コラムColumn
低血糖と虫歯の予防対策
前回の記事で、低血糖と虫歯の関係について解説しました。
それでは、この低血糖をどう予防すればいいのか。
私が行っている具体的な指導を交えてお伝えします。
低血糖の予防は“糖質の選び方”から
前回お話しした通り、現代の精製された糖質や加工品には、血糖値を上げやすい糖質が多く含まれます。
これらを日常から摂取していると、血糖値が乱高下し、血糖コントロールが次第に悪くなっていきます。
現代人に隠れ低血糖の人は多いのは、高血糖になりやすい現代食に問題があるからです。
ですので、できる限り血糖値の上げやすい食材を避けてもらいます。
- 精製米(白米)を控え、玄米や部付き米・雑穀米に変える
- パン・うどん・ラーメンなどの精製小麦を控える
- 調味料の添加物に注意する(ケチャップ、ソースなどは特に異性化糖が多い)
- 清涼飲料水を飲まない(炭酸ジュース、果汁ジュース、スポーツドリンク)
- お菓子は控える
糖類ゼロやカロリーゼロを謳った、代用甘味料を使用した商品もNG。
血糖値は上げませんが、甘味に脳が反応しインスリンが分泌され、血糖値を下げてしまうからです。
低血糖の予防は“間食する”こと!?
血糖値の乱高下が間食の原因だった人は、高血糖を予防する食事に変えるだけで効果があります。
しかし、空腹時に血糖値が保てない『副腎疲労』がある人は、食事から血糖値を保つ工夫が必要です。
また、貧血がある女性も同じ対策が必要です。
食事からの血糖は2時間しか保てません。
コルチゾール不足、貧血がある人は食後2時間を過ぎたら血糖値が下がる前に間食(補食)をすることで血糖値を安定させると、甘いものへの欲求が予防されます。
具体的に補食に適しているものは
- おにぎりを1〜2口(玄米・雑穀米推奨)
- 干し芋一切れ
- ナッツ・ドライフルーツ10粒程度
- スープなど(スープジャーに根菜を入れた味噌汁やミネストローネ、ポタージュを入れて持参)
必要な補食頻度は個人の身体の状態によって異なりますが、
これらを食後2時間を過ぎたら30〜1時間に一度、ちょこちょこ補食してもらうと、血糖値が安定し、甘いのもを欲しなくなります。
ちょっと待って。間食での虫歯のリスクはどうなるの?
そんな声が聞こえてきそうですね。
確かに、お米や芋に含まれる炭水化物も、ブドウ糖に分解されるため、虫歯菌のエサになります。
虫歯菌は、下記の糖質を代謝して酸を産生することで、エナメル質を溶かし虫歯を進行させます。
- ショ糖(砂糖)
- 果糖
- 異性化糖(ブドウ糖果糖液糖)
- ブドウ糖(グルコース)
- 麦芽糖(マルトース、水飴)
しかし、圧倒的に虫歯になりやすい糖質はショ糖(砂糖)です。
なぜなら、虫歯菌は砂糖(ショ糖)から歯垢(プラーク)の基となる粘着性多糖の『不溶性グルカン』を合成し、歯面に定着します。
こうしてグルカンに守られ歯面に張り付いた虫歯菌の集団は、歯を溶かし続けます。
…比べて、穀類やイモ類などの炭水化物はショ糖ほどグルカンが合成されることはなく、一時的に虫歯菌が代謝することで酸が産生されたとしても、きちんと唾液の緩衝能で再石灰化を促進できれば、そこまで虫歯になる心配をすることはないのです。
おわりに
- 食後高血糖による反応性低血糖を起こしている
- 持続するストレスにより副腎機能が低下している(副腎疲労)
ついつい甘いのを食べて虫歯になってしまう背景には、こんな身体の“症状”が関わっている可能性があります。
そんな人は、毎日の食事の糖質の質・量に気をつけることと、ちょっとした間食の工夫で低血糖を予防すると、虫歯を防ぐことにつながるかもしれません。