クリニック開業失敗|よくある失敗理由10と成功のポイント15
多くの医療従事者が志すクリニック開業。
しかし開業後に失敗してしまうケースも少なくありません。
そこで今回は、クリニック開業を考えている先生方に向けて、開業前後に直面する可能性のある失敗の理由を10点にまとめてご紹介します。
解決策もまとめていますので、開業前の先生方は、ぜひ参考にして、失敗のリスクを最小限に抑えてください。
Contents
- 1 クリニック開業の失敗理由10選
- 2 クリニック開業を成功に導く15のポイント
- 2.1 1.独自のコンセプトを打ち出し、他院との差別化を図る
- 2.2 2.綿密な事業計画と財務シミュレーションで安定経営の基盤を築く
- 2.3 3.立地選定は患者アクセスと競合状況を徹底分析して決定する
- 2.4 4.開業までのスケジュールを綿密に管理し、計画通りの開業を実現する
- 2.5 5.志を同じくするパートナーと協力し、強固な経営体制を構築する
- 2.6 6.ランニングコストを見据えた開業費用の設定と節約の徹底
- 2.7 7.経営者自らが率先して経営スキルを習得し、リーダーシップを発揮する
- 2.8 8.業務の標準化とIT化で効率的な運営体制を整備する
- 2.9 9.医療の質を維持・向上させる体制の構築と継続的な設備投資
- 2.10 10.患者目線でのインテリアデザインと快適な空間づくり
- 2.11 11.患者との良好なコミュニケーションを重視し、信頼関係を構築する
- 2.12 12.地域ニーズに合わせた集患戦略とマーケティングの実施
- 2.13 13.計画的な採用活動と充実した研修体制で優秀な人材を確保・育成する
- 2.14 14.コンプライアンス体制の整備とリスクマネジメントの徹底
- 2.15 15.専門家の知見を積極的に活用し、開業・経営の最適化を図る
- 3 クリニック開業失敗|よくある失敗理由10と成功のポイント15:まとめ
クリニック開業の失敗理由10選
まず、クリニック開業における10の代表的な失敗理由を解説します。
曖昧なコンセプト、経営戦略の欠如、立地選びのミスなど、経営を危うくする落とし穴が潜んでいます。
これらの失敗理由を理解し、適切に対策を講じることが、クリニック開業の成功への第一歩となるでしょう。
1.曖昧なコンセプトが経営を危うくする
現代は情報があふれる時代です。
開業までには、立地や診療科目、設備投資など、さまざまな選択肢について決断を下す必要があります。
その際、明確な軸がないと、判断基準がぶれてしまうケースは後を絶ちません。
例えば、当初は保険診療メインで地域のかかりつけ医を目指していたにもかかわらず、開業後に安易に自由診療を導入してしまうようなケースです。
コンセプトと実際の運営にズレが生じることで、患者様の信頼を失い、離れていってしまうリスクがあるのです。
2.経営戦略の欠如が将来を見通せなくする
クリニック開業は、医療業界においては比較的リスクの低い投資機会と見なされてきました。
銀行にとって、クリニック開業は融資先として魅力的だったのです。
仮に開業に失敗しても、医師はアルバイトや勤務医として働くことで返済能力を維持できると考えられていました。
しかし、人口動態の変化や医療ニーズの多様化により、クリニックを取り巻く環境は厳しさを増しています。
経営戦略を作成しないまま開業すると、根本的な戦略の欠如やミスが生じやすくなります。
長期的な視点に立った経営戦略がなければ、将来の見通しが立たず、場当たり的な経営に陥ってしまう危険性があるのです。
3.立地選びの失敗が集患力を低下させる
適切な立地を選ばなければ、いかに優れた医療サービスを提供しても、患者様に選ばれる医院にはなれません。
たとえば「元々所有している土地があるから」という理由だけで立地を決めてしまうのは危険です。
事業承継の場合でも、立地の良し悪しを慎重に見極める必要があります。
「何をやっているのか分かりにくい」「大通りから見えにくい」「入りづらい路地にある」など、立地の問題が集患力を大きく左右するのです。
立地選びを誤ると、自分のしたい診療を提供できる環境が整わないことがあります。
初期費用の高さ、人口減少地域、通りから見えにくい場所、人通りの少なさなど、様々な要因が集患力に影響を与えるのです。
4.ずさんなスケジュール管理が運営を混乱させる
スケジュール管理を疎かにしていると、開業日が大幅に遅れたり、必要な手続きが完了しないまま開業したりするリスクがあります。
開業までの準備期間は、常に時間との戦いです。
当初の資金不足や工期の遅れなど、次から次へとイレギュラーが発生します。
他にも医療機器の納品が遅れ、開業時に必要な機器が揃わないケースや、スタッフの採用が間に合わず、人手不足の状態で開業するケースなどが考えられます。
これらの問題は、初期の運営を大きく混乱させ、患者様の信頼を失う恐れがあります。
5.甘い資金管理が財務基盤を揺るがす
資金管理の甘さは、運転資金の不足や過剰投資を招き、クリニックの財務状況を悪化させるリスクがあります。
特に内装工事費用の高騰など、開業に関わるコストの変動にも注意が必要です。
材料費の上昇により、当初の見積もりを大幅に上回る投資が必要になることがあります。
開業時の初期投資や運転資金の見積もりが甘いと、医薬品の仕入れやスタッフの給与支払いにも支障をきたします。
結果として、医療サービスの質の低下や、スタッフのモチベーション低下を招くことになってしまうのです。
6.初期費用の過剰投資が経営を圧迫する
クリニック開業を目指すにあたり、初期費用の管理は非常に重要な課題です。
医院における初期費用とは、開業準備から開業直後までに必要となる資金のことを指します。
内装工事、医療機器の購入、ITシステムの導入など、様々な項目が含まれます。
過剰な初期投資は、クリニックの経営を大きく圧迫する要因となります。
特に近年は様々なサブスクリプション型のサービスが登場し、月額の固定費が増加傾向にあります。
電子カルテ保守料、予約システム使用料、各種ITツールの利用料など、細かな支出が積み重なることで、経営の負担となるのです。
金銭感覚が乏しく、浪費癖のある先生は、開業後に深刻な財政難に陥るリスクが高いので注意しましょう。
7.経営の丸投げが自立性を損なう
クリニックを開業する際、経営に関する知識が不足していると、コンサルタントや医薬品卸売業者に丸投げしてしまいがちです。
専門家に頼ることで時間と労力を節約できるのは事実ですが、注意が必要です。
なぜなら、一部のコンサルタントは、各科目の特性や個々の医院の事情に精通しているわけではなく、流れ作業的に業務を行っているケースも見受けられるからです。
特に悪質なコンサルタントに過度に依存してしまうと、経営が行き詰まり、最悪の場合、自己破産に追い込まれてしまうクリニックもあるのです。
8.不十分な集患対策が経営を行き詰まらせる
クリニック開業後、患者様は自然と来院してくれるわけではありません。
集患対策の不備は、患者様のリピート率の低下にもつながります。
初診の患者様を獲得できても、満足度が低ければ、再び来院してもらうことは難しくなります。
結果として、新規患者の獲得に膨大なコストと労力を投じることになるのです。
特に新型コロナウイルス感染症の影響により、患者様の受診行動にも変化が生じています。
待ち時間の長さなどから、敬遠されるケースも見られます。このような状況下では、より戦略的な集患対策が求められます。
9.患者とのコミュニケーション不足が信頼を損なう
現代の医療は、単なる治療の提供にとどまらず、サービス業としての側面も強く求められています。
患者様は、医療の質だけでなく、スタッフの対応や院内の雰囲気など、総合的な満足度を重視するようになっています。
つまり患者様とのコミュニケーションを疎かにすることは、大きなリスクを伴います。
特に、インターネットの普及により、口コミの影響力が格段に大きくなっている状況です。
クリニックの対応に不満を持った患者様が、ネット上でネガティブな評価を下せば、クリニックの評判は一気に悪化します。
一度失った信頼を回復するには、膨大な時間と労力を要することになります。
10.スタッフ定着率の低さが安定経営の障害となる
スタッフ定着率の向上は、クリニック経営の重要課題の一つです。
安定したスタッフ体制なくして、質の高い医療サービスの提供は難しいからです。
スタッフ離職の原因として、院長とスタッフ間のコミュニケーション不足や、スタッフ同士の人間関係の問題が挙げられます。
これらのトラブルは、組織の混乱を招き、患者様へのケアの質に影響を及ぼします。
教育制度の不備も、スタッフ定着率の低下に拍車をかけます。
適切な研修やサポートがなければ、スタッフのスキルアップは望めません。
結果として、モチベーションの低下や、ミスの増加につながるのです。
クリニック開業を成功に導く15のポイント
いままでクリニック開業で失敗する要因を見てきました。
では成功のためには何が必要なのでしょうか?
当社では、さまざまなクライアントとお付き合いしてきた経験をもとに、クリニック開業を成功に導くには15のポイントが必要だと判断しています。
独自のコンセプト設定、綿密な事業計画、最適な立地選定など、開業前から考慮すべき重要な要素を網羅的に取り上げています。
忙しい中ですべてに目を通すのは難しいと思いますので、開業の指針に迷ったときにチェックリストのような形でお読みください。
1.独自のコンセプトを打ち出し、他院との差別化を図る
開業前に周りから「先生なら絶対成功するから大丈夫」と言われても、開業後にはさまざまな陰口を叩かれることがあります。
しかし、そんな中でも揺るがないのが、自分の軸となる明確なコンセプトです。
自分が何をしたいのか、どんな医療を提供したいのかを言語化し、ブレない指針を持つことが何よりも重要です。
コンセプト作りは、何よりも重要なので以下のような段階的なアプローチで丁寧に作成しましょう。
長くなりますが、適宜参考にしてみてください。
Why(なぜ開業するのか)
開業の理由と目的を明確にする。
地域医療への貢献、専門の追求、収入増加など、自分の動機を言語化することで、確固たる意思を持って開業に臨むことができます。
What(何を提供するのか)
クリニックの特色や診療科目を決定する。
専門分野の細分化、総合診療、在宅医療など、患者様のニーズに特化したコンセプトを設定することで、他院との差別化を図り、選ばれる存在になることができます。
Who(誰を対象とするのか)
ターゲットとする患者層を明確にする。
地域の人口構成や疾病構造を分析し、自院が担うべき役割を見定めることが重要です。
When(いつ開業するのか)
最適な開業タイミングを選ぶ。
勤務医からの移行、家族のライフサイクル、季節など、様々な要因を考慮し、準備に十分な時間を確保することが成功への第一歩となります。
Where(どこで開業するのか)
開業地の選定は慎重に行う。
人口動態、交通アクセス、競合状況など、立地に関する情報を入念に調査し、長期的な視点に立って決定します。
How(どのように運営するのか)
クリニックの運営形態を決める。
単独開業か共同開業か、設備投資の規模、スタッフ構成など、コンセプトに合った形態を選択することが、安定した経営につながります。
2.綿密な事業計画と財務シミュレーションで安定経営の基盤を築く
クリニック開業での安定経営には、綿密な事業計画と適切な財務シミュレーションが不可欠です。
まずは、コンセプトに基づいた中長期的な事業計画を作成することから始めましょう。
地域の医療ニーズや競合状況を分析し、自院の差別化策を明確にすることが重要です。
事業計画では、売上高や利益率の目標値を設定し、達成戦略を具体的に示します。
クリニックの純利益率は、規模や診療科目、立地によって異なりますが、一般的には10%から15%程度が現実的な目標と言われています。
また、目標売上を達成するための患者数と客単価を、地域の状況を踏まえて現実的に設定することが求められます。
次のステップは、財務シミュレーションです。開業資金や運転資金、返済計画を詳細に試算していきます。
開業資金は通常6,000万円から1億円程度で、医療機器、内装工事、運転資金などが主な内訳となります。
自己資金と銀行融資の割合は、クリニックの状況や事業計画の内容によって異なりますが、無理のない返済計画を立てることが、財務リスクを最小限に抑えるポイントです。
3.立地選定は患者アクセスと競合状況を徹底分析して決定する
適切な立地を選ばなければ、いかに優れた医療サービスを提供しても、患者様に選ばれる医院にはなれません。
まずは診療圏調査から始めましょう。
地域の人口、潜在患者数、近隣の同業者の数などを調べ、開業予定地の市場性を評価します。
ターゲットとする患者層と提供する医療サービスを明確にし、それに合った立地を選ぶことが重要です。
次に、物件の形態を検討します。
一戸建て、ビル内のテナント、医療モールなど、初期費用や運営コストが異なるため、自分の開業コンセプトや財務計画に合わせた物件を選びます。
医療モールやドラッグストアとの連携も視野に入れつつ、賃料や建築費用の高騰にも注意が必要です。
さらに、実地調査を行うことをおすすめします。
現地に足を運び、地域の雰囲気や人の流れ、車の流れを確認しましょう。公開されていない物件情報を得られる可能性もあります。
4.開業までのスケジュールを綿密に管理し、計画通りの開業を実現する
クリニック開業までのプロセスは、様々なタスクが複雑に絡み合っており、綿密なスケジュール管理が不可欠です。
スケジュール管理の第一歩は、開業までのタスクを洗い出し、詳細なスケジュール表を作成することです。
そこでプロジェクトマネジメントツールを活用し、作業項目を可視化することをおすすめします。
ガントチャートなどを用いて、タスクの重要度を明確にし、優先順位を付けましょう。
次に、開業準備に関わるメンバーが一堂に会し、現状の確認と課題の共有を行いましょう。
遅延が生じている場合は、原因を分析し、対策を講じることが重要です。想定外の事態や作業の遅れにも対応できるよう、全体のスケジュールにも柔軟性を持たせることが求められます。
5.志を同じくするパートナーと協力し、強固な経営体制を構築する
信頼できるパートナーの存在は、クリニック経営の要です。
特に、クリニックの場合、事務長の存在は欠かせません。
採用活動や資料作成、役所への届け出など、経営に関わる様々な業務を担う事務長は、院長の片腕とも言える存在です。
経営理念に共感し、実行力のある事務長を見つけることが、強固な経営体制の構築につながります。
パートナー選びには、慎重な検討が必要です。単に能力や経験だけでなく、価値観や人柄も重要な判断材料となります。
相互の信頼関係なくして、真の協力関係は築けません。時間をかけて、自分と同じ志を持つパートナーを見つけることが大切です。
6.ランニングコストを見据えた開業費用の設定と節約の徹底
開業時の過剰投資は、財務問題に直結する大きなリスク要因です。
そのため、開業費用の設定に際しては、地域の医療ニーズを的確に把握しましょう。
そのうえで患者層に合わせた適切な設備投資を行うことが求められます。
初期投資を抑えるために、必要最低限の機器から始め、徐々に設備投資を行うことをおすすめします。
特に医療機器の選定は、使用感を重視し、必要以上に高価なものは避けるようにしましょう。
また家具や備品は、一般的な家具店を活用することで、コスト削減が可能です。
ほかにも名刺やロゴデザインなどの制作物は、クラウドソーシングサービスを利用することで、高品質かつ低コストで調達できるケースもあります。
7.経営者自らが率先して経営スキルを習得し、リーダーシップを発揮する
クリニック経営の成功には、院長先生自らが経営スキルを習得し、リーダーシップを発揮することが不可欠です。
医療技術だけでなく、マーケティング、人事管理、財務管理など、クリニック運営に必要な様々なスキルを身につけることが求められます。
経営スキルを高めるためには、経営セミナーや勉強会への参加、経営関連書籍の読み込みなどを通じて、主体的に学ぶ姿勢が何より重要です。
また、自院の経営データを分析し、課題や改善点を見出すことが、的確な意思決定につながります。
忙しい毎日で時間を捻出するのは大変かもしれませんが、院長先生自らが率先して経営スキルを習得し、リーダーシップを発揮することが、クリニック経営の成功への道を切り拓きます。
8.業務の標準化とIT化で効率的な運営体制を整備する
クリニック開業時から、業務の標準化とIT化に着手することが、効率的な運営体制を整備する上で重要です。
業務の標準化では、診療や事務作業の手順を見直し、無駄を排除することが肝心です。
ただし、運用を始めてみると、想定外の課題が浮上することもあります。柔軟な姿勢で、定期的な見直しと改善を続けていくことが重要です。
IT化については、電子カルテシステムやオンライン予約システムの導入を検討します。
初期投資と運用コストを見極めつつ、自院の規模と特性に合ったシステム選定が求められます。
また、将来の拡張性を考慮し、機能の追加や連携が容易なシステムを選ぶことも重要です。
ただこちらも膨大な選択肢があるので、先輩医師やコンサルタントから話を詳しく伺うのがおすすめです。
9.医療の質を維持・向上させる体制の構築と継続的な設備投資
医療の質を維持・向上させるには、適切な体制作りと設備投資の両輪が欠かせません。
まずは体制面で、診療ガイドラインの遵守、定期的な症例検討会の開催に加え、学会へ参加するなど外部の知見を積極的に取り入れることが重要です。
学会参加には医師や看護師などの適切な休暇取得が前提となります。
そのうえで質の向上に向けた戦略的な設備投資が不可欠です。
過剰な投資は避け、費用対効果を綿密に検証し、長期的な視野に立った機器選定が求められます。
具体例としては、眼科なら前眼部断層撮影装置や眼底三次元画像解析装置、耳鼻科なら手術用内視鏡システムやナビゲーション支援システムなど、各診療科の先端機器への計画的な投資が有効でしょう。
他院の動向も参考にしつつ、自院の特性に最適な設備を選ぶことがポイントです。
設備投資の時期については、経営状況を慎重に見定める必要があります。
開院当初は最小限の設備から始め、収支が安定してきた段階で追加投資を検討するのが賢明です。
10.患者目線でのインテリアデザインと快適な空間づくり
クリニックの内装は、患者様の印象を大きく左右する重要な要素です。
待合室、診察室、処置室など、患者様が直接触れる空間のデザインには、細心の注意を払う必要があります。
まず、清潔感と快適性を重視したインテリアづくりが基本です。
明るく開放的な空間デザインに加え、適切な照明や空調の設置により、リラックスできる環境を整えることが大切です。
また医療に関する悩みは、多くの患者様にとってデリケートな問題です。
人に見られたくない、知られたくないという気持ちを抱く方が少なくありません。
そういった心情に十分配慮し、プライバシーを確保できる内装デザインが何より重要になります。
たとえば、カーテンや間仕切りを効果的に配置することで、他者の視線を気にすることなく過ごせるプライベート空間を演出できます。
一方で、内装費用の高騰は現実的な課題です。
すべてを理想通りに仕上げるのは難しいかもしれません。
しかし、患者様の満足度とプライバシー確保に直結する部分には重点的に投資することで、効果的な環境整備が可能となります。
11.患者との良好なコミュニケーションを重視し、信頼関係を構築する
クリニックにおいては、病院に比べると、より個人的で深い人間関係が求められます。
医療技術だけでなく、丁寧なコミュニケーションを通じて患者様との信頼関係を築くことで、リピート率が向上します。
その鍵を握るのが、院長自身のコミュニケーション能力です。
当たり前のことかもしれませんが、診察時には、患者様の訴えに熱心に耳を傾け、十分な時間をかけて丁寧に説明することが不可欠です。
専門用語は避け、わかりやすい言葉で病状や治療方針を伝えることで、不安を和らげ安心感を与えることができます。
さらに、アンケートやご意見箱を設置し、フィードバックを積極的に収集。真摯に受け止めて、サービス改善に生かしましょう。
患者様の声に耳を傾け、クリニック運営に活かすことで、信頼関係を強固なものにしていけます。
12.地域ニーズに合わせた集患戦略とマーケティングの実施
地域の医療ニーズを的確に捉え、オンラインとオフラインの両面から、積極的なマーケティング活動を展開しましょう。
オンライン面では、ホームページの充実化が重要な鍵となります。
自院の特徴や診療科目、医師の経歴などを詳しく紹介し、患者様にとって有益な情報を発信することが求められます。
また、SEO対策を講じることで、検索エンジンでの上位表示を目指し、潜在的な患者様との接点を増やすことが可能です。
オフライン面では、地域に根差した広報活動が効果的です。
地域の医療機関や介護施設、学校などと連携し、健康セミナーや出張診療など、地域に密着したサービスを提供することで、自院の認知度を高めることができるでしょう。
また、ポスティングやチラシの配布、地域イベントへの参加など、直接的なアプローチも見逃せません。
ただしどちらも、医療広告ガイドラインや薬機法などの法律面が絡んでくるので、注意するようにしましょう。
13.計画的な採用活動と充実した研修体制で優秀な人材を確保・育成する
採用活動は中長期的な視点に立って計画的に行うことが重要です。
自院のビジョンや求める人材像を明確にし、それに合致する候補者を見つけ出すことが求められます。
特にさまざまな医院の経営者から話を伺ってみると、経験よりも、素直さと向上心を持つ人材が、クリニックの成長を大きくサポートしてくれる傾向が強いようです。
採用と同様に重要なのが、充実した研修体制の整備です。
新人研修やスキルアップ研修など、スタッフの成長を支える仕組みづくりが欠かせません。
研修を通じて、クリニックのマニュアルや業務プロセスを理解し、実務に落とし込む力を養うことが重要です。
14.コンプライアンス体制の整備とリスクマネジメントの徹底
クリニック開業時から、関連法令を確実に順守し、医療事故や情報漏洩などのリスクを未然に防ぐ体制を整える必要があります。
開業というとハード面ばかりに目を向けがちですが、このようなソフト面を曖昧なままにしておくと、後々必ずトラブルを引き起こします。
まずはコンプライアンスマニュアルの作成と、スタッフへの定期研修を行いましょう。
法令の解説や実務上の留意点を分かりやすくまとめ、組織全体に法令遵守意識を浸透させていきます。
次に医療トラブルへの備えも怠りません。
スタッフ全員で緊急時の対応手順を共有し、クライシスマネジメントを徹底することで、患者様との絆を守り、クリニックの信頼を維持できるはずです。
さらに、医療機器の管理や院内感染対策など、リスクを最小限に抑える取り組みを日々の業務に取り入れましょう。
15.専門家の知見を積極的に活用し、開業・経営の最適化を図る
開業準備の過程で次々と湧き上がる疑問や、減っていく開業資金、そして開業への焦りなど、一人で抱え込むには大変すぎる負担があります。
採用、スケジュール管理、業者とのやり取り、適切な設備の導入、資金繰りなどすべてを一人で行うのは困難です。
そのためクリニック経営においては、リーダーシップを発揮しつつ、税理士や会計士、経営コンサルタントなど、信頼できる専門家との連携も欠かせません。
その際、患者の獲得や運営資金の管理について具体的な計画を持たないコンサルタントからのアドバイスは避けましょう。
良い専門家を見つけるには、自身のネットワークや医療業界での勉強会、先輩医師の紹介などを通じてのケースが多いようです。ぜひ参考になさってください。
クリニック開業失敗|よくある失敗理由10と成功のポイント15:まとめ
クリニック開業は医師にとって大きな挑戦であり、夢の実現でもあります。
本記事では、開業における失敗理由と成功のポイントを解説しました。
開業前の入念な準備と、開業後の多岐にわたる経営努力が成功への鍵となります。
特に現代では、Web戦略の重要性が増しており、効果的な発信とコミュニケーションが欠かせません。
ゼロメディカルは、Web制作とコンサルティングに強みを持ち、開業前から開業直後の重要な時期に、皆様の挑戦を全力でサポートします。
クリニック開業という挑戦を成功に導くため、ぜひ困ったことがあれば、一度ゼロメディカルにお問い合わせください。
株式会社ゼロメディカル・主任Webライター
1988年生まれ。大学卒業後、教育分野と出版業界での経験を経て、2016年、株式会社ゼロメディカルにWebライターとして入社。これまでに、歯科医院、動物病院、クリニック、整骨院など、医療分野を中心に、200人以上の経営者を取材。1000以上の記事を執筆した経験を持つ。医療分野のほか、教育、法務、AI分野への造詣も深い。現在、人にしか書けない独自の記事を追求中。