コラムColumn
現代人の虫歯の原因?-低血糖の原因と対策-
低血糖の原因とは?
前回の記事で、虫歯の要因となりえる低血糖の症状についてお話ししました。
では、なぜ低血糖の状態になってしまうのか。
これには現代特有の原因が2つ考えられます。
- ストレスによるコルチゾール不足
- 食後高血糖からの反応性低血糖
それぞれ簡単に説明します。
①ストレスによるコルチゾール不足
私たちは持続するストレス(仕事や人間関係、環境要因、体内の炎症、重金属などの汚染)を受けていると、ストレスに対抗するホルモン=コルチゾールを分泌する副腎という臓器の機能が低下してきます。
長期にわたりストレスがかかると、コルチゾールが出過ぎないように視床下部と下垂体にネガティブフィードバックをかけます。この視床下部、下垂体、副腎の連携が上手く取れずコルチゾールの分泌が乱れていることをHPA軸機能障害と言い、それに伴う不定愁訴を副腎疲労症候群と言います。コルチゾールが出過ぎるパターン、出にくいパターンがあります。
実はこのコルチゾール、ストレスがなくても常に少し分泌されていて血糖値を維持する働きがあります。
つまり、持続するストレスを受けて副腎機能が低下している人は、コルチゾールの分泌が低下し、血糖値の維持もきちんとできない状態ということ。
なので、空腹になると血糖値が保てず低血糖になりやすく、『ちょこちょこ間食してしまう』ということが起きているのです。
②食後高血糖による反応性低血糖
現代の食事は、よほど気をつけていない限り、食後高血糖になりやすいのはご存知でしょうか。
外食やコンビニのお米にしても、ふっくら甘く炊くための酵素(ミオラ)が使われており、血糖値を上げやすいですし、
調味料一つとってもブドウ糖果糖液糖や砂糖・水飴が添加されてます。
こうした糖質は血糖値を急激に上げるという特徴を持っていますので、知らず知らずのうちに、血糖値が上がりやすくなっているのです。
それに加え、現代人はインスリン(血糖を下げるホルモン)の効きが悪くなっている人が多くいらっしゃいます。
というのは、インスリンを効かせるために『亜鉛』というミネラルが必要なのですが、食品添加物を摂取するとこの亜鉛が体内に吸収されずに排泄されてしまうので、現代人は亜鉛不足の人が多いからなんです。
これらの要因があって食後高血糖になると、インスリンが過剰に分泌さるということが起こります。
インスリンが過剰に分泌されると、血中の糖を細胞に取り込みすぎて、今度は血中の糖が足りなくなるのです。
これが、“反応性低血糖”の状態。
そうすると、身体はまた糖を欲するという悪循環になり、間食がやめられないのです。
低血糖を予防することが、虫歯予防につながるかもしれない
そんな低血糖の症状だと気付かずに、ついつい甘いものを食べてしまう患者さん。
ここで分子栄養の知識を活用し、きちんと低血糖を予防する食事指導を行うようになってからは、間食の質が変わり、甘いものを欲しなくなる方がほとんどです。
歯科衛生士として臨床で指導してきて11年。
私の中では最近、間食指導の在り方が変わってきています。
”なぜ、間食をしてしまうのか”
そこに視点を置いて患者さんとコミュニケーションをとっていると、解決すべき問題が見えてくることがあります。
また、間食をやめられないなら、
- どういう糖質を摂るべきが
- どのくらいの糖質量をどの頻度で摂ることで低血糖と虫歯をコントロールするのか
これらを具体的に指導するようになったことで、より患者さんが全身とお口の健康を意識してくださるようになりました。
『虫歯になりやすいから、間食はやめましょう』
という指導から
『間食してしまうには理由があります。では、その原因と虫歯にならない食事をお伝えします』
という指導に変化したことで、患者さんの健康に、より寄り添えるようになったと実感しています。
具体的な食事指導に関しては、患者さん一人一人違いますが、大まかな対策は次の記事にまとめたいと思います。
次回記事↓