スタッフが辞める歯科医院の特徴7選｜理由と防止策も紹介

「採用したスタッフがすぐに辞めてしまう」
「スタッフの入れ替わりが激しい」

スタッフの離職率が高く、慢性的な人材不足に悩む歯科医院様も多いことでしょう。

そこで今回は、「スタッフが辞めてしまう歯科医院の特徴」や「今からできる対策」などをアドバイスいたします。

スタッフが辞めてしまうことでお悩みの歯科医院の方は、ぜひ最後までお読みください。

スタッフが辞める歯科医院の特徴7つ

院内の雰囲気が悪い

院長や管理者との意思疎通が難しく、スタッフ同士の仲も悪いなど、さまざまな要因が院内の雰囲気を悪くさせます。

高圧的・気分の乱高下が激しい・叱責が多いなど、「感情」は他のスタッフや患者様にも伝染し、歯科医院の評判にも悪影響を及ぼす恐れがあります。

特に人間関係の悩みは、ストレスや精神的疲労にもつながり、適応障害やうつ病といった甚大な問題に発展するケースも少なくありません。

このような環境では、スタッフも働きにくさを感じるようになり、退職者が続出する傾向にあります。

スキルアップできる環境が整っていない

スキルアップは技術の話だけでなく、「自身のモチベーションアップ」にもつながります。

なぜなら、スキルアップは業務の幅を広げ、自分の成長を実感できる機会が増えるからです。

スキルアップの手段は、自己学習や実務、院内・院外セミナーの参加など多岐にわたります。

しかし、「自己学習できないほど忙しい」「実務でわからない点を質問しにくい」「セミナーの費用補助を受けられない」など、さまざまな理由からスキルアップが難しい状態に陥る可能性があります。

その結果、より自分を成長させられる環境をめざし、スタッフが退職を決断するケースも考えられます。

業績が正当に評価されない

人事評価は一人ひとりの能力や業績などに応じて、総合的に評価されなければなりません。

しかし、明確な評価基準を持たない歯科医院では、院長や管理者などの独断により、スタッフが正当に評価されていないケースもあります。

自分の頑張りが昇格や昇給にならず、経験年数ばかりが積み重なる状況になります。

そのような現状では、現在の環境に違和感を覚え、より良い条件を提示する歯科医院に転職を考える方も少なくありません。

新人スタッフへの教育体制が整っていない

教育担当や教育マニュアルなどが用意されておらず、場当たり的な教育を行っていませんか？

教育レベルは教育担当者ごとに異なるため、新人スタッフの理解度にも差が生まれがちです。

こうした現状は、「自分は業務を理解できているのか？」「自分は院の一員として貢献できているのか？」など、新人スタッフの「心理的な不安」を招く原因になります。

福利厚生や休暇制度が十分ではない

本来のシフトとは異なる勤務や代休が取れないなど、働く環境に対する違和感はスタッフの不信感を招きます。

特に福利厚生面では、家賃補助や交通費手当など、給与とは別途で支給される手当がない状況は、スタッフの経済的負担が増えてしまいます。

基本的な給与はもちろんですが、福利厚生の充実はスタッフが安心して長く働く環境を支える要素といえます。

スタッフごとの業務量が過度に多い

多くの業務に携われる環境は、スタッフの経験値やスキルを高めることにつながります。

その一方、一人当たりの業務量が増える傾向にあります。増員をせず、少ない人数のままでは、現場のスタッフたちが疲弊してしまいます。

他の医院と比較して給与が低い

年齢や役職、売上や利益率といった経営状況などのさまざまな理由から、給与水準はそれぞれ異なります。

転職サイトで他院の募集要項を見た際、現在と業務内容がほとんど変わらないなか、他院のほうが給与水準が高いケースがあります。

より良い条件を求めるスタッフであれば、転職を決断する可能性も十分に考えられるのです。

スタッフが辞めてしまう歯科医院が取り組みたい7つの対策

患者さんに選ばれるいい歯医者の条件

スタッフ同士のコミュニケーションを円滑にする

何気ない会話やアドバイスなど、業務中はあらゆるシチュエーションでコミュニケーションが生まれます。

また、定期的なミーティングや研修なども、スタッフとの相互理解を深める要素になります。

適度な距離感を維持したコミュニケーションにより、スタッフが院内で孤立感を覚えない配慮が大切です。

給与制度の改善をはかる

単なる給与アップだけでは人件費の負担が大きく、歯科医院の経営を圧迫するリスクが考えられます。

他院の採用に関連する募集要項やモデル賃金などを参考にしながら、現在の経営状況とも照らし合わせた上で、給与体系の慎重な検討が必要です。

スキルアップのサポート体制を整える

スタッフ一人ひとりの目標や意欲に対して、医院側がサポートできることもあります。

例えば、院内セミナーはスタッフ同士が交流し、互いに知見を共有しながら技能を高められる機会です。

なかには、外部から講師を招き、院内セミナーを開催する歯科医院もあります。

また、外部のセミナーへの参加に対して、費用の全額もしくは一部を補助するなど、意欲に対する医院側のサポートも、スタッフのモチベーションアップやスキルアップに重要です。

業務プロセスを再検討する

一部のスタッフのみに負担がかかっている場合は、現在の業務フローを見直しましょう。

掃除や備品の手配など、職種の専門性を問わずに行える業務であれば、曜日ごとの担当制にして、スタッフ全員が平等に担当するという手段もあります。

職場内での業務における「不公平感」の放置は、医院側への不信感やストレスを高める原因になるため、できるだけ早く改善しましょう。

意見や不満を共有する場を設ける

普段のミーティングや定期的な面談などを設け、スタッフから要望や不満をヒアリングしましょう。

特に近年のトレンドは1on1（ワン・オン・ワン）です。

上司と部下によるマンツーマンのミーティングにより、部下の成長を促すマネジメント手法ですが、実施には注意が必要です。

1on1はそれぞれのスタッフの時間を確保しなければなりません。

業務時間を圧迫したり、ミーティングに関係ないスタッフの負担が増えたりする可能性があります。

このような理由から、1on1を行う際はミーティングのテーマや目的を決め、スタッフへの事前共有がおすすめです。

明確な評価基準を定める

人事評価制度そのものが、スタッフのモチベーションアップやキャリアに対する理解度を深めてくれます。

例えば、職務内容やスキル等によって序列化された「等級制度」では、等級に応じて、医院側がスタッフに求めるレベルが記載されています。

スタッフ自身でキャリアイメージを描きやすいことが特徴です。

また、評価に基づく報酬制度も、スタッフにとってのやりがいにつながります。
自分の頑張りやスキルが評価され、給料に反映される可能性があるからです。

院の方針やスタッフとしてめざす姿を評価制度に落とし込み、スタッフを公平に評価できるようになります。

定期的な見直しと修正

教育マニュアルや人事評価制度などは、一度決めたらずっとそのままで良いとは限りません。

院の方針転換や時代の変化などにより、古さや対応しきれない要素に新たに気づく可能性があります。

その際は内容を修正し、新たな教育マニュアルや人事評価制度として、今後に活かしましょう。

それでもスタッフが辞めてしまう場合の注意点とは？

どれだけ対策をしても、スタッフが退職しないという保証はありません。

スタッフから退職意思を伝えられた際は、互いの意思確認や退職に向けた業務の引き継ぎなどが必要です。無理に引き止めても、退職者の意思が変わる可能性は低いと考えられます。

そうであれば、期限を定めた上で、退職手続きを適切に進めましょう。

スタッフが辞める歯科医院の特徴7選・まとめ

退職はスタッフの都合のみならず、医院側の問題も考えられます。

現状が変わらない限り、新たなスタッフが入職してもすぐに退職する可能性があり、人材不足の抜本的な解決にはなりません。

スタッフ一人ひとりの存在は、歯科医院の経営や患者様の健康を支えるものだと思います。

人間関係や職場環境を改善するなど、スタッフにも配慮した経営を心がけ、人材定着や離職防止をめざしましょう。