歯科技工所のホームページ制作に広告制限が!?効果的な問い合わせに繋がる活用法
「どのような法律が対象業種に関わっているか」
これはクライアントのホームページを製作する際に重要なポイントです。
法律の中には、医療広告ガイドライン、景品表示法、薬機法、特定商取引法など様々なものがあります。
歯科技工所向けの広告制限もそのなかの一つ。
今回は弊社クライアントからの問い合わせも多い「歯科技工所が守るべき広告ガイドライン」をわかりやすくまとめました。
就業人数も少なくなる中で、価値観を高める取り組みも進んでいる歯科技工所も増えています。
何を訴求して良いのかを詳しく知り、効果的なホームページ運営に繋げていきましょう。
Contents
歯科技工士法によって広告可能事項はたったこれだけ
歯科技工所には、法律で定められた事項以外は広告できない「広告の制限」が存在します。
これは昭和30年8月16日、つまり1955年に第二次鳩山一郎内閣の時代に公布された歯科技工士法によって定められました。
具体的には以下のような内容となります。
第二十六条 歯科技工の業又は歯科技工所に関しては、文書その他いかなる方法によるを問わず、何人も、次に掲げる事項を除くほか、広告をしてはならない。
・歯科医師又は歯科技工士である旨
・歯科技工に従事する歯科医師又は歯科技工士の氏名
・歯科技工所の名称、電話番号及び所在の場所を表示する事項
・その他都道府県知事の許可を受けた事項
前項各号に掲げる事項を広告するに当つても、歯科医師若しくは歯科技工士の技能、経歴若しくは学位に関する事項にわたり、又はその内容が虚偽にわたつてはならない。
なんと現状の法律で広告に掲載できるのは、たったのこれだけ。
「どのような考えを持って技工物を製作しているか」「どのようなものを取り扱っているか」などは何も伝えることができません。
歯科技工所の広告制限。ホームページは対象外!
さて、ここで重要になってくるのが広告の対象範囲です。
昭和30年に公布されたものなので、現状とのギャップが大きく、様々な解釈もできることから長年議論が行われていました。
各保健所の指導も内容が異なることから、大きな混乱が生じていたようです。
そこで、平成23年10月28日に、厚生労働省医政局歯科保健課より「歯科技工士法第26条に係る運用について」という名目で広告の具体例が発布されました。
1.あらかじめ同意の得られている者に対して送付されるダイレクトメール、ファクシミリ、Eメール、チラシ、パンフレット
2.歯科技工所に関するホームページ等
3.専門誌等で発表される学術論文、学会における研究発表
4.歯科技工所の職員募集に関するものただし、上記2に該当するものであっても、バナー広告、検索サイト上で検索した際にスポンサーとして表示されるもの等、また、上記の3,4に該当するものであっても、あらかじめ同意の得られていない医療機関関係者に対して送付される場合は、広告に該当するおそれがある。
つまり、ホームページは広告の対象外。
現行の法律に則り、同意を得ずに各歯科医院に対して、メールマガジンやダイレクトメールを送ることは原則的にできません。
また、掲載料を支払い検索結果の上位にホームぺージを表示させるリスティングなどの手法も、広告に該当する恐れがあるとして注意が呼びかけられています。
成果を上げている歯科技工所のホームページ掲載内容
歯科技工所のホームページは、広告制限の対象外であることから、掲載内容を充実させれば効果的な問い合わせに繋がるのは間違いありません。
では、具体的にどのようなことを掲載すべきなのでしょうか?
弊社では複数の歯科技工所とお取引があり、その中から成果を上げた項目を一部ご紹介します。
どのような方を対象としているのかを打ち出す
あいさつ文やコンセプトで、どのようなお客様を対象にしているのかしっかりと打ち出しましょう。
「どこにこだわりをもって業務を行っているか」「付き合いのある歯科医院の声」などを掲載することで、技工所のブランディングに繋がります。
ブログを用いた最新情報の告知
積極的に機材を導入している場合は、是非投稿を積極的に行いましょう。
検索を行う人は、少ないかもしれませんが、他に言及しているサイトがない場合は、上位表示に繋がる可能性が高まります。
技工物や設備面の紹介
e-maxやジルコニアなど、どのような技工物に対応しているのかを掲載しておけば、余分な作業が増えず、問い合わせが効率的になります。
場合によっては、プロカメラマンに新しく写真撮影を頼むのも一つの方法です。
動画の掲載
弊社で強みとしているのがwebサイトに背景動画を埋め込むことで、ブランディングに繋げる方法です。
技工を行っている風景やラボの雰囲気が伝わるため、遠方にいる歯科医院が問い合わせを決める要因になります。
YouTubeに掲載した動画をブログで紹介するのも良いかもしれません。
求人情報
歯科業界において深刻な問題となっている人手不足。
多くの応募者は、求人サイトとともに公式サイトの内容を見比べて、問い合わせをする傾向が強いため求人ページの掲載は必須です。
ここに掲載したのはあくまで一部です。
ホームページがあれば、他にもSNSやGoogle Mapの活用など様々な施策を打ち出すことが可能です。
ただし景品表示法には注意
ただし、「景品表示法」には注意しなければいけません。景品表示法の別名は「不当景品類及び不当表示防止法」。
実際より商品を著しく良く見せかけて、消費者が不利益を被ってしまうようなことを防ぐための法律です。
各種広告ガイドラインに関係なく適用され、もちろんホームページも対象です。
注意しなければいけないのは、事業者側に故意・過失がなかったとしても対象となる点です。
消費者庁のサイトで、牛肉のブランド偽装、中古自動車の走行距離偽装、予備校の合格実績水増しなどの例が挙げられているとおり、業種も関係ありません。
不当表示の3つの種類
不当表示には、大きく分けて3つの種類があります。
・「優良誤認表示」:商品・サービスの品質、 規格、その他の内容についての不当表示
・「有利誤認表示」:商品・サービスの価格、 その他の取引条件についての不当表示
・「その他 誤認される おそれのある表示」 :一般消費者に誤認されるおそれがあるとして内閣総理大臣が指定する不当表示もし守らない場合は、不実証広告として資料の提出が必要
優良誤認表示の疑いがある場合、消費者庁は、事業者に対して表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができます。
これを「不実証広告規制」 と呼び、当該資料が提出されない場合、不当表示とみなされます。
期間は、消費者庁長官が資料の提出を求める文書を交付した日から15日を経過するまで。
ほとんどの場合、裏付けとなる資料に不備があるケースが多く、措置命令に至っています。また平成28年度より課徴金制度が新設されたため、場合によっては罰金を支払わなければいけないことも。
景品表示法の観点から使うのは避けた方が良い言葉
景品表示法は業種によって気をつけなければいけない箇所が異なり、「不当表示」と言われてもどんなものかわかりづらいかもしれません。
そこで歯科技工所のホームページで比較的該当しやすい言葉を挙げました。参考にしてみてください。
- 「絶対に壊れません」
- 「世界最高水準」
- 「究極の」
- 「永久に」
- 「絶対破折しない」
- 「日本最高峰の技術」
- 「従来の何十倍もの耐久性」などです。
歯科技工所を巡る現状
歯科技工士を育てる専門学校の入学者数は、ますます減少している歯科技工所の現状。
高齢化も進み、就業者数も顕著に減っています。2018年には、事態を重く見た厚生労働省が「人材をどのように確保するか」といった審議会を開催しました。
背景に存在するのは、大半が個人経営の歯科技工所の形態です。
残業が多くなりがちな長時間の勤務体系に、製作費用を抑えたい歯科医院の要望で技工物の単価が低いなどの課題が見受けられます。
このような課題を持つ歯科技工所だからこそ、今後さらにホームページは重要なツールになります。
実際に行っていることを打ち出せれば、技工所のブランディングに繋がり、ホームページが代わりに「営業活動」を行ってくれるからです。
これは、営業に時間を割くのが難しい歯科技工所にとっては、大きなメリットとなります。
さらに、歯科医院の同意を得ないメールマガジンやダイレクトメールなどが本質的には法律違反であることから、法律を遵守して訴求力を高められるので安心して業務に集中出来ます。
まとめ
ホームページは広告制限の対象外だということがおわかりいただけたかと思います。
ただし、現状様々な業種で法律の改正が行われています。2018年の改正医療法もその一つ。
医療機関のホームページが広告扱いとなり、掲載出来る内容は大きく制限されました、整骨院や治療院に関しても、審議が続けられています。
さらに景品表示法の措置命令も年々、件数が増加している現状。
そのため、ホームページの制作や効率的な運営を行う為には、どこまでを訴求して良いのかを論理的に考えられる「広告代理店」や「Web制作会社」に依頼することがますます重要になってきます。
弊社では、毎月行われる各業種の検討会を細かく精査しているのが強みです。
クライアントが滞りなく業務を行えるよう、定期連絡やアクセス状況の報告など、柔軟なサポートを行っております。
「集客に結びつく歯科技工所のホームページ制作を行いたい」「名刺代わりでも良いけれど、法律には則って欲しい」などをご希望のお客様は、是非お気軽に下記フォームよりお問い合わせください。
小宮山昇平株式会社ゼロメディカル・主任Webライター
1988年生まれ。大学卒業後、教育分野と出版業界での経験を経て、2016年、株式会社ゼロメディカルにWebライターとして入社。これまでに、歯科医院、動物病院、クリニック、整骨院など、医療分野を中心に、200人以上の経営者を取材。1000以上の記事を執筆した経験を持つ。医療分野のほか、教育、法務、AI分野への造詣も深い。現在、人にしか書けない独自の記事を追求中。