株式会社ゼロメディカル 代表取締役

2005年設立の株式会社ゼロメディカルで、医療・介護・福祉領域における経営支援や医療情報メディア運営、WEBマーケティングを統括。医療機関や関連施設の課題解決を支えるとともに、Kenkotto/Diamell/デンタルマイクロスコープClinic などの自社メディアを通じて、正確で分かりやすい情報を届ける体制づくりに取り組んでいる。

本記事では、医療機関の経営支援と医療メディア運営で培った知見にもとづき、情報の客観性・表記の妥当性・最新性を確認しています(※個別の診断・治療方針の判断は医師が行います)。

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