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直撃インタビュー

広い通りから一歩入ると、昔ながらの下町の雰囲気が残る住宅地が広がる荒川区・新三河島駅周辺。静かな住宅街の一角にある『岡歯科医院』は、看板がなければ見落としてしまいそうなほど周囲に溶け込み、「歯医者に行く」という気構えなく入ることができるアットホームな雰囲気。

区立小学校の校医も務める中川院長は、歯茎の腫れや歯肉の痛みなど、全身疾患や歯周病との関連も考えられる症状の治療と予防に力を入れている「女医さん」だ。そんな中川院長に日々の診療への想いを語っていただいた。

インタビューイメージ1

まずは先生のプロフィールを教えてください

歯科医になってもう30年ほどになります。もともとこちらで父が開業していたので、当初は父と一緒に診療を行っていましたが、現在は私が引き継ぎ、ひとりでやっています。父の代からの患者様も多く、3世代ずっと通ってくださる方もいらっしゃいます。

歯肉炎の症状で来院される方は
多いのでしょうか。

いえ、歯肉炎ではないか、と心配して来院される方はまずいらっしゃいません。 歯肉のトラブルで来院される方の原因は、1・歯肉炎が進行して歯周病や歯周病(歯槽膿漏)になり歯肉の腫れや出血などがある 2・根の先が腫れている 3・親知らずが腫れている 4・入れ歯が合わない などに分類されます。 このなかで一番やっかいなのが歯周病。歯周病以外はかなり痛みがあるので皆さんすぐに来院されますが、歯周病の場合はさほど痛みがありません。自覚症状があるほど歯周病が進行してしまうと、抜歯適用というのが現状です。

歯周病は、まず歯肉炎から始まって、症状もほとんどないまま静かに進行していきますので、まず歯肉炎の段階でしっかり治療をしなければなりません。

歯肉炎までなら治療も可能なのでしょうか。

そうですね。症状にもよりますが、初期であれば何とかなります。ただ、先ほども言いましたが、歯肉炎には自覚症状がありませんから、放置していると知らないうちに10年20年の長いスパンで静かに進行していきます。内臓疾患でいえば、肝臓ガンやすい臓ガンと同じイメージですね。サイレントディジーズ(静かな病気)と言われ、自覚症状がないまま歯肉炎が進行し、痛みや出血などがある歯周病になってしまうともう手遅れになっている、と。歯周病までいってしまうと、本当に怖いんですよ。

予防は、何歳ごろから気をつけたらよいのでしょう。

歯周病は30代くらいから、顕著になるのが40代後半から増えていきます。ですからいわゆる疾患として意識するのは大人になってからなわけですが、予防は早めに、が鉄則で、小学校高学年あたりから歯肉炎についてはきちんと予防しておかないとだめですね。実際、小学生や中学生でもかなり歯肉炎が進行している子どもがけっこういます。

幼児の頃は、親が仕上げ磨きをしますよね。最近は幼稚園や保育園でもブラッシングを行っているので、小学校に上がるまではかなり歯肉炎と虫歯は予防できています。「正しい歯磨きの習慣」は、虫歯の予防のために行うというイメージがありますが、実際は、虫歯だけでなく歯肉炎の予防にもなっているわけです。 ところが小学校に入ると給食のあとにほとんど歯を磨かなくなります。この習慣は大人になっても継続し、毎日の歯磨きのやり方も適当になることや歯磨きが1日1回になることが多く、歯のケアそのものが少しずつおろそかになっていきます。すると一気に虫歯や歯肉炎が増えてしまう。

私は荒川区の学校の校医もしていますので、学校側にも「昼休みの歯磨きを習慣化させてほしい」とたびたびお願いしているのですが、なかなか難しくて……。 それから、学校で行う歯の定期健診後の治療。これももっと徹底していかないといけないと思っています。

ケアの大切さは、大人になってからも同様ですね。

ええ。ですから私は患者さんに、「歯ブラシと歯間ブラシを持参して会社に行ってね」、とよく話します。「食べたら磨く」はやはり基本ですから。

定期健診についてはどのようにお考えですか。

とても大事ですね。というのも歯医者でなければ取り除くことができないばい菌が、口腔内にはたくさんあるからです。

この細菌は、一般的には「プラーク」、歯科医師では「バイオフィルム」と呼ばれ、ほおっておくとどんどん増殖し、虫歯や歯周病を引き起こします。また、毎日きれいに歯磨きをしても、歯と歯肉の間(歯周ポケット)など、歯ブラシでは届かない部分には知らず知らずのうちにバイオフィルムがたまっていきます。

バイオフィルムはとてもやっかいで、歯磨きや洗口剤では取り除くことができません。歯医者で機械的に洗浄(PMTC)するしかないのです。ご自身でブラッシングをすること、歯間ブラシ清掃をすること、PMTC(歯牙の表面に付いているバイオフィルム除去)を3ヶ月に1度歯科医院にておこなう必要があります。歯石はブラッシングでは除去できず、歯科医師に除去してもらわないと取れません。また、歯周病がひどくなってからですと、いくらPMTCによってバイオフィルムを除去しても、歯周病そのものを完治させることはできなくなりますから、初期の段階で除去しておかなくてはなりません。

バイオフィルムは一度除去しておけばよいのでしょうか。

いえ、バイオフィルムの原因になる物質は、唾液や口腔内粘膜の細胞の中に含まれているため、どんなに口の中を清潔に保っても、バイオフィルムの形成を完全に防ぐことはできません。 できれば3カ月に一度は歯医者に行ってPMTCを受け、バイオフィルムを定期的に除去してほしいと思います。症状がなければ歯医者に行かない人がほとんどですが、こうした定期健診こそ大事なんです。

来院された患者様に対しては、どのような説明を心がけていらっしゃいますか。

まず自分のお口の中の状態をわかっていただくことから始めます。レントゲン写真、口腔内カメラ、手書きのイラストなどで、「今、こういう状態になっていますよ」と説明し、現状把握というか、自覚を持っていただきます。 口頭でいくら説明しても、自分の口の中のことってわかりませんよね。でも写真などで現状を見たうえで、イラストをプラスして説明すると、患者様の理解度も高まります。

それから、「歯の根っこは、骨の中に埋まっている」こともよく説明します。歯は歯茎から生えているものと思い込んでいる方がとても多いのですが、これは大きな間違い。でも、歯と骨の関係が理解できると歯周病の怖さもわかってきます。 歯は単に口の中にあるモノではなく、大切な咀嚼器官。体内の臓器と同様に大切なものなのです。

最近では、歯周病と全身疾患の関連もよく取り上げられるようになりました。

虚血性心疾患や心筋梗塞など、心臓病との関連がわかり、メディアなどにも取り上げられるようになりました。この他にも、現在の日本における三大死因の一つである肺炎なども歯周病が原因になることがあるようです。

私が診ている患者様も、内科的な疾患や持病をお持ちの方が多くいらっしゃいますが、歯周病の治療や予防ケアをきちんとしていくと、内科的疾患の数値がよくなった、ということが実際にあるんです。今後は、歯周病菌と様々な疾患との関連についてますます研究が進むでしょうから、内科的疾患を予防するためにも歯周病を防いでいこうという考えがもっと広がっていけばいいな、と思っています。

今後の展望についてお聞かせください。

やはり予防に力を入れたいですね。 そして、一方的にただ予防する、治療するのではなくて、わかりやすく説明して理解していただきながら患者様と一緒に予防を考えていくスタイルを大切にしていきたいと思っています。

あとはそうですねえ、「患者様が言いたいことを言える雰囲気づくり」でしょうか。ちょっとしたことで患者様と一緒に笑い合えたり、グチが言えたり……。これは展望というより、当院はいつもこんな感じなのですが(笑)。でも、気軽に話していただくことで、隠れていた内科的疾患がわかって、私も意識的に歯との関連性を見出そうと努力することもありますから、患者様との「いい関係」ってとても大切なんです。

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岡歯科医院

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診療科目
一般歯科・小児歯科・インプラント・歯周病・審美歯科・ホワイトニング・親知らず・顎関節症・お口の中の出来物(口内炎)・歯列矯正・口腔がん検診

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