クリニックの待合室を快適に!患者離れを防ぐ15の秘訣!
「新規開業にあたって、院内の空間にもこだわりを持ちたい」 「クリニックの改装を予定しているので、この機会に動線を見直したい」。
そんな院内設計に関するお悩みやご要望をお持ちの先生方にとって、特に重要なのが「待合室」です。
快適な待合室づくりは、患者様の満足度を高め、リピーター獲得にもつながる重要なポイントになります。
そこで今回は魅力的な待合室を演出する秘訣を具体的にご紹介します。
Contents
待合室は患者様のストレスに直結
待合室は、患者様が最初に足を踏み入れる場所であり、クリニックの第一印象を大きく左右します。
特に患者様は待ち時間の大部分を待合室で過ごすため、環境が与える影響は無視できません。
実際に「病院の待合室って本当にテンション下がる……」「座れないぐらい人が多くて、他の病気に感染しないか心配だった……」といった、患者様のネガティブな声はSNS上に多数見受けられます。
そのため院長先生は待合室の環境改善に真摯に取り組む必要があります。
患者様のストレスを軽減し、快適で安心できる空間を提供することが、クリニックの評判向上とリピーター獲得につながるからです。
クリニック待合室の混雑がプラスに働くことも
待合室に大勢の人がいる環境は、患者様にとってストレスの原因となるのは間違いありません。
しかし、同時に「並んでいるラーメン屋はおいしいに違いない」といった人間の認知バイアスも存在します。
つまり、人々が多く集まる場所には、何かしらの価値があると感じるバイアスです。
このようなバイアスは、クリニックに当てはまるケースもあります。
クリニックや医院の混雑さが、信頼性、専門性、サービスの質の高さを患者様に意識づける方向に向かうこともあるのです。
つまり、クリニックは混雑がもたらすポジティブな印象を保ちながら、待合室の快適性を高め、患者体験の質を向上させることも意識しなければなりません。
そのために、クリニックは、どのようにして待ち時間を患者様にとって快適なものに変えるかを考える必要があります。
クリニック待合室の快適さを高めるための施策15選
待合室の環境を改善するには、内装や設備、家具の選択といった物理的な要素と、情報提供や衛生管理といった運営面での工夫が必要です。
また、眼科や小児科など、診療科目によって待合室に求められる役割も異なります。
そこで待合室を単なる待機スペースから、患者様にとって魅力的で快適な空間へと変化させるための効果的な方法をご紹介します。
ご自身のクリニックの状況に合わせて、適宜取り入れていただければと思います。
待合室のレイアウトと家具の選択
待合室のレイアウトと家具の選択は細部にまでこだわりを持って行う必要があります。
スペースに合わせた適切なサイズと素材、プライバシーを確保する施策、バリアフリーへの配慮、診療内容に合わせたキッズスペースの有無などをご紹介します。
1:イスやソファーの適切な選定
どのようなイスやソファーを選ぶかは、待合室の快適性を大きく左右する重要な要素です。
まず、空間に対して適切なサイズを選ぶことが肝心です。
どんなにデザインが優れていてもサイズが大きすぎると、圧迫感を与え、居心地の悪さにつながります。
また、耐久性や清掃性も考慮しましょう。
具体的には、除菌しやすい滑らかな表面と縫い目の少ない材質がおすすめです。
特にレザーなどの耐久性と清潔感のある素材は、清掃しやすく常に清潔な状態を保ちやすいのがメリットです。
2:家具の快適な配置を考える
イスやソファーの向きを統一すると、空間に一体感が生まれ、待合室全体の雰囲気が落ち着きます。
しかし、向かい合わせや斜めの配置は、患者様同士の視線が合ってしまい、落ち着かない感覚を与える可能性があります。
また、受付スタッフと患者様が向き合う配置も、患者様に圧迫感を与えてしまうかもしれません。
そのため、イスやソファーの配置は、患者様同士や受付スタッフとの視線があまり合わないよう工夫しましょう。
ソファーの位置を調整したり、パーテーションを設置したりするなどして、適度にプライバシーを確保しつつ、居心地の良い空間作りが求められます。
3:患者様のプライバシーを確保する
プライバシーの確保は、クリニックにとって重要な課題です。
クリニックに関する口コミの中でも、診療の声が待合室まで届いて不快だったという意見は数多く見られます。
医療における個人情報の扱いは慎重を期す必要があり、診療にも影響を与えかねません。
ぜひ壁や扉の防音性能を高め、診察室からの声が待合室に漏れないようにすることを心がけてください。
もしも、設備投資が難しい場合は、待合室と診察室をできるだけ遠ざけたり、待合室に BGM を流したり、遮音性のある仕切りを設置したりするなどの対策を行いましょう。
4:キッズスペースの導入
地域の状況、およびクリニックの診療内容によっては、キッズスペースの設置も待合室の快適性を高めるポイントとなります。
その際、お子さんが怪我をしないよう周囲にクッション材を敷いたり、絵本やおもちゃが散乱しないような工夫が重要です。
単に場所を用意するだけではなく、より快適で安全な空間を作る意識を心がけましょう。
ある程度の動線を確保し、子どもたちが自由に動き回れるようにすることも大切です。
キッズスペースがあれば、他の患者様から「病院の待合室で騒いでいる子どもたちを静かにさせるべき」という意見に対しても、一定の配慮をしていると示せます。
5:バリアフリーへの配慮
院内のバリアフリー化は、ベビーカーや車いすを利用する患者様だけでなく、高齢の患者様にとっても非常に重要です。
段差をなくし、角ばった部分を最小限にすれば、つまずきや転倒のリスクを減らせます。
結果的に、受付から待合室、さらに診察室への移動がスムーズになり、患者様の身体的負担を軽減し、ストレスのない通院を実現できます。
待合室が混雑している場合、体力に不安のある患者様には、車内で待機していただくことも一つの選択肢です。
その際、駐車場から待合室まで雨に濡れずに移動できるよう、屋根付きの通路を設けるなどの配慮を行うクリニックも増えています。
快適で安らげる待合室の環境作り
患者様が安らげるよう、待合室の環境づくりには細部にまでこだわりが求められます。
具体的には、適度な明るさと心地よい温度・湿度の維持、リラックス効果を高める音楽の活用、そして何より徹底した衛生管理です。色彩の心理的効果も意識する必要があります。
それぞれ以下で詳しく解説します。
6:適度な明るさの確保
自然光を取り入れると、リラックス効果につながるため、可能な限り窓からの日差しを活かしましょう。
ただし、日差しによる温度上昇が懸念される場合は、ブラインドやカーテンで調節しつつ、空調で適切な温度を維持するのも忘れないでください。
窓がない場合や自然光が十分に取り入れられない場合は、時間帯や天候に合わせて照明器具の明るさを調整するとよいでしょう。
照度計で定期的に明るさを確認したり、患者様からのフィードバックを参考したりと、継続的な改善を行うのもおすすめです。
照明だけでなく、壁や家具の色選びも待合室の明るさに影響します。明るい色は光の反射率を高めて、部屋全体の明るさを向上させることができます。
7:空調設備の適切な管理
待合室の快適さを維持するためには、温度や湿度の管理が欠かせません。冷暖房の空調設備を適切に管理し、必要に応じて加湿器を使用して乾燥を防ぎましょう。
また、昨今のコロナ禍において、空調設備の重要性はさらに高まっています。
院内の空気を清浄に保ち、感染リスクを低減するために、高品質な空気清浄機の導入も検討しましょう。
ぜひ、これらの取り組みを、ホームページや院内掲示で患者様に明示するのも忘れないでください。
診療を待っている間、患者様に安心感が生まれて、信頼関係の構築に結びつきます。
8:色彩の選択による心理的効果の活用
待合室でメインとなる色に関しては、白を基調とする考えが常識とされてきました。白は清潔なイメージを抱きやすく、衛生的な印象を与えるからです。
しかし、白一色の空間は無機質な雰囲気になり、患者様が緊張してしまうケースも見受けられます。
そこで、クリニックの特性や患者様の年齢層に合わせて、適切な色を選ぶことが重要です。
例えば、小児科クリニックであれば、明るく元気な印象を与える黄色やオレンジなどを、色高齢者が多く訪れる内科クリニックでは、落ち着いた雰囲気を演出する青やグリーンの色調を取り入れましょう。
また補色関係にある色や、明度や彩度の差が大きい色を組み合わせる考えもあるため、困った時はカラーコーディネーターに相談するのも一つの手段です。
9:リラックス効果のある音楽の活用
待合室での音楽の活用は、患者様のリラックス効果を高める上で重要な役割を果たします。
無音状態の待合室では、患者様が緊張感を覚えやすく、不安を感じるケースがあります。
そこで、適切な音量で音楽を流せば、患者様の心理的な安定を促す効果が期待できるのです。
リラックス効果の高い音楽としては、ジャズやクラシックがよく知られています。
これらのジャンルは、ゆったりとしたテンポと柔らかな音色が特徴的で、聴く人の心を落ち着かせる働きがあります。
また、自然の環境音、例えば小鳥のさえずりや川のせせらぎなども、リラックス効果が期待できます。
10:衛生管理の徹底
クリニックの清潔さは、患者様の信頼を得る上で重要です。
ホコリやゴミが残っている状態は、患者様に不安感を与えます。
ぜひスタッフによる定期的な清掃に加え、専門業者によるエアコンクリーニングやフローリングクリーニング、ワックスがけなども検討しましょう。
また、待合室に手指消毒剤を設置したり、定期的にドアノブなどを消毒したりすることは、感染症予防の観点からも欠かせません。
発熱のある方向けの待機スペースを確保するのも有効な手段です。
物件の制約がある場合でも、可能な限り隔離スペースの確保に努めることが大切です。
待ち時間を有意義に過ごせる工夫
長い待ち時間は患者様にとって大きなストレスとなります。
そこで待合室では、デジタルサイネージで待ち時間を見える化したり、Wi-Fi環境を整えスマートフォンの利用を促したりと、ITを活用した対策が有効です。
一方で紙媒体の専門誌や書籍もまだまだ重要な役割を持っています。
ITと従来の対面サービスを組み合わせ、待ち時間を有意義で快適なものにする工夫が、患者満足度の向上につながります。
以下で詳しく見ていきましょう。
11:デジタルサイネージの設置
近年、待合室にデジタルサイネージを設置するクリニックが増えています。
医院の情報や最近のトピックスを流すことで、患者様の関心を引き付け、待ち時間を有意義に過ごしていただけるのが利点です。
テレビと比較すると、音量の調整が容易であり、待合室の快適性を維持しつつ、情報提供ができるというメリットもあります。
また、コンテンツの更新が簡単であるため、常に最新の情報を提供し続けられます。
ただし、導入コストがテレビより高くつくのがデメリットです。
12:待ち時間の見える化
待ち時間の見える化は、患者様のストレスを軽減し、満足度を高める上で重要な役割を果たします。
待合室で長時間待たされることは、患者様にとって大きなストレス要因となります。
特に、自分の順番がいつ来るのか分からない状況は、イライラを引き起こしやすいものです。
そこで、デジタルサイネージを活用して、リアルタイムで待ち時間や次の診察室への案内を表示する施策を行えば、患者様の不安が和らぎます。
スタッフも患者様対応に割く時間を削減できて、自身の業務に集中できるようになり、医院の経営が効率化します。
13:Wi-Fiを取り入れる
近年、多くの方がスマートフォンを利用しています。
そのため、待合室にフリーWi-Fiを用意しておけば、患者様は自由にインターネットを利用できて、確かな満足度向上に結びつきます。
従来、多くのクリニックでは待合室に雑誌を置いて患者様に提供してきました。
しかし、複数の雑誌を定期的に購入し続けることは、コスト面での負担が大きく、また、古くなった雑誌の処分にも手間がかかります。
Wi-Fi導入は、これらの問題を効率的に解消できる施策と言えます。
14:最新の雑誌や書籍の提供
地域の特性やクリニックの状況によっては、Wi-Fiよりも雑誌や書籍など紙媒体の情報提供が適しているケースも考えられます。
たとえば、スマートフォンの利用率が低い高齢の患者様の受診が多い場合などです。
その際、クリニックの専門分野に関連する専門誌や、健康情報を扱う一般書を選ぶことで、有意義に待ち時間を過ごしていただける可能性が高まります。
例えば、歯科クリニックであれば、歯科専門誌を待合室に用意しておけば、患者様が具体的な歯科治療や予防に関する最新の情報を得られます。
結果的に、患者様と医師とのコミュニケーションが円滑になると副次的なメリットも考えられるのです。
15:ウォーターサーバーの設置
暑い日や診療時間が長くなる場合は、喉の渇きを感じる状況はたびたび発生します。
また、検査などで予想以上に待ち時間が長くなり、飲み物を持参していない患者様もいらっしゃいます。
そのような状況で、気軽に水分補給ができる環境を整えることは、熱中症や脱水症の予防につながります。
さらに、冷水だけでなく温水の提供も可能なウォーターサーバーを導入すれば、患者様の嗜好に合わせた飲み物を提供できます。
「クリニックの待合室を快適に!患者離れを防ぐ15の秘訣!」まとめ
待合室は、患者様がクリニックの第一印象を得る大切な空間です。
その環境改善は患者様の満足度向上とクリニックの評判に直結します。
一方で、スペースや動線の制約といった物理的な課題があり、継続的な取り組みが必要不可欠です。
院長先生には、このような制約がある中でも、患者様の目線に立ち、できる限りの快適性と利便性を追求していただきたいと思います。
そして、こうした取り組みを積極的に発信し、患者様との信頼関係を築いていくことが大切です。
ゼロメディカルでは、開業日に向けてホームページを開設など、フレキシブルな対応も可能です。
内覧会に向けた情報提供、待合室のこだわりなどの情報発信もホームページを通じて行えますので、ぜひお気軽にご相談ください。
株式会社ゼロメディカル・主任Webライター
1988年生まれ。大学卒業後、教育分野と出版業界での経験を経て、2016年、株式会社ゼロメディカルにWebライターとして入社。これまでに、歯科医院、動物病院、クリニック、整骨院など、医療分野を中心に、200人以上の経営者を取材。1000以上の記事を執筆した経験を持つ。医療分野のほか、教育、法務、AI分野への造詣も深い。現在、人にしか書けない独自の記事を追求中。