直撃インタビューinterview

まずはお二人のご経歴について教えてください。

山口先生/本当はカーレーサーになりたかったんですが(笑)、実家が技工所を経営していたこともあり歯学部に進みました。手先を動かして細かい作業をすることは昔から好きでしたね。卒業後はさまざまな歯科医院で研鑽を積みました。セミナーにも参加しまくっていたので当時はまったく休んでいませんでしたね。とにかく知識や技術を吸収することに熱中していました。そんな生活をして5年ほど経ったときにたまたま物件が見つかったのが開業のきっかけです。

新垣さん/私はもともと手に職をつけたいなと思っていて、なんとなく歯科衛生士が良さそうだなと。それで短大を出た後に専門学校に入り直しました。卒業後は4~5件の歯科医院で働いていましたね。当院に入ったのはここで治療を受けたことがきっかけです。学生時代に山口先生のもとでアルバイトをしていたのですが、そのときに「丁寧な治療をする先生だな」という印象を持っていたので、自分の歯が欠けてしまったときにここを受診したんです。で、治療で通っているうちに「ここで働いてみない?」と声をかけていただき、働かせてもらうことになりました。

こちらでは歯のクリーニングに力を入れているとお聞きしました。

新垣さん/はい。虫歯や歯周病は細菌が原因なので、予防するには口の中の悪い細菌を増やさないことが重要になります。インプラントであっても歯周病にはかかってしまうので、天然歯もインプラントも健康を維持するにはクリーニングで口腔内を衛生的に保つことが大切です。

山口先生/クリーニングが大事なのは虫歯や歯周病を予防するためだけではありません。口腔内の細菌のバランスは全身の健康にも直結しますからね。細菌は血流に乗って全身に回り、全身の健康に影響を及ぼします。歯周病が早産のリスクを高めたり糖尿病や心臓病を悪化させたりするのはそのためです。口腔内は細菌を取り込みやすいため、とくに衛生的に保つことが重要なんですね。

家でブラッシングするだけではダメなのでしょうか?

新垣さん/汚れをすべて取りきるくらい完璧に磨けるのであれば良いのですが、現実的には難しいでしょうね。それに歯石はブラッシングでは落ちないので、いずれにせよ歯科医院でのクリーニングは必要です。もちろん、家でのブラッシングも大事で、しっかり磨けていればクリーニングを受ける頻度を減らしても口腔の健康を損なわずに済みます。反対にブラッシングが苦手な方は1カ月に1回くらいの頻度でクリーニングを受けることをお勧めしています。

山口先生/自分自身で隅々まで口の中をチェックすることはできませんからね。結局、きちんと磨けているかどうかは第三者に診てもらわないとわからないんですよ。クリーニングしていると、うまく磨けていないところもわかるので、より上手なブラッシングの仕方を指導したりもしています。

クリーニングの際にマイクロスコープ(歯科用顕微鏡)を使っているそうですが…。

新垣さん/肉眼では歯周ポケットの中までは見えないので、一般的なクリーニングでは器具を操る手の感覚に頼って歯石を除去しています。しかし、マイクロスコープを使うと肉眼の8~14倍くらいの大きさで明るく患部を確認できるので、歯周ポケットの奥がどうなっているかまで見えるんですよ。おかげで歯石やプラークを取り残すことなくしっかり除去できます。また、マイクロスコープでしっかりと視認していれば、誤って歯や歯肉を傷つけてしまう可能性が少ないので患者さんも痛い思いをしなくて済みます。ケア中に寝てしまう方もいるくらいです。

山口先生/それから、マイクロスコープを使えば進行した歯周病でも手術せずに済むケースがあるんですね。重度の歯周病は歯肉を切開して歯の根本が見えるようにした状態でクリーニングするのが一般的です。ところが、マイクロスコープを使うと歯周ポケットの深いところまで確認できるので、切開せずにクリーニングできる可能性が高くなります。また、クリーニングの際には口腔全体の健康チェックも併せて行っているのですが、マイクロスコープで見ながら検査すると肉眼では気づかないような小さな虫歯やひび割れまで見つけられるので、症状が進行する前に対処できるメリットもあります。

歯石の取り方にも特徴があるんですよね。

山口先生/はい。スケーラーという先の細い金属の棒状の器具を使って手動で歯石を擦り落としていく方法がよく取られますが、当院の場合は超音波スケーラーという機械を使って歯石を取っています。手動だとどうしても歯肉や歯の表面に微細な傷がつき、出血したり、歯がしみるようになったり、プラークやステインが付着しやすくなったりしてしまいます。超音波スケーラーではピンポイントで歯石を除去できるので口腔内を不必要に傷つけずに済みます。

最後に、患者さんへのメッセージをお願いします。

新垣さん/マイクロスコープを使用したクリーニングは自費になりますが、保険で行われるクリーニングと違ってお一人お一人の状態に合わせたオーダーメイドのケアができます。そのため、歯肉の健康状態の回復も保険のクリーニングに比べて早いです。痛みなく、リラックスしてケアを受けていただけるように努めていますので気軽に相談してください。

山口先生/私がお伝えしたいのは、口腔の健康は全身の健康に直結しているということです。定期的にプロのクリーニングを受け、健やかな毎日を維持していただきたいと思います。